NewsInsight
64ビットOS対応やさらなる高速化を実現
国産セキュアVM、「BitVisor」がバージョンアップ
2012/09/27
イーゲルと東京大学情報基盤センター 品川高廣准教授らの研究グループは9月26日、純国産の仮想マシンモニタの最新版、「BitVisor Version 1.3」をリリースした。
BitVisorは、仮想マシン技術を活用して情報漏えいなどを防ぎ、クライアントマシンを保護することを目的に開発されたソフトウェアだ。修正BSDライセンスで、オープンソースソフトウェアとして公開されている。
当初は、政府が進める「セキュア・ジャパン」の中で構想され、筑波大学を中心とした「セキュアVMプロジェクト」で開発されてきた。その後この成果は、東京大学情報基盤センターとイーゲルによって開発が続けられている。
BitVisorの特徴は、OS上のアプリケーションではなく、ハードウェアとOSの間に位置する「仮想マシンモニタ」で、ストレージの暗号化やIPSec VPNによるネットワーク接続、ICカードによるID管理、物理ポートに対するアクセス制御を、既存のOSに変更を加えることなく実現できることだ。また独自の「準パススルー方式」を採用することでオーバヘッドを減らし、高速にこれらセキュリティ機能を実現できる。なお動作には、Intel VTもしくはAMD-Vといった、ハードウェアによる仮想化支援機能が必要となる。
新バージョンでは、ゲストOSとして64ビットOSをサポートしたほか、Intev VT-xやAMD-Vへの対応を強化し、動作速度の高速化を図った。また、バックグラウンド暗号化機能の追加により、ゲストOSを利用しながら、その裏側でハードディスクを暗号化できるようにし、導入負担を軽減している。
関連記事
情報をお寄せください:
Security&Trust フォーラム 新着記事
- Windows起動前後にデバイスを守る工夫、ルートキットを防ぐ (2017/7/24)
Windows 10が備える多彩なセキュリティ対策機能を丸ごと理解するには、5つのスタックに分けて順に押さえていくことが早道だ。連載第1回は、Windows起動前の「デバイスの保護」とHyper-Vを用いたセキュリティ構成について紹介する。 - WannaCryがホンダやマクドにも。中学3年生が作ったランサムウェアの正体も話題に (2017/7/11)
2017年6月のセキュリティクラスタでは、「WannaCry」の残り火にやられたホンダや亜種に感染したマクドナルドに注目が集まった他、ランサムウェアを作成して配布した中学3年生、ランサムウェアに降伏してしまった韓国のホスティング企業など、5月に引き続きランサムウェアの話題が席巻していました。 - Recruit-CSIRTがマルウェアの「培養」用に内製した動的解析環境、その目的と工夫とは (2017/7/10)
代表的なマルウェア解析方法を紹介し、自社のみに影響があるマルウェアを「培養」するために構築した動的解析環境について解説する - 侵入されることを前提に考える――内部対策はログ管理から (2017/7/5)
人員リソースや予算の限られた中堅・中小企業にとって、大企業で導入されがちな、過剰に高機能で管理負荷の高いセキュリティ対策を施すのは現実的ではない。本連載では、中堅・中小企業が目指すべきセキュリティ対策の“現実解“を、特に標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策の観点から考える。