このように、Oracle RATは非常に強力なツールだが、これを使うには幾つかの前提事項がある。特に頭を悩ませるのが前述の「テスト環境の準備」だ。
まず、既存データベースの側にOracle Database Enterprise EditionとOracle RATのライセンスが必要となる。SQL Performance AnalyzerはOracle Diagnostics PackやOracle Tuning Packのライセンスでも使えるが、キャプチャーしたSQLをDatabase ReplayでリプレイするにはOracle RATのライセンスが必要なのだ。
また、テスト環境の側にはEnterprise EditionとOracle RATのライセンスが必要である他、サーバマシンも用意することになるだろう。
「もっとも、そうした初期投資がかかったとしても、多数のデータベースを集約した統合データベース基盤ならば、Oracle RATを使うことで投資以上のメリットが得られます。悩ましいのは、個別のアプリケーションで利用しているデータベースを単独でテストするケースです。この場合、規模によってはコストがメリットを上回ってしまう恐れもあります」(矢木氏)
こうした事情から、Oracle RATのメリットは理解していても、導入に踏み切れずにいる企業もあるだろう。Oracle RATをもっと手軽に、小さなデータベースシステムでも使う方法はないのだろうか。
そこで勧めたいのが、Oracle DBCSをテスト環境として使う方法(Oracle Real Application Testing@Oracle Cloudソリューション)だ。Oracle DBCSのサービスメニューの1つである「High Performance」では、Oracle Database Enterprise EditionとOracle RATを従量課金で使うことができる。
また、Oracle DBCSはOracle Database 11g/12cの最新版をサポートしており、それらを用いたデータベース環境を迅速に調達できる。クラウド側にアプリケーションを準備する必要はなく、SQL Performance Analyzerで取得したSQL Tuning SetをOracle DBCSに取り込むだけでテストが行える。
新日鉄住金ソリューションズの藤田慎二郎氏(ITインフラソリューション事業本部 ITサービスソリューション事業部 オラクル推進部)によれば、Oracle RATとOracle DBCSを用いたテストには、使用できるデータの条件に応じて次の3つのパターンがあるという。
「Basicパターンでテストするのが理想的ですが、ネットワーク帯域幅や会社のセキュリティポリシーなどの事情から、Oracle DBCSに本番環境のデータを転送するのは難しいケースもあるでしょう。その場合、SQL Tuning Setだけを使うNo Data to Cloudパターンでテストを行います」(藤田氏)
それぞれのパターンで評価できる内容は下図のようになる。
また、No Data to Cloudパターンによるテストの流れは次の通りだ。
BasicやMasked Data to Cloudでテストを行う場合は、上記の(1)の後にOracle DBCSへのデータ転送を行うことになる。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年3月5日
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