「今後も同種の脆弱性が発見される可能性」とする指摘も
IEの緊急パッチ公開、早急な適用を推奨
2012/09/24
Internet Explorer(IE)にリモートから悪用可能な深刻な脆弱性が指摘されていた問題に関し、日本マイクロソフトは9月22日、予告通り「Internet Explorer用の累積的なセキュリティ更新プログラム(2744842)」を緊急にリリースした。同社やセキュリティ関連企業では、早急にこのパッチを適用するよう推奨している。
この脆弱性はIE 6/7/8/9に存在する。IEのメモリの処理に問題があり、細工を施したWebサイトにアクセスするだけでシステムを乗っ取られたり、マルウェアをインストールされたりする恐れがある。マイクロソフトがこの脆弱性についてのアドバイザリを公開した9月18日の時点ですでに、これを悪用した標的型攻撃が報告されていた。
Internet Explorer用の累積的なセキュリティ更新プログラム(2744842)はこの問題も含め、メモリのオブジェクト処理方法に関する5件の脆弱性を修正する。Windows Update/Microsoft Updateなどを通じて適用可能であり、早急な適用を推奨している。
セキュリティ企業のNTTデータ先端技術では、修正プログラムを適用したWindows 7 SP1とIE 9の環境で、脆弱性を悪用した攻撃が再現できないことを確認したという(下図)。

一方、同じくセキュリティ企業のフォティーンフォティ技術研究所も、この脆弱性に関する検証結果についてまとめたブログ記事を公開。この脆弱性はuse-after-free脆弱性と呼ばれるもので、コードの流れ全体を把握しないと判断できないという特性上、「プログラマとしての視点からすると、このタイプの脆弱性を完全になくすのは非常に難しいと言える」と指摘。今後も、このような脆弱性が発見される可能性があると警告している。
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