ユーザーのフィードバックを反映する仕組みも
チェック・ポイント、アプリ制御機能を搭載したファイアウォール新版
2011/07/06
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは7月5日、ファイアウォールの新バージョン「Check Point R75」の国内販売を開始した。ファイアウォールとしての機能に加え、アプリケーション制御やDLP(データ損失防止)といった機能も追加でき、同社では「次世代ファイアウォール」と位置付けて販売していく。
Check Point R75は、ファイアウォールやIPSといった機能を備えた企業向けセキュリティ製品。R70から実装している「Software Blade」というアーキテクチャによって、ニーズに応じて「ブレード」として機能を追加していくことができる。R75では、アプリケーションの識別/制御を行う「Application Control」や情報漏えいを防止する「DLP」のほか、スマートフォンなどモバイル機器に対するアクセス管理やVPN機能を提供する「Check Point Moblie」などのブレードを搭載可能だ。
このうちApplication Control Software Bladeでは、単に「Webのトラフィック、httpのトラフィック」というだけではなく、それがFacebookなのかTwitterなのか、YouTubeなのかといった具合に、アプリケーション単位で細かく把握し、ポリシーに基づいて利用を制御できる。同社によるとApplication Controlでは、4400以上のアプリケーション、24万以上のウィジェットの識別が可能という。また、Active Directoryと連携したり、エージェントソフトなどを通じてユーザー情報を収集し、ユーザー/グループを識別した上で制御を行う「Identity Awareness」も搭載する。
情報漏えいを防ぐDLPでは、「MultiSpect」と呼ぶ検知エンジンにより、800種類以上のファイルフォーマット、400種類以上のデータタイプを把握できる。これにより、誤検知の少ない「実用的」なDLPとして運用できるという。
R75の特徴は、こういったアプリケーション制御やDLPのルールを管理者が一律に決めるのではなく、ユーザーからのフィードバックを受け付け、反映する「UserCheck」という仕組みを備えていることだ。例えば、機密情報の送信や業務とは無関係なアプリケーションの利用など、ポリシーに反するアクションを検出すると、ユーザーのPCに警告画面がポップアップされる。これによってユーザーに注意を促すとともに、業務上どうしても必要な処理であるならば、その旨を申告できる。「ネットワークセキュリティの確保に向け、従業員に有機的な参加を促す。利用状況を実地に即して把握でき、よりよいポリシーへと改善していくことができる」(同社 システム・エンジニアリング本部 本部長 安藤正之氏)。
Check Point R75の価格は19万8000円から。チェック・ポイントでは、従来から展開してきたパートナー経由の販売に加え、顧客に直接コンタクトするハイタッチ営業/サポート部門を7月から強化しており、今後3年間で売り上げを倍増させていきたいとしている。
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