「フルトランスポータブルExport/Import」は、トランスポータブル表領域とData Pumpの機能を併用した移行方法である。トランスポータブル表領域を使った移行ではシーケンスやシノニムといったオブジェクトを移行先に作る必要があるが、この方法であればオブジェクトの移行はData Pumpでカバーできる。これがフルトランスポータブルExport/Importの大きなメリットだ。
エンディアンの変換が必要な場合は、トランスポータブル表領域と同様、増分バックアップを使うことで移行時間を短縮できる。移行元データベースは11.2.0.3/4以降、移行先データベースは12.1.0.1以降のみをサポートしており、古いバージョンでは使えないのが難点だが、このような方法があることも覚えておいていただきたい。
移行元から移行先への切り替え時間を最も短くできるのは、「Oracle GoldenGate」と使う方法だ。これはデータベース間でレプリケーションを行うためのツールであり、移行元データベースの変更内容をキャプチャして、それを移行先データベースに転送/適用することで、新旧データベースの同期を行う。同期が終了したら、アプリケーションの接続先を切り替えれば移行は完了である。
ここまでに紹介してきたデータベース移行方法は、それぞれにプラットフォームが異なる場合の対応や適用できるデータベースのバージョン、ダウンタイムや作業量が異なる。実際の移行時には要件を見極め、適切な移行方法を選択していただきたい。
続いて、既存のデータベースをOracle Database 12cによるマルチテナント環境に移行する場合の流れを説明する。
まず、新規にサーバーを構築し、その上でマルチテナントデータベースを稼働する場合、データベースの移行は容易だ。ここまでに紹介したData Pumpやトランスポータブル表領域、フルトランスポートExport/Importが利用できる。
既存のOracle Databaseをアップグレードする場合も、DBUAを利用した通常通りのアップグレード手法を使えるが、この場合はマルチテナントではないデータベースとして構成される。そのため、マルチテナント構成のデータベースをもう一つ作成し、そのデータベースへの移行作業が必要となる。
通常のデータベースからマルチテナントデータベースのプラガブルデータベースに移行する作業は、さほど複雑ではない。通常はデータベース上で移行に必要な情報が記載されたXMLファイルを生成し(生成用のパッケージを利用する)、そのファイルを利用してマルチテナントデータベース側にプラグインするだけだ。無事にプラグインできたら、事後処理用のスクリプトを実行すれば移行は完了である。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年12月29日
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