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@IT > 業務システムのフロントエンドとしてのMicrosoft Office Systemの実力(1) - Page2 |
企画:アットマーク・アイティ 営業企画局 制作:アットマーク・アイティ 編集局 掲載内容有効期限2004月5月31日 |
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業務システムのフロントエンドとしての
企業ユーザーが行う情報処理業務は、定型業務と非定型業務に大きく分類できる。このうち定型業務は、例えばスプレッド・シートにおけるデータ操作(入力と表示)やフォームを利用したデータ操作などで、データベースのフィールドに対して、定型化されたデータを入力したり表示したりするような業務を指す。一方の非定型業務とは、例えばワードプロセッサで作成した企画書や提案書など、定型化できない(ないし定型化が困難な)情報を取り扱う業務である。 定型業務はデータベースなどとの相性もよく、システム化は容易である。一方の非定型業務については、最終成果物に非常に幅広い柔軟性が求められるため、データベースとの連携が容易ではなかった。顧客先に提出する提案書の一部に在庫情報などを引用する際、一方で定型業務用アプリケーション(VBアプリケーションやWebアプリケーション)を起動し、検索結果をコピー&ペースでワードプロセッサの文書に貼り付けるなどといった操作は、多くの企業で日常的に行われているものだ。しかしこの場合、作成された提案書上の情報は、データベースからは隔絶された静的な情報であり、データベース側でデータが変化しても連動はしない。 これに対しMicrosoft Office Systemでは、ワードプロセッサのWord 2003がXMLスキーマに対応したことにより、定型業務で扱うデータベースと、非定型業務で扱う文書を連携させることが可能になった。つまりMicrosoft Office Systemを利用すれば、ExcelやAccessなどをベースとする定型業務と、Wordベースの非定型業務を融合し、データを連携することはもちろん、情報やデータを入力時点で検証して入力ミスを防止したり、データのフィルタリングや標準化を実行したりできる。
このようにWord 2003は、印刷することを前提とした伝統的なワードプロセッサ・アプリケーションとしてだけでなく、業務アプリケーションのフロントエンドとして利用することも可能になった。 ワードプロセッサやスプレッド・シートという従来、基本的に自身の領域に閉じたデスクトップ・アプリケーションは、今回のMicrosoft Office Systemで強力なXML対応機能が追加されたことにより、開かれたビジネス・フロントエンドとして生まれ変わった。Microsoft Office Systemは、あらゆる業種向けに、さまざまな目的で構築されたバックエンド・システムとユーザーをシームレスにつなぐ入り口として機能することが可能である。 Webブラウザだけで利用できるWebアプリケーションは、サーバ側での集中管理を可能にし、面倒なクライアントのバージョン管理を回避できることから急速に利用が広がった。しかしその一方では、貧弱なユーザー・インターフェイスやレスポンスの悪さから、その反動としてスマート・クライアント(リッチ・クライアント)への期待が高まりつつある。Microsoft Office Systemは、こうしたスマート・クライアント開発を強力に後押しするフロントエンド・コンポーネントとして機能することができるだろう。
それでは、具体的にExcelとWordのXMLスキーマ対応がどのようなものなのかを見てみよう。 ■Excel 2003 Microsoft Office Systemでは、ウィンドウの右側(デフォルト時)に縦長に表示される「作業ウィンドウ」と呼ばれるペインにさまざまな情報を表示しながらアプリケーションを操作できるようにしている。例えばExcel 2003では、この作業ウィンドウで[XMLソース]を選択すると、XMLファイル/スキーマ/XMLデータ接続のツリー構造を表示し、ここから任意のノードをドラッグし、対応付けたいセル上でドロップすることで、セルとXMLノードを対応付けられる。このとき、XMLのデータ構造に繰り返し可能なグループが存在する場合は、セルにXMLリストを作成する。これにより、表形式のデータを簡単に扱えるようにしている(ただし、ノードの編集はExcelではできない。これには別途XMLエディタが必要である)。
1つのシートに複数のXMLソースを対応付けることもできる。異なる複数のデータベースで管理された情報を扱うには、それらのXMLソースを読み込み、シート内のセルに各XMLソースのノードを対応付ければよい。XMLノードとの対応付けを行ったシートを保存すれば、対応付けの情報がそのまま保存されるので、管理者やシステム・デザイナが対応付けを行えば、エンド・ユーザーはそれらの対応付けを意識することなく、シートを利用してデータ操作を行うことができる。 ■Word 2003 Word 2003では、任意のXMLの文書構造を読み込み、XMLの要素をWord文書上の選択範囲と対応付けることができる。これにより、Word 2003の文書を任意のXMLとして読み込んだり、保存したりできる。具体的には、作業ウィンドウで[XMLデータ構造]を選択してXMLの文書構造をツリー形式で表示させ、文書の選択範囲とXML要素の対応付けを行う。こうして対応付けられた選択範囲は、タグで囲ませるように指定できる。これにより、ユーザーが特定の場所に必要なデータを入力できるように導くことが可能だ。この際、エンド・ユーザーに入力させるタグとタグの間に、任意のテキストや画像などを挿入することもできる。また、フォームの保護機能を組み合わせれば、一部を「編集不可能なビュー」としてユーザーに表示することもできる。フォーム・コントロールと文書の保護機能を組み合わせて利用すれば、Word文書を一種のフォーム・テンプレートのように使用することが可能だ。 なお、1度Word 2003で使用された文書構造はスキーマ・ライブラリに登録され、ほかの文書でも同一のスキーマを容易に再利用できるようにしている。
さらにMicrosoft Office Systemでは、XMLをベースとする拡張機能として、「スマート・ドキュメント」と呼ばれるソリューションを構築することができる。前バージョンのOffice XPでは、「スマート・タグ」と呼ばれる機能が提供されていた。これは、文書内において、ある意味情報に基づいてタグが反応し、それに関連した情報を引き出せるという機能だった。これに対しMicrosoft Office Systemのスマート・ドキュメントでは、文書内での操作状況に応じた情報を作業ウィンドウに表示するなどができる(ただし、スマート・ドキュメントを構成するには、カスタム・アプリケーションを作成する必要がある)。 最も分かりやすい例は、Excelのシートで、選択したセルに対応した情報を作業ウィンドウ上に表示するというものだ。例えば、Excelのシートで発注書を作成しているとしよう。通常、発注書には、製品名や型番、在庫数などといった製品情報を記載する。従来、シートにこのような情報を入力する際には、別途Webアプリケーションなどの形で開発された業務アプリケーションを起動して、その中でデータベースを検索し、結果をコピーすることが多い。しかしスマート・ドキュメントの機能を使えば、別のアプリケーションを起動して手作業で検索していた作業をExcelシート内部の作業ウィンドウで行い、選択されたセルに応じて、自動的に作業ウィンドウに検索・表示される情報を変化させることなどができる。例えばシートの型番入力用のセルが選択されたときに、自動的にバックエンドのデータベースを検索し、指定可能な型番一覧を作業ウィンドウ上に表示させたりできる。 スマート・ドキュメントは、XMLスキーマの高度な応用である「XML拡張パック」機能によって、選択したセルに連動するダイナミックな作業ウィンドウの表示を制御している。
スマート・ドキュメントは、Word 2003でも利用できる。これにより例えば、ウィンドウ上のUI要素やカーソル位置などに応じて、ヘルプ・テキストなどを作業ウィンドウに表示させるなどが可能になる。
カスタム定義のスキーマに対応したMicrosoft Office Systemでは、さまざまなビジネス・ニーズに応じたフォーマットでデータを操作したり、表示したりすることが可能である。これによりユーザーは、XML文書を容易に作成するとともに、従来にはなかった方法でこれらの中から必要な情報を検索し、再利用できるようになるだろう。 さらにMicrosoft Office Systemでは、XML Webサービス対応が強化されている。この機能を使えば、XML Webサービス・インターフェイスを持つバックエンド・システムとMicrosoft Office Systemを連携させ、XML Webサービスのフロントエンド・クライアントとしてMicrosoft Office Systemを活用できる。次回はこの点について解説しよう。
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