「Oracle Exadata」を基盤に据えたデータベース統合プロジェクトにより、バッチ処理の高速化やコスト最適化などのメリットを手にした東京海上日動システムズ。同社はこのプロジェクトの遂行を通して、企業革新に向けた機会創出と意識変革、IT人材のスキルアップも果たした。プロジェクトを推進した同社キーマンは「Oracle Exadataは企業変革の原動力になり得る」と断言する。[プライベートクラウド/データベース統合][パフォーマンス改善][Engineered System]
「データベース統合プロジェクトは、会社の中枢にあるデータと人、業務など、さまざまな要素が絡み合いながら回っていきます。だからこそ、会社を変える絶好の機会となり得るのです」――東京海上日動システムズの永易稔丈氏は、日本オラクルが2014年7月に開催した「Oracle DBaaS & Big Data Summit」の講演で聴講者らにこう訴えかけた。同社が推進するデータベース統合プロジェクトにおいて、永易氏らが統合データベース基盤として採用したのがオラクルのEngineered Systems「Oracle Exadata」だ。ここでは永易氏の講演を基に、同プロジェクトの全容とOracle Exadataがもたらした効果を紹介する。
永易氏は、東京海上グループの先進的なIT活用をけん引してきた東京海上日動システムズにおいて、オープンインフラ系の担当組織であるITサービス第二本部に所属する。同本部はオープン共通基盤部とオープンアプリ基盤部の2部門から成り、後者はアプリケーション担当部門と協力しながら基盤を洗練させる役割を担っている。そのオープンアプリ基盤部で上級プロデューサーを務める永易氏は、Oracle Exadataの採用を決断し、同社のデータベース統合プロジェクトを推進した当事者でもある。
「Oracle Exadataの性能は極めて高く、単にデータベースサーバーをOracle Exadataに置き換えるだけで、システムのパフォーマンスやコスト効率は大きく向上します。しかし、それだけではOracle Exadataの潜在価値を100%引き出したことにはなりません。企業/組織を変える力としてOracle Exadataを使うことが大切なのです」(永易氏)
それでは、東京海上日動システムズでは、Oracle Exadataによるデータベース統合プロジェクトをどのように進め、企業改革へとつなげたのか。永易氏は講演の中で、その道程を具体的に明かした。
Oracle Exadataは、データベース統合によるコスト削減やシステムのパフォーマンス改善にとどまらず、ビジネスの現場で発生するデータのリアルタイム分析やDBaaS(データベースクラウド)など、従来のシステム基盤では成しえなかったさまざまなIT改革/ビジネス改革を可能にします。下記の資料では、実際にそれらの改革を成し遂げた企業の最新事例を紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
「Oracle Exadata導入事例 2014」(TechTargetダウンロード資料)
「Oracle Exadataは、単に導入するだけで相応の効果が得られる。しかし…」 東京海上日動システムズが実践するITシンプル化と、その先にあるイノベーション
永易氏が推進したデータベース統合の取り組みは、1995年に構築されたデータマートシステムの刷新と運用コスト/システム性能の最適化を目指したものだ。このデータマートシステムでは当初、汎用的なアプリケーションが主に使われていた。しかし、利用が進むにつれて業務部門から挙がる個別の要求に応じたアプリケーションが多く開発されるようになり、最終的なアプリケーション数は約65種におよんだ。それらの多くは分析やレポート参照などを目的とする照会/検索系のアプリケーションであったが、なかには「経費処理/問い合わせ対応」といったデータエントリ/更新を伴うものなど、データ活用のためのシステムとしては少々異質なアプリケーションも含まれていたという。
当然のことながら、アプリケーションの数が増えれば構成も複雑になり、インフラの増設/増強も進む。その結果、統合前のデータマートシステムは14台のデータベースサーバーと3台のストレージ装置を抱えるまでになり、永易氏が所属するインフラ担当部門は常にハードウェア/OSの保守やサポート切れ対応に追われるような状況であった。
また、ハードウェアの数が多ければ、その分、障害の発生件数も増える。それらの対応もITスタッフの大きな負担となっていた。しかも、月間400万件規模の処理をこなす中で、システムのキャパシティ不足も深刻化していた。具体的には、夜間バッチの終了時間が年々後ろ倒しとなり、2012年には終了時間のリミットを超えてしまう事態に陥っていたのだ。
これらの問題を解決するために、東京海上日動システムズが最終的に選択したのがOracle Exadataの導入である。つまり同社は、14台のデータベースサーバーと3台のストレージ装置、そしてデータマートアプリケーションで利用するデータベースの全てをOracle Exadataに集約するというアプローチを選んだのである。
Oracle Exadataの採用は、東京海上日動システムズの厳格なインフラ選定フローを経て決定された。このフローは個別インフラの拡散や運用コストの増大を防止するために同社が定めた決まりであり、次の3つの判断基準をベースにしている。
また、上記(3)の基準からも察せられるように、東京海上日動システムズでは仮想サーバー基盤(プライベートクラウド基盤)へのシステム集約を前提にOSを含めたソフトウェア製品の選定を進めている。加えて、オープンソースソフトウェア(OSS)の採用も積極的に検討してきた。となるとあらためて気になるのが、こうしたルールを持つ東京海上日動システムズが、なぜOracle Exadataを採用したのかということだ。
「決め手となったのは、ランニング費用も含めたトータルコストです。確かに、ソフトウェア/ハードウェアの初期導入費は、OSSと汎用サーバーの組み合わせの方が安上がりになるかもしれません。しかし、導入後のシステム改修やテスト、構築/設計なども含めてトータルに考えると、やはりOracle Exadataに軍配が上がったのです」と永易氏は説明する。
それでも、Oracle Exadataの導入がすんなりと決まったわけではないようだ。
「Oracle Exadataの導入に関しては、社内から反対の意見も上がりました。そこで、Oracle Exadataのコスト効率の高さを示す資料を用意し、関係者に対する説明を幾度も行い、最終的な合意を得たのです」(永易氏)
こうした永易氏の努力は、投資対効果として大きく結実した。Oracle Exadataへのデータベース集約によってデータマートシステムの性能は向上し、例えば以前は28時間を要していたあるバッチ処理が8時間で完了するまでになった。オンライン処理についても、全体の99%のレスポンスタイムが従来の「30秒以内」から「5秒以内」へと短縮された。
また、それだけでなく、処理量がピークを迎える時間帯でも、パフォーマンスが低下することなく安定稼働を続けている。実際、Oracle Exadata導入前は年度末のバッチ処理が遅延したり、ユーザーのアクセス集中によるシステムのスローダウンが発生したりしていたが、Oracle Exadataに切り替えた年の年度末は何事もなく快調に動き、「今年の年度末締め切り明け(4月4日)は例年より早く処理が終わり、何も不自由なく業務対応できた」「例年の年度末の倍の早さで資料を作成できた」といった具合にOracle Exadataの導入を歓迎する声が多数寄せられているという。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2014年10月28日
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