現在、多くの業務アプリケーションがWebベースのアーキテクチャを採用している。しかし、静的でインタラクティブ性に欠けるHTMLや画面遷移の多いWebアーキテクチャは、ユーザビリティやユーザー生産性の面で限界も指摘されいる。
こうしたWebブラウザの問題を補完する新しいソリューション“リッチクライアント”をテーマにしたイベント「リッチクライアントソリューション
カンファレンス Spring 2004」が、2004年1月27日に開催された。
カンファレンスは、オープニングセッションとしてパネル・ディスカッションに始まり、9つのセッションが行われた。ここではオープニングセッションの簡単なレポートと、各セッションで使われたプレゼンテーションピッチをお届けする。
【パネル・ディスカッション】 |
なぜ今、リッチクライアントなのか
激論!ユーザー、ベンダ、 SIerが語る“リッチクライアントの真実”
パネリスト |
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ヤマト運輸株式会社 オペレーション部 情報システム課長 小佐野豪績氏
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アクシスソフト株式会社 リッチクライアントエバンジェリスト 山形浩一氏 |
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アドビ システムズ株式会社 インテリジェント ドキュメント部 フィールド
プロダクト マネージャー 小島英揮氏 |
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マクロメディア株式会社 サーバーテクノロジー マネージャー 須賀正明氏 |
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メディア情報開発株式会社 代表取締役社長 山田隆信氏 |
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株式会社アットマーク・アイティ 代表取締役 藤村厚夫(モデレータ) |
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ディスカッションに先立ち、モデレータの藤村から@ITの読者調査のレポートが行われた。これによると、クライアントソフトとして利用する場合のWebブラウザが持つ課題として、「ブラウザの種類やバージョンによって、動作や表示が異なる場合がある」が最も多かった。同じく約5割が、「HTMLの表現力が乏しく、ユーザーインターフェイスの貧弱さ」を挙げている。
また開発者の視点からはすでに1割がリッチクライアントによる開発に着手しており、予定/検討している開発者も6割近くにのぼっている。すでに多くの開発者がWebブラウザに続くソリューションとしてリッチクライアントに興味と関心を持っているという状況だ。
ディスカッションではまず、Webブラウザの限界について語られた。ヤマト運輸の小佐野豪績氏は、VBによる業務アプリケーションをWebブラウザベースに切り替えた途端に「使いづらくてよく分からないという非難がユーザーから山のようにきた」という。メディア情報開発の山田隆信氏も「業務システムでは、左手で伝票入力して右手で伝票をめくるような場面が数多くある。こうしたことに対応できなければならない」と、Webブラウザによるアプリケーションの限界を指摘した。
この状況に対して、ヤマト運輸ではアプリケーション配布をWebブラウザと同様にサーバから動的に行えるリッチクライント・ソリューションを導入、「ユーザーからの評判もよくなり、さまざまなユーザーの要求にもこたえやすくなった」(小佐野氏)という。
アドビシステムズの小島英揮氏は、使いやすさを追求するリッチクライアントはUI以外での利便性として、ワークフローの柔軟性が求められるのでないかとし、PDFの利点をアピールした。マクロメディアの須賀正明氏は、Flashでの業務システム開発に関して、「JavaScriptに準拠したスクリプト言語などが備わっており、最新バージョンではVBのようなビジュアル開発機能も用意した」と紹介。アクシスソフトの山形浩一氏は同社のBiz/Browserに関して「Webブラウザでミッションクリティカルな企業アプリケーションを実現する」と紹介した。
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