列車ダイヤの作成を支援するJR東日本の「輸送総合システム」。そのリプレースに伴う大規模なデータベースアップグレードで、業務への影響を最小限に抑えた移行を可能にしたのは「Oracle GoldenGate」であった。[プライベートクラウド/データベース統合][Data Integration]
首都圏をはじめ、関東甲信越および東北地方の鉄道輸送を担う東日本旅客鉄道(JR東日本)。同社が運行する列車の本数は1日当たり約1万2000本に上り、それを約1690万人が日々、利用している(いずれも2014年度の平均)。それらの列車の円滑な運行を支えているのが、列車ダイヤ、車両運用、乗務員運用、保守作業などの計画業務や車両の管理業務に関わるさまざまなサブシステムから成る「輸送総合システム」だ。同社は先頃、このシステムのデータベース基盤で利用しているOracle Databaseを、業務への影響を最小限に抑えながら10g R2から11g R2へと大規模にアップグレードした。それを可能にしたのが、リアルタイムデータ連携ツールの「Oracle GoldenGate」だ。プロジェクトを取り仕切ったJR東日本情報システムのスペシャリストらに、プロジェクトの概要とOracle GoldenGateの効果を聞いた。
JR東日本は現在、首都圏を含む東日本地域の安全・安心かつスムーズな列車運行を実現し、鉄道利用者の利便性を高めるために、さまざまなシステムを使用している。具体的なものとしては、在来線における列車ダイヤの計画などを総合管理する輸送総合システムの他、新幹線の運行に関わる全ての処理を担う「新幹線総合システム(COSMOS)」、SuicaなどのICカード情報を一元的に管理する「ID管理システム」などがある。それらの開発/運用を一手に担っているのが、JR東日本の情報システム部門が分社する形で1989年に設立されたJR東日本情報システムである。同社は、これらのシステムへの関わりを通して安全・安心な列車運行を支えている他、「新たな領域への挑戦」にも積極的に取り組んでいる。
そのJR東日本情報システムは2015年、輸送総合システムのリプレースという大規模プロジェクトを成功裏に終わらせた。このプロジェクトでは、中央サーバのリプレースやデータベースアップグレードに伴い14ものサブシステムの切り替えが実施された他、データセンターの移設も行われた。さらに、JR東日本管内の乗務員区所や車両センターなど100カ所を超える現場のサーバ、および約1400台の業務クライアントも切り替え対象となった。
このように影響範囲が極めて広範であることから、全システムで利用するデータベース環境を一度に全て切り替えるのではなく、半年間にわたって新旧データベース環境を並行稼働させながら、3回に分けて段階的に切り替えるという方針が採用された。ただし、この方法で移行するためには、新旧データベース環境を並行稼働させている期間中に両者のデータを同期し、手違いが生じないようにしながらプロジェクトを進める必要があった。
また、業務への影響を最小限に抑えることも重要な課題だったと語るのは、製品選定を担当したJR東日本情報システム 鉄道・生活サービス部門 鉄道システム部 輸送企画プロジェクト サブリーダーの秋山智広氏だ。
「輸送総合システムは、列車の信号制御を行う『列車運行管理システム』に日々ダイヤデータを提供していますが、これが滞った場合、列車が正常に運行できずダイヤが大きく乱れる恐れがあります。また、以前のリプレース時と比べて、システムの拡張により扱うデータの種類や利用先が格段に増え、広範な業務で使われるようになったことから、日常業務に影響を及ぼさずに移行することが求められたのです」(秋山氏)
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アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年6月9日
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