VOYAGE GROUPが400万会員のデータベースをわずか2カ月で移行し、大幅な性能向上を実現できた理由400万会員のDB基盤を2カ月で刷新、ポイントは?(1/2 ページ)

ポイントサイト「ECナビ」などを運営するVOYAGE GROUPは、約400万人の会員情報とポイント情報を「Oracle Database Appliance V1」で管理してきた。同社は2014年夏、新規キャンペーンによるトラフィック急増に備え、このデータベース基盤をわずか2カ月で「Oracle Database Appliance X4-2」に移行。IOPSを約60%高めるなど大幅な性能向上を果たした。[パフォーマンス改善][運用管理効率化][Engineered System]

» 2015年04月09日 07時00分 公開
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重要なデータの管理はOracle Databaseで。Oracle Database Appliance V1導入により性能を確保

VOYAGE GROUP システム本部の加藤謙一氏

 VOYAGE GROUPは、ポイントサイト「ECナビ」やポイント交換サイト「PeX」などのオンラインメディアを手掛けるIT企業である。その前身が設立されたのは1999年。多くのIT企業と同様に、VOYAGE GROUPも業務システムのほとんどをオープンソースソフトウエアの組み合わせで構築している。Web系ビジネスでは処理量の急増がしばしば起こるため、予測に基づいて大型システムを用意しておくより、低コストの小型システムをその都度増設するスケールアウト戦略の方が適しているからだ。

 それでも、サービス稼働当初から重要な情報には高い可用性と安定性に実績のある「Oracle Database」を使用してきた。ECナビの場合、最も重要なデータは、約400万人の会員情報である「会員管理データベース」と、その会員が保持しているポイントを記録する「ポイントデータベース」の二つだ。「この二つのデータベースについては、高いパフォーマンスと安定性を確保するために、以前よりOracle Databaseを使用してきました」とVOYAGE GROUP システム本部の加藤謙一氏は説明する。

 この会員管理データベースとポイントデータベースを稼働させるための基盤として、当初は汎用(はんよう)のサーバーとストレージが使われていた。しかし、会員数の増加に伴い入出力性能の低下が顕在化。2012年にはオラクルのエンジニアドシステムズ「Oracle Database Appliance V1」へと移し替えられた。

新規会員獲得キャンペーンまでわずか2カ月。期間最優先で入出力性能の向上を検討

VOYAGE GROUP ECナビ事業本部 エンジニアの駒崎大輔氏

 しかし、Oracle Database Appliance V1導入後も、入出力性能の低下に対する監視は欠かせなかった。サービスの仕様ゆえに、ECナビでは短時間に大量の読み込みアクセスが発生しやすかったのである。

 「ECナビには、毎日1回ポイントを獲得できるコンテンツがあります」と説明するのは、この業務システムの設計/開発/運用を担当する同社ECナビ事業本部 エンジニアの駒崎大輔氏だ。いち早くポイントを獲得しようとする会員からのアクセスが集中する午前0時からの数時間は、平常時と比較してトラフィックが倍増する。

 ポイントを付与するかどうかを判断するためにも、データベースの大量読み込みが必要だった。「ECナビでは、ポイントの種類ごとに、その会員が過去どのようなアクションをしたかに基づいてポイントを付与するかどうかを決めています」と加藤氏は語る。会員の行動履歴を調べるための日付指定範囲検索によって、大量の読み込みアクセスが発生してしまうのである。

 さらに、2014年5月にはECナビの業務システムへの負荷が増えることが予想される事業計画が明らかになった。新規会員獲得のためのメディアミックスキャンペーンが7月に始まることになったのである。予想されるトラフィック増に対処するための期間は、わずか2カ月。「業務システムの見直しやチューニングの時間は、とても取れそうにありませんでした。そこで、ソフトウエアは変更せず、ハードウエアを大きくすることで対処することにしました」と加藤氏は振り返る。

システム全体の構成概念図(クリックで拡大)

エンジニアドシステムズのメリットを活用。最新版へのリプレースで短期間での拡張を実現

 ハードウエアの増強/拡張にはさまざまな方法がある。その中からVOYAGE GROUPが選んだのは、2年前に導入したばかりのOracle Database Appliance V1を、当時の最新版である「Oracle Database Appliance X4-2」へとリプレースすることだった。

 理由はいくつかある。まず、入出力性能を高めることが目標だったので、CPU/コアの追加やメモリ増設による改善効果はほとんど期待できなかった。理屈の上では増設したメモリをキャッシュとして活用することも考えられたが、「最新のポイント値をリアルタイムで照会するソフトウエア仕様になっている」(駒崎氏)という業務システムの特性から採用には至らなかった。

 現実的なのは、ハードディスクドライブ(HDD)の増設による入出力性能の向上である。しかし、VOYAGE GROUPが使っていたOracle Database Appliance V1には既に上限までHDDが装着されていたので、HDDの数を増やすには、より大型のデータベースアプライアンス製品にリプレースするか、サーバー+ストレージという以前の形態に戻すかを選ぶしかなかった。「サーバーとストレージの機種を選定し、『手組み』での構築を2カ月で済ませるのは、到底現実的ではありませんでした」と加藤氏は言う。そこで、ストレージ拡張オプションを外付けできる最新のOracle Database Appliance X4-2が、同社にとって最良の選択という結論になったのである。

 早速発注したストレージ拡張オプション付きのOracle Database Appliance X4-2がVOYAGE GROUPのデータセンターに搬入されたのは、2014年6月。システム構築と移行作業はほぼ1カ月で完了し、7月上旬から実際の業務で稼働を開始している。

 これだけ短期間でのデータベース移行が実現した要因として加藤氏と駒崎氏が挙げるのは、新旧のOracle Database ApplianceでOracle Databaseのバージョンがほとんど同じだったこと、Export/ImportではなくRMANによるバックアップ/リストアでデータを載せ替えたことなどだ。

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年5月8日

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