まずFCFとACのいずれも利用しない「パターン1」については、次のグラフに示す結果となった。
このグラフから、発生したトランザクションエラーにより、障害のないインスタンスへとコネクションが徐々に切り替わっている様子が分かる。ただし、FCFが使われていないため、アプリケーションサーバ側ではどのRACインスタンスで障害が起きたのかを把握できておらず、エラーが発生するたびに、コネクションを別のインスタンスに切り替えるという処理が発生している。障害発生から20秒以上が経過した段階でもトランザクションエラーが発生し続け、正常なインスタンスへのコネクションの切り替えが完了していない。
一方、FCFのみを有効にした「パターン2」の結果は次のグラフとなる。
このパターンでは、FCFによって障害発生から約2秒以内にアプリケーションサーバ側でRACインスタンスの障害が検知され、全てのコネクションが正常なインスタンスへと切り替わっている。これにより、障害発生から3秒以内にトランザクションエラーも収束したことが分かる。
FCFに加えてACも有効にした「パターン3」の結果は次に示す通りだ。
このパターンでは、FCFによるコネクションの切り替えがパターン2と同様に行われているのに加えて、ACによってクライアント側へのトランザクションエラーの発生も防がれている。
これらの結果から、VIPを利用できないOracle Database Cloud Serviceにおいても、Oracle WebLogic Server(Oracle Java Cloud Service)との組み合わせでFCFとACの各機能を活用することで、ミッションクリティカルな用途に耐える可用性を確保できることが分かった。
今回行った検証の結果について、飯泉氏は次のように総括する。
「VIPが利用できないOracle Database Cloud ServiceのOracle RACでは、SQL*Netのタイムアウト値の変更、Oracle Java Cloud Serviceとの組み合わせによるFCFやACの利用といった対応を行うことで、障害検知までの時間を短縮し、ミッションクリティカル用途に求められる可用性を確保できることが分かりました。今回、初めてOracle Cloud Platform上でFCFの本格的なテストを実施したのですが、期待通りの結果が得られました。これらを活用することで、特別なチューニングを行うことなく、クラウド上でも可用性の高いデータベース環境を構築できると分かったことには大きな意味があると考えています」(飯泉氏)
一方、福田氏は、FCFとACを利用するための環境構築にあたり、Oracle Cloud Platformを活用することのメリットを強調する。
「Oracle Cloud Platformでは、Oracle RACとOracle WebLogic Serverを組み合わせた環境の構築に際して、ネットワークの設定まで考慮した自動化が図られていることが非常に大きなメリットだと感じました。今回使用した検証環境の構築も、基本的な部分は数十分で完成し、大幅に省力化できました」(福田氏)
今後は、「性能」「可用性」と並んで重要なポイントとなる「セキュリティ」についても検証を進め、その結果を踏まえて本格的なミッションクリティカル領域でのクラウド活用を推進していく意向だという。
なお、PSソリューションズの検証作業を支援した日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 データベースソリューション本部 通信ソリューション部の黒田壮大氏は、「Oracle Cloud Platform上でのOracle RACの可用性について、ミッションクリティカル領域に高い技術力とノウハウを持つPSソリューションズによる検証が行われたことに感謝します。今後も協力して検証作業を進め、ミッションクリティカル領域でのクラウド活用をともに加速させていきたいと考えています」とコメントしている。
以上、PSソリューションズによるOracle Database Cloud Serviceの可用性に関する検証結果を紹介した。
Oracle Database Cloud ServiceとOracle Java Cloud Serviceについては現在、30日間の無償トライアルを実施している。Oracle DatabaseやOracle WebLogic Serverをクラウドで利用したいと考える読者は、ぜひこれを利用して両サービスを実際に試し、ご自身の目でその実力を確かめていただきたい。
本記事で紹介したPSソリューションズによるOracle Cloud Platformの検証結果は、2016年4月26日に都内で開催されるイベント「Oracle Cloud Platform Summit Tokyo」のセッション「2-A “ミッションクリティカルクラウド”は本当か? 障害影響ゼロをクラウドで実現!」(実施時間:14:15〜15:00)でも詳しくご紹介します。ぜひ奮ってご参加ください。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年5月10日
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