特別委員会の目的と活動内容を発表

リチウムイオン電池問題、JEITAの対策は?

2006/10/26

 電子情報技術産業協会(JEITA)は10月26日、JEITA内に設置された「ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会」の活動内容を説明した。

 この特別委員会は、10月17日のJEITA定例会見で会長の秋草直之氏(富士通 代表取締役会長)がソニー製電池発火問題に伴う消費者の不安を取り除くためとして設置を表明していた。秋草会長は、同特別委員会の役割として、ソニー製電池発火問題の原因検証と消費者向けの情報開示を挙げていたが、10月26日に行われた説明では、「本特別委員会は、今回の一連の問題に対する対策が目的ではなく、今後のリチウムイオン電池搭載PCの安全性向上を目的とする」とされた。

 秋草会長のコメントと比べ、内容が後退しているのではないかと質問された委員長の山本正己氏(富士通経営執行役)は、「秋草会長も原因究明の後にガイドラインを作成すると話したので、後退しているわけではない」と答えた。

写真 特別委員会の委員長を務める山本正己氏(富士通経営執行役)

 同特別委員会は一般ユーザーに向けた情報発信と、より安全な利用に関する技術の検討の2つを活動の柱にするという。

 一般ユーザーに向けた情報発信では、リチウムイオン電池の特性や適切な使い方についてまとめ、JEITAやPCベンダ各社のWebサイトなどを通じた告知を行うという。これだけでは具体的な内容が分かりにくいが、ある委員によると、「(ストーブのそばなど)電池の一部のみが熱せられるような環境で使われると、全体として不安定になり得る。落として衝撃を与えた場合に、その後は動き続けているように見えても、本当は問題が発生していることも考えられる。こうした点に関する各社の情報を持ち寄ることで、より充実した情報が提供できる」という。

 より安全な利用に関する技術の検討では、専門家を集めたワーキンググループを発足し、電池パックやノートPC本体の設計や評価に関する業界ガイドラインを策定するという。検討項目は充電方式、セル間バランスを保つための設計方式、モニタリング方式など。このガイドラインにどれだけの拘束力を持たせるかについては未定。しかし何らかの規格への反映も検討するとしている。これまでPCベンダと電池ベンダが個々の取引において定めていた仕様や基準を、安全の確保という観点から業界全体で共有することが狙いという。

 委員長の山本氏は、「個別の、突発的な障害をゼロにするのは無理。しかし傾向的な障害を出さないようにすることに努めたい」と話した。

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(@IT 三木泉)

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