Weekly Top 10
Googleストリートビューが役立った
2008/10/06
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキング第1位は「iPhoneやAndroidは何がケータイと違うのか」だった。iPhoneはいろいろな視点から論評すべきデバイスだし、その価値がある。ただ、ハロウィーンとクリスマスが一緒に来たぐらいに論点が多いのも事実で、どうも話がかみ合わないことが多いのだが。
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さて、私が最近気になっているのは、Googleストリートビュー問題だ。ランキングで9位にもなっているが、先週頭に米グーグルから法務担当者までやってきて記者会見が行われた。これまで足を運ばないと見られなかった街並みがクリック1つで見えるようになったことで、高い利便性を提供するが、同時に、多くの人に不安感や違和感を与えているようだ。
ネット上ではGoogleストリートビューは問題点が指摘されることが多いが、ここでは先週個人的に便利に感じた出来事を書いてみたい。
先週の木曜日、会社で袖机を開けようと手をポケットに伸ばすと鍵がなく、青くなった。家の鍵も含め、ほとんどすべての鍵を付けているキーチェーンだ。実は先週、片方のポケットの底に豪快な穴が空いてしまい、ケータイすらスルリと落ちて足の甲に「こんにちは」と出てくるぐらいだったのだ。落としてしまったのではないかと思った。
しかし、いくら何でも膝上を滑って鍵が落ちたことに気付かないことなどありえない。取材の帰りに入った中華料理屋で忘れたのだ、と次に考えた。支払いのとき、ついキーチェーンをレジ台にポンと置いてしまい、そのまま忘れたのだろう。まるで小学生のようだが、私は鍵だのケータイだの小銭だのをポケットに突っ込み過ぎるクセがある。それでよくポケットの中身をレジに並べることがある。
すぐにネット上で地図を見た。東京の六本木方面から何となく赤坂方向へ向かって歩き、適当に入った中華料理屋だ。付き合いの長いライターとハイパーバイザーの話に夢中になっていたので、自分たちが歩いていた場所も入った店の名前もよく分からない。店を出て、細い道を抜けて溜池山王方面へ出たことは覚えている。店の正確な位置が分からないのだ。
角の店だったことは分かるがどの交差点か分からない。いくら拡大してもビル名すら出てこない地図を眺めていて、すぐに「そうだ」と思った。ストリートビューは、こういうときのためにあるのだ。
人生ゲームのコマのような安っぽい人型のアイコンをチョーンと適当な裏通りへ運ぶと、すぐに自分が先ほど歩いていた道が表示された。地面に描かれた方角矢印を適当に押すと、すぐに自分が歩いた道か、そうでないかが分かる。
数クリックでお店が画面に現れた。驚いたことにお店の看板には店名だけでなく、電話番号までデカデカと書いてある。私はすぐに電話をかけ、親切な中国系の店員に落とし物がないかを聞いたのだった。
結局、鍵は自宅の机に置きっ放しにしてあったことが後から分かったのだが、心当たりのあるお店にすぐに電話で確認できたことはありがたかった。Googleストリートビューがなければ、これほど簡単に情報を探し出せなかったと思う。
私はひどい方向音痴で、いつも適当に歩いては迷う。迷いながら見たままの景色を覚え、そしてまた迷う。そういうことを3年ぐらい繰り返すとようやく脳内にその辺りの鳥瞰図がぼんやりできてくる。それでも、5年住んだ土地で「ここを曲がると、ここに出るよ」ということを言われてビックリ仰天することがある。そういう典型的な地図の読めない男には、Googleストリートビューはありがたい。
来週、神戸旅行を計画している。男の一人旅だし、朝から晩までイベントがあって宿には帰って寝るだけだからと安宿を探していた。ここでもGoogleストリートビューが役立った。メインストリートから1本入った裏通りの安宿を予約したのが、現地に行く前に駅から宿までのバーチャル散歩ができたし、宿の外観も周辺環境も分かった。現地に到着したら、地図を見ながら歩くより、「丸い緑の屋根のバス停の横を抜け、Vテイメントというビデオレンタル店や何とか堂という店を右に見て1ブロック歩き、カラフルなパズル状の看板の角を右」という記憶のほうがずっと役立ちそうだ。迷いなく歩けるだけでなく、確信をもって「その先を曲がると目的地の宿で、こんな看板が目に入る」ということがあらかじめ分かっているという体験は初めてのものになると思う。そして、こうした体験はきっと、1度当たり前のものとなってしまうと逆戻りできなくなるタイプの便利さだ。
商業地域と居住地域を一緒に論じるわけにはいかないが、Googleストリートビューには、商業地域に関しては非常に分かりやすいメリットがある。
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