Weekly Top 10
iPhoneとLinuxの共通点
2008/08/18
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は「デスクトップLinuxを巡る7つの話題」だった。お盆でぼんやりしていた記者は気付かなかったのだが、先週はデスクトップLinuxの普及について、日本の(ギーク系)ブログ界でも少し話題となったようだった。
Debian GNU/Linuxユーザーのkoshian氏がブログサイト「狐の王国」で「初心者が考えがちな『Linuxの普及しない理由』」というエントリを書いたり、著名ブロガーの小飼弾氏が「『Linuxが普及しない』理由U - Ubuntuがなかった」というエントリを書いたりしたことで、それぞれコメントやトラックバックが散発的に発生したようだ。
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UbuntuをMac OS上の仮想環境に入れた小飼氏は「これでいいじゃん」とUbuntuの完成度を積極的に評価しているようだ。UNIX環境と美しく整備されたデスクトップという2つの点から見れば、UbuntuはMac OS Xと似ているので当然かもしれない。ただ、少し意外に感じたのは、ギークの親玉とでもいえそうな小飼氏ほどのブロガーが、Ubuntuをまともに触ったことがなかったということだ。
iPhoneとLinuxは似ているように思う。両者とも知名度はそれなりに高いし話題になることも多いのに、実際に使っている人とか、実物が動いているところを見たことがある人は、それに比べてはるかに少ないということだ。サーバとしてのLinuxを少し設定したとか、お守りをしているという人、開発のための環境として使っている人は結構いるかもしれないが、いま話題にしている「デスクトップLinux」となると話は違うだろう。
IT業界以外の知り合いに何気なくiPhoneを見せると、誰もが実物を初めて見たといい、その画面の輝きやスムーズな操作感に驚く。テレビ報道などでおおよそのところは知っているといっても、実物に1分間触れるのとでは、まるで情報量が違う。もっといえば、自分で所有して1カ月使うのと1分ほど人のものを使うのでは「触ったことがある」という意味はまったく異なる。しかし、実物のiPhoneを前に目を丸くする彼らの多くは、実物に触れる前から自分なりのiPhone評というのを持っている。なぜか判で押したように「でも、使いにくいんでしょ?」という。
同様に、IT系の人であっても、モダンなデスクトップLinuxを見せると驚く人が多い。3Dデスクトップは新鮮だし、「Linux」という言葉から連想されるコマンド文字列の山からは想像しづらいGUI操作で完結しているデスクトップ環境を意外に感じる人が多いようだ。多くの人は、Linuxの古いイメージを持ったままなのだと思う。記者自身、例えば何も設定せずにSkypeでビデオチャットができることを最近発見して驚いたりしている。OpenOffice.orgで作成した文書を印刷しようと自宅のプリンタ(キヤノンのPIXUS iP4500)をUSB接続したら、すぐさま自動認識して印字できて驚いたということもある。
Ubuntuがいくらインストールや管理が簡単な部類といえども、まともにインストールを完了させるのは難しい……、というより面倒だ。余計なOSを入れるべきPCや、OS遊びのための時間などないのがふつうだろう。それに、今の時代、OSを触るより楽しいことはいくらでもある。例えばクラウドに向かってコードを書いているほうが楽しいかもしれない。こうした事情もあって最近のデスクトップLinuxの変化はあまり知られていないのかもしれない。
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