阪急交通社は先ごろ、大規模基幹システムのインフラ更改を7カ月という短期間で完了させた。約5000のSQLを1.5カ月で全量検証、業務ダウンタイムを最短化したデータベース移行、データ分析処理性能の大幅向上を可能にしたのは、オラクルの最新データベーステクノロジであった。[パフォーマンス改善][高可用性/災害対策][Oracle Data Integration]
観光庁によれば、2013年度(2013年4月〜2014年3月)における国内主要旅行会社の総取扱高は、国内旅行や海外からの旅行客の増加もあって64兆8552億円超と前年度比3.7%増の伸びを示した*。この市場において、取扱高3700億円超と業界大手の一角を占めているのが阪急阪神ホールディングスの中核事業会社の一つであり、1948年に創業した阪急交通社だ。同社は消費者ニーズを的確に捉えた商品開発を得意としており、近年は中高年層をメインターゲットにした添乗員付きパックツアー「トラピックス」をはじめ、高級志向の「クリスタルハート」、ハイエンドの「ロイヤルコレクション」、個人向けの自由旅行商品「e-very」などの人気旅行ブランドをラインアップ。新聞、テレビ、インターネットなどのメディアや、全国350万世帯に送付している旅行情報誌「トラピックス倶楽部」を介して商品を訴求/提案し、コールセンター(あるいは、Webサイト経由)で予約注文を受け付けるという通販モデルによってビジネスを成長/発展させてきた。また、最近ではWebサイトを通じた売り上げも全体の30%超にまで成長し、なおも伸び続けているという。
そんな阪急交通社のビジネス/業務を根底から支えるシステムが、Oracle Databaseを用いて構築した「HBOS(Hankyu Business Optimization System)」だ。同社総合管理本部 情報システム部 情報システム課長の石塚創氏は、「HBOSは、商品の企画/原価管理や仕入れ、流通、販売、顧客管理、さらには経理仕分けの作成に至るまで、当社の多岐にわたる業務処理で利用される、まさにビジネスの基幹を担うシステムです」と説明する。HBOSには、約800台のコールセンター端末を含む4000台強の業務端末が接続されており、年間で処理される旅行の予約件数は約300万件(2013年度実績)に上る。登録済みの会員顧客の数は3000万人を超え、全体のデータ容量は1.8Tバイトに達する。
HBOSは、阪急交通社のWebシステムはもとより、航空各社など外部組織のシステムとも連携している他、システムに蓄積されたデータは社内のマーケティング分析でも利用されている。そのため、システム利用が集中する月曜午前のピーク時におけるSQLの実行回数は1時間当たり6400万件に達し(最も少ない場合でも1時間当たり2000万件)、HBOSのインフラには24時間/365日の安定稼働と高いパフォーマンスが常に求められている。
* 観光庁「平成25年度主要旅行業者旅行取扱状況年度総計(速報)」(PDF)
阪急交通社がHBOSの最初のシステムを導入したのは2005年のことだ。これに伴い、それまで日本各地の拠点に分散していた業務サーバーを1カ所(データセンター)に集約し、Oracle Databaseを中心にした一つのインフラ上で販売、仕入れ、顧客管理などの基幹業務プロセスを回せるようになった。その結果、業務の手順/手法の標準化/統一化が進み、業務効率の向上やコスト削減といった効果が生まれた他、実データに基づく経営判断のスピードアップやサービス品質の向上などにもつながった。これに加えて、災害時復旧(DR:Disaster Recovery)サイトを設けたことで基幹業務の継続性も担保されたという。
ところが、旅行商品の販売量が年々ハイペースで伸びていく中で、「私たちの予想を上回るペースでHBOSに蓄積するデータ量が増大し、マーケティング分析のためのデータ抽出/検索処理のレスポンスが見る見る悪化していきました。その結果、コールセンター業務など重要な業務への影響を極力抑えるため、データ抽出業務に大きな制限をかける必要に迫られるようになっていたのです」と石塚氏は振り返る。
このような状況を打開するには、より高性能なインフラへの更改を行うことが不可避である。また、HBOSのサーバーハードウェアの保守契約も期限切れを迎えていた。そこで阪急交通社は、サーバーハードウェアの刷新とOracle Databaseのアップグレードを含むHBOSのインフラ改革に乗り出した。17台のデータベースサーバーを含めた約200台のサーバーから成るITインフラの更改計画が本格的に動き始めたのである。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年1月31日
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