HRstationの構築プロジェクトは2014年1月にスタートし、データセンターへのOracle Database Appliance搬入は同年8月に行われた。その後、データベースの移行を実施し、10月にはデータベース基盤としての稼働準備が整ったという。
「ほぼデフォルト設定の状態で使えたため、設置から稼働準備が整うまでの期間は実質1カ月程度でした。旧システムと同様に汎用サーバー製品を使って構築していたとしたら、チューニング作業なども含めて2、3カ月はかかっていたでしょう」(迫川氏)
その後、本番稼働に向けたデータ移行のリハーサルを複数回実施。並行してアプリケーションの再構築を行った後、2015年3月に新システムによるサービス提供をスタートした。
「実際に稼働させてみて、Oracle Database Applianceのパフォーマンスの高さに驚きました。必要なコア数だけを使うスモールスタートにより、まずは旧システムと同じコア数で稼働させているのですが、旧システムではCPUリソースをフルに使い切り、頭打ちとなっていた性能が大幅に向上しています」(迫川氏)
HRstationは、勤怠管理や請求といった業務で利用されるという性質上、月初めに負荷のピークを迎える。その時期でも、Oracle Database Applianceによる新データベース基盤では、旧システムと比較してCPU使用量が約5分の1程度に収まっているという。迫川氏は、その理由を「Oracle ASMなど各種の先進機能がOracle Database Applianceに最適化されているため、I/O処理で大量のCPUリソースを消費しなくなったことが大きく効いているのでしょう」と推測する。
なお、Oracle Database Applianceに搭載されているOracle Database Enterprise Editionでは、データベースバックアップ時にRMANが使用するCPUリソースの割合を事前に指定することができる。そこで、KDDIエボルバではサービス提供の品質を重視し、「たとえ処理に多くの時間がかかったとしても、サービス提供に影響が出ない範囲で設定している」(迫川氏)という。
KDDIエボルバでは、HRstationの再構築に際して、データマスキングツール「Oracle Data Masking Pack※1」やアプリケーションテストツール「Oracle Application Testing Suite(以下、Oracle ATS)」、そして「Oracle Diagnostics Pack」「Oracle Tuning Pack」といったOracle Databaseの周辺ツールも積極的に活用している。
※1 最新版の名称は「Oracle Data Masking and Subsetting」
まず、Oracle Data Masking Packについては、本番稼働に向けたデータ移行のリハーサル時に利用した。
「HRstationは非常に多くのお客さまにご利用いただいており、『旧システムから新システムへの間違いのないデータ移行』は極めて重要な課題でした。今回は単純な移行ではなく、新たなテーブルなども追加していたため、万全を期して移行前に3回のリハーサルを行っています。その際、本番環境のデータを利用した正確なテストを行うために、本番データの特性を維持したままマスキングし、安全にテストが行えるOracle Data Masking Packを活用したのです」(迫川氏)
Webアプリケーションの負荷テストや機能テストを効率化するOracle ATSについては、旧システム時代から利用しており、今後も活用範囲を広げていきたいと語る。
「当社のように少数精鋭でシステム運用を行う企業では、効率化のためにツールを利用することが必須です。そうした考えから、Oracle ATSについても実績や価格を比較検討して導入を決めました。特に大量の仮想ユーザーを作成して正確な負荷テストが行えるOracle Load Testing※2は、実際の利用ケースを想定した負荷テストで活躍しました」(迫川氏)
※2 Oracle ATSに含まれる負荷テストツール。Oracle ATSはこの他、機能テストツールのOracle Functional Testing、テスト管理ツールのOracle Test Managerを提供する。
同じく旧システム時代から愛用しており、「今後も手放せない」と迫川氏が高く評価するのが、データベース監視ツールのOracle Diagnostics PackとデータベースチューニングツールのOracle Tuning Packだ。
「旧システムでパフォーマンス上の問題が発生した際、試用版を使ってみたのが導入のきっかけでした。Oracle Tuning Packを使うと、パフォーマンスに影響を及ぼしているSQL文のリストだけでなく、その修正方法の候補まで提示してくれます。初めて使った際には、念のためデータベースコンサルタントにも加わってもらい対処策を検討したのですが、コンサルタントが提案する改善策とOracle Tuning Packが提示する修正案がほぼ同じ内容であったことに驚き、感心しました。幸い、これまでのところHRstationでパフォーマンス上の問題は起きていませんが、今後のことも考え、引き続き活用していきたいと思っています」(迫川氏)
こうして、KDDIエボルバはHRstationにおける「導入コスト/運用コストの削減」「柔軟な拡張性」「セキュリティ強化」、そして「パフォーマンス向上」といったさまざまな効果をOracle Database Applianceと周辺ツールの活用によって実現した。HRstationのサービス提供に携わるKDDIエボルバ 営業統括本部 BPO推進部の高崎佳子氏は、「Oracle Database Applianceの導入により、HRstationの安定したサービス提供を実現するとともに、利用社数の拡大にも柔軟に対応できるデータベース基盤を実現できました。今後も、より多くのお客さまにHRstationをご利用いただくことで、効果的かつ効率的な人材活用をご支援していきたいと考えています」と抱負を語る。
なお、KDDIエボルバは現状、HRstationのバックアップ環境をオンプレミスで運用しているが、日本オラクルの提案により、これをオラクルのパブリッククラウド「Oracle Cloud」を利用した構成に移行することを検討している。この移行により、バックアップ運用のさらなる安定化に加えて、システム障害や災害時にもスムーズにサービス提供を継続することのできるDR(Disaster Recovery)構成が実現されるという。
景気拡大を背景に、需要の高まりが続く人材派遣市場。派遣スタッフの迅速かつスムーズな活用を支援するHRstationのサービス提供拡大と安定稼働は、今後もOracle Database Applianceが支えていく。
※HRstationは株式会社KDDIエボルバの登録商標です。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年8月14日
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