Weekly Top 10
MSとLinuxの間で揺れる思い
2007/08/27
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は、米マイクロソフトが開設したWebサイトについての記事「米MSが反Linuxの新サイト開設」だった。文字数も多くなく、さらっとした記事だが、この記事を執筆した記者はタイトル付けに迷い、長い時間逡巡した。
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迷ったのは「反Linux」の部分だ。新しいWebサイト「Windows Server Compare」を表現する言葉として、“反”が正しいのか。新サイトはCompareに象徴されるようにWindowsとLinux(主にRed Hat)、UNIX、メインフレームを挙げて、それらのTCPやセキュリティを比較する内容だ。Linuxだけを取り上げて、弱点を挙げ連ねて叩くという反Linuxサイトではない。
マイクロソフトがWindows Server Compareの前のWebサイト「Get The Facts」を立ち上げたのは2004年。Get The Factsはまさしく“反”であり、アンチLinuxであったと思う。しかし、マイクロソフトはこの3年ほどでかなりオープンソースソフトウェアの世界に近づいてきたというか、存在を認めるようになってきた。SUSE Linuxを抱えるノベルや、Linspire、Xandrosなどと提携し、商用ソフトウェアとオープンソースとのミックスソースを展開してきた。
このような経緯を考えると「“反”は厳しすぎるか」と記者は考えた。しかし、それでは“対Linux”だろうか? 間違ってはいないように思うが、対Linuxでは迫力に欠けるというか、マイクロソフトがわざわざこのようなWebサイトを立ち上げる意味がない。対LinuxではマイクロソフトがLinuxをWindowsのライバルと考えていないような印象だ。
しかし、現実にはWindowsの最大の競合はLinuxだ。中小規模のシステムから大規模なミッションクリティカルシステムまで、WindowsとLinuxはさまざまな場面で激突している。マーケティングメッセージを抜きにすると、やはり、マイクロソフトの姿勢は“反Linux”といえるだろう。Windowsに対するLinuxの脅威は3年前と比べて増大している。Windows Server Compareにアクセスすると男性が優しげに微笑んでくれるが、実際のマイクロソフトは決して笑っていない。
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