北陸コカ・コーラボトリングがOracle Exadata V1からX4への移行で「災害対策」「移行リスク最小化」のために取ったアプローチとは?安全/確実なデータベース移行と災害対策のベストプラクティスを実践(3/3 ページ)

» 2015年03月23日 07時00分 公開
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Oracle Database 11g R2と12c R1の混在環境で移行リスクを軽減

 Oracle Exadata X4-2への移行に際して渡辺氏らが特に検討を重ねたのは、「Oracle Databaseのどのバージョンを使うか」ということであった。

 「Oracle Databaseを11g R2にするか、それとも12c R1にするかで何度も議論しましたが、結論を出す上で大きな決め手となったのは“サポートフェイズ”です。11g R2はPremier Supportが2015年1月に終了し、その3年後の2018年1月に延長サポートであるExtended Supportも終了します。

 一方、12c R1は2018年7月までPremier Supportを利用でき、その後の3年間はExtended Supportも受けられます。最終的には、システム移行時のリスクを低減することを目的に11g R2を利用しつつ、将来的なメンテナンスサポートと移行環境の確保を視野に12g R1も使う混在環境で構築することに決めました。ただ、私は12cのマルチテナント機能などに非常に期待しているので、これが新規構築であったとしたら、迷わずOracle Database 12c R1を選択したでしょう」(渡辺氏)

 ストレージ関連の問題もクリアする必要があった。移行前のOracle Exadata V1の実利用容量は10TBに達していたが、移行先のOracle Exadata X4-2のディスク容量は、High Performance Diskを選択したこともあり13TBである。今後もデータが増え続けることを考えると、これでは少々心もとない。そこで利用したのがデータベース圧縮機能だ。当初はOLTP表圧縮で全ユーザー表領域ごとに圧縮することを想定していたが、パフォーマンス面を考慮し、特定テーブルに「Exadata Hybrid Columnar Compression(EHCC)」を適用することで容量を確保した。

 ストレージに関するもう一つの問題はパフォーマンスだ。実は以前の環境は6台のストレージサーバーで構成していたため、パフォーマンスには余裕があった。しかし、Oracle Exadata X4-2 Quarter Rackのストレージサーバーは3台であり、既存のトランザクション量で見積もるとパフォーマンスが不足していた。そこで利用したのが、SSDをキャッシュとして利用する「Exadata Smart Flash Cache」だ。この機能にはデータの整合性を重視するWrite Throughモードと、パフォーマンスを優先するWrite Backモードがあり、渡辺氏らは後者を利用することで性能問題をクリアしたという。

Oracle GoldenGateでシステム停止時間を最短に抑えながら、安全/確実にデータを移行

 新環境へのデータ移行では、主にデータレプリケーションツール「Oracle GoldenGate」を使いつつ、Export/Importによるデータ移行を併用した。全てのテーブルをOracle GoldenGateで移行しなかったのは、移行元のデータベースがOracle Database 11g R1であり、移行できるオブジェクトに制限があったためだ。

 なお、北陸コカ・コーラボトリングのシステムは365日運用であり、メンテナンスに割ける時間は午後10時から午前5時までである。この時間内でOracle Exadata V1からX4-2への切り替えを完了する必要があったが、ここでもOracle GoldenGateが威力を発揮する。Oracle GoldenGateによって事前に新旧環境の同期を行ったことで、当日は同期できない一部オブジェクトのExport/Import作業などだけを実施し、データベースの実質的な停止時間はわずか2時間に抑えられたという。このときの経験を振り返りながら、渡辺氏はOracle GoldenGateを次のように評価する。

 「結論からいえば、Oracle GoldenGateは非常に使えるツールです。特に業務停止時間を最短に抑えて移行したいとか、移行元に大量のデータが存在するとかいった場合には極めて効果的です。ただし、複雑な構成のシステム環境で使う場合には、エラーが生じた際の対応に深い知識やノウハウが必要となる可能性があります。これには、日本オラクルのコンサルティングサービスの利用や、Oracle GoldenGateによる移行経験者の起用といった策が有効でしょう」(渡辺氏)

 続けて、渡辺氏はOracle Exadataがもたらしたコストメリットに触れる中で、設置面積や使用電力の削減効果を明かした。

 「Oracle Exadataの導入により、データベースサーバーが使用するフロア面積を10分の1に減らすことができました。使用電力についても、V1で以前の5分の1程度にまで削減できましたが、今回X4-2に移行したことにより、これも以前の10分の1程度にまで削減されました」(渡辺氏)

 そして最後に、「やはりOracle Exadataの非常に大きなメリットは、ソフトウエアとハードウエアをオラクルが事前に検証した上で最適化して構成されていること、複数のデータベースシステムを安心して統合できることです。また、今回触れたようなOracle Exadata特有の機能にも他の製品では得がたい魅力があります」と総括。さらに、「今回の移行/アップグレードプロジェクトでは、安全かつ確実なデータ移行を可能にするOracle GoldenGateに特に感心しました」と話して講演を締めくくった。

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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年4月22日

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