Oracle Database 12c R2が登場したことで、多くの企業がマルチテナント機能を用いたデータベース統合の検討を進めている。データベース統合のスペシャリストとして数多くのプロジェクトを手掛け、現在は米オラクルでクラウドエバンジェリストを務めるトロイ・アンソニー氏がデータベース統合のベストプラクティスを語った。[プライベートクラウド/データベース統合][Oracle Database 12c]
昨今、個々のアプリケーションごとに構築されたデータベース環境の運用管理やコストの効率化を目的に、多くの企業がプラットフォームの標準化やデータベース統合を進めている。プラットフォームの標準化はデータベース運用の負担軽減につながることから、OPEX(Operation Expense:運用コスト)の削減を期待できる。また、プラットフォーム統合が進めば、ITリソースの動的な最適化やシステム管理の自動化、さらにはCAPEX(CAPital EXpenditure:投資コスト)の削減まで見込むこともできる。
このプラットフォーム/データベース統合に取り組む際には、「コスト削減以外のメリットを生み出すことを考慮して設計すべし」と力説するのは、米オラクルでクラウドエバンジェリストを務めるトロイ・アンソニー氏だ。
「プラットフォーム統合を経験したお客さまは皆、統合しただけで終わりではなく、迅速性や俊敏性、あるいは拡張性も必要であることに気付かれます。そのために何をすべきかアドバイスを求められることがありますが、私が答えるのは『その先にある何かを見据えなければいけない』ということです。例えば、自動化や最適化、あるいはサービスデリバリーの迅速化を見据えてプラットフォーム統合を設計しなければならないのです」(アンソニー氏)
こうしたメリットを実現するデータベース統合の形態としてアンソニー氏が示すのが、「プライベートDBaaS」、そして「フェデレーテッドDBaaS」である。両者はクラウドサービスとして提供されるデータベース(DBaaS:Database as a Service)を利用するという点では同じだが、プライベートDBaaSは自社で運用するプライベートクラウドの形態を取り、フェデレーテッドDBaaSはパブリッククラウドとして提供されるDBaaSも利用したハイブリッドクラウドの形態を取る。
それでは、自社で完全にコントロールできるプライベートDBaaSと、データベースの内容や用途に応じてパブリッククラウドも選択可能なフェデレーテッドDBaaSのどちらがベストなのだろうか。この問いに対して、アンソニー氏は「ある調査(*1)によれば、71%の企業がハイブリッドクラウドを選択しています。プライベートクラウドだけという企業は、ごくわずかです」と説明する。もちろん、プライベートクラウドにもメリットはあるが、より柔軟なデータベース環境を構築できるハイブリッドクラウドを選ぶ企業が圧倒的に多いのだ。
*1:出典:RightScale「RightScale 2016 State of the Cloud Survey」
また、アンソニー氏は「データベース統合プロジェクトの進め方には、既存の環境をできるだけ生かすシンプルな『移行』と、データベースの標準化やシステムの簡素化まで視野に入れた『変革』という2つのアプローチがあります」と話す。企業はいずれかを選択して新たな環境の設計を進めることになるが、アンソニー氏は、特に「変革」を選ぶことを強く推奨する。
「もちろん、変革の道を選べばプロジェクトの難易度は高まり、時間もかかるでしょう。しかし、全体的に考えれば、単純な移行よりも利点は大きくなり、データベース環境のコントロールもしやすくなります。実際に、あるお客さまではバージョンが異なる約700のOracle Databaseを運用されていましたが、それらのバージョンの種類を10以下に抑えることで容易に管理できるようになりました。運用にかかる労力が大きく軽減されたのです」(アンソニー氏)
そして、統合プロジェクトを進める上では、「まずサクセスストーリーを作ることがとても重要です」とアンソニー氏はアドバイスする。具体的には、移行の容易性を判断するための基準を定めた上で、それに従って難易度の低いデータベースから移行していくのだ。それを通してデータベース移行の経験やノウハウを蓄積しつつ、段階的にプロジェクトを進めていくのである。
このようにプロジェクトを進めることで、プロジェクト遂行の難易度を下げられるほか、既存のデータベースを一気に新環境に移す場合よりもリスクも抑えられるだろう。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年7月20日
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