プライベートクラウドで運用されているVMware環境を“修正なし”でそのままパブリッククラウドに移行できるサービスとして登場した「Oracle Ravello Cloud Service」。自社トレーニング環境への導入を検討するソフトバンク コマース&サービスが、その実力を検証した。[パブリッククラウド][Oracle Cloud]
“VMwareのためのパブリッククラウド”として開発され、オンプレミスで運用されているVMware環境の“修正なし”でのクラウド移行を可能にする「Oracle Ravello Cloud Service」。国内向けの提供も本格的にスタートし、VMwareで構築した仮想化環境のさらなる利便性向上やコスト削減を求める企業の注目を集めつつある。
このOracle Ravello Cloud Serviceの価値を早くから見抜いていたのが、ソフトバンクグループにおいてIT関連製品全般のディストリビューション事業を担うソフトバンク コマース&サービスだ。コンシューマー向けのモバイルデバイスやアクセサリーから、法人向けのサーバやストレージ、ソフトウェア、そしてクラウドサービスまで、さまざまな製品を手掛ける同社はVMwareの各種製品も取り扱っており、具体的な活用方法などを学ぶことのできるトレーニングサービスも提供している。
同社はこのトレーニング環境として、これまでオンプレミスの物理サーバを利用してきたが、ハードウェアの老朽化を機に新たな環境への移行を検討している。「そこで候補に挙がったのがOracle Ravello Cloud Serviceでした」とICT事業本部 MD本部 第1技術部 1課に所属し、2016年にVMware vExpertの認定を受けた幸田章氏は話す。
「もちろん、これまでと同様にオンプレミスのサーバに入れ替え、データセンターで運用するという選択肢もあります。しかし、必要な時だけ使うことができ、使用した分だけ料金を支払うという柔軟性の高い基盤も検討の余地があると考えたのです」(幸田氏)
その候補にOracle Ravello Cloud Serviceを選んだ理由として、「以前から、このサービスに注目していたから」だと話すのは、同社の後藤正幸氏(ICT事業本部 MD本部 技術統括部 第1技術部 1課 課長)である。
「最初にRavelloのことを知ったのは、2014年に米VMware社が開催した『VMworld』というイベントでした。ここにRavelloが出展されており、審査委員賞(Judge's Choice)を受賞したのです。とてもユニークなクラウドサービスだと感心しました」(後藤氏)
それ以来、その動向に注目していたところ、vExpertコミュニティーのメーリングリストでRavelloが紹介されたこともあり、これをVMware製品のトレーニング環境として使えるのではないかと検証を行うことにしたのだという。
Oracle Ravello Cloud Serviceを使えば、オンプレミスに構築した既存の仮想化環境を一切変更することなく、パブリッククラウドに移行することが可能となる。独自の分散ハイパーバイザー環境「Ravello HVX」を使い、パブリッククラウド上でオンプレミスの仮想マシンを全く変更せずに実行できるほか、VMware ESXやKVMのハイパーバイザー作成し、その上で仮想マシンを実行するといったことも行える。
Oracle Ravello Cloud Serviceでは、仮想化環境を格納/実行する基盤(IaaS:Infrastructure as a Service)として「Oracle Cloud Platform」や「Amazon Web Services」「Google Cloud Platform」を利用しており、仮想化環境を格納/実行するリージョンをユーザーが指定すると、いずれかのIaaSが自動的に選択される。実際にどのIaaSが使われているのかをユーザーが意識することはなく、そのIaaSの使用料もOracle Ravello Cloud Serviceの料金に含まれているため、個々のIaaSへの支払いなどで煩わされることもない。
今回、幸田氏はソフトバンク コマース&サービスが使うVMware製品のトレーニング環境をOracle Ravello Cloud Serviceに移行できるかを確かめるために、さまざまな検証を実施した。
手始めに行われたのは、オンプレミスの物理サーバからOracle Ravello Cloud ServiceへのVMware環境の移行だ。「作成したトレーニング環境をスムーズに転送/移行できるかを確かめたのですが、東京都内の当社オフィスから東京リージョンのパブリッククラウドへと、十分に許容できる時間で移せました」と幸田氏は話す。
既存の仮想化環境をクラウドに転送(アップロード)する際、Oracle Ravello Cloud Serviceでは複数の仮想マシンやネットワーク構成を「Application」として集約し、丸ごとアップロードできる。これに関して幸田氏が「便利な機能」だと評価するのが、ネットワークの自動設定である。
「Oracle Ravello Cloud Serviceは、オンプレミスの仮想マシンに設定されているネットワーク設定を自動的に読み取ってクラウド上で自動構成してくれます。これは同サービスの非常に特徴的な機能で、使い慣れたらかなり楽になるだろうと感じました」(幸田氏)
もう1つ、幸田氏が高く評価する機能が「Blueprint」である。これは作成したApplicationをテンプレート化したものであり、そのままクラウド上に保存しておける他、Blueprintを複製して同一のApplicationを複数作るといったことも行える。ソフトバンク コマース&サービスでは通常、1回の講習でVMware製品のトレーニング環境を8セット用意するが、Blueprintの機能を使えば、トレーニング環境を簡単に複製してパブリッククラウド上に素早く展開できる。
Oracle Ravello Cloud Serviceでは仮想化環境の内側のIPアドレスレンジを自由に設定可能であり、パブリッククラウドサービスから払い出されるレンジに縛られることなく割り当てられる。一方、外部との接続に使うグローバルIPアドレスはOracle Ravello Cloud ServiceがプールしているIPアドレスレンジから払い出されるため、毎回同じになるとは限らない。ただし、グローバルIPアドレスを固定可能なオプションも用意されていることから、幸田氏は「実用上は全く問題ありません」と話す。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年4月2日
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