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SilverlightならWeb上で高精細な動画再生も簡単?.NETを知らない人でも分かるSilverlight入門(2)(3/3 ページ)

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イベントハンドラの引数

 実際にイベントを使用する際は、先に紹介した<MediaElement>オブジェクトのサンプルのようにXAMLのタグオブジェクト上にイベントハンドラを定義し、(Silverlight 1.0では)JavaScript上にイベントハンドラの処理を記述することになります。

 イベントハンドラには、「引数」と呼ばれるパラメータが必ず定義されております。Silverlight 1.0において、一般的には表5のようなパラメータですが、キーボード入力イベントやマウス入力イベントは表6表7のように複数の値を持つオブジェクトとなりますので、注意する必要があります。

表5 イベントハンドラ引数(キーボード入力、マウス入力以外)
引数 概要
sender イベントが発生したSilverlightオブジェクト。パラメータ値のToStringメソッドを使用したり、特定のオブジェクトのプロパティを確認することで、オブジェクトに関する情報を取り出せる
eventArgs 特定のイベントのためのイベントデータの設定を特定。イベントデータはそれぞれのイベントの発生に関する情報を含む。OnErrorイベントはErrorEventArgsオブジェクトが格納され、MarkerReachedイベントはeventArgs.MarkerでイベントトリガのTimelineMarkerオブジェクトを得ることができるが、それ以外のイベントは常にnull

表6 キーボード入力のイベントハンドラ引数
引数 概要
sender イベントが発生したSilverlightオブジェクト
keyEventArgs このパラメータには以下の値が含まれている
・keyEventArgs.Key:対象のキーを表すキーコードの整数値。この値はポータブルキーコードであり、OS特有ではない
・keyEventArgs.PlarformKeyCode:対象のキーを表すキーコードの整数値。この値は非ポータブルキーコードで、OS特有
・keyEventArgs.Shift:Shiftキーが押されているかを判定するBoolean値
・keyEventArgs.Ctrl:Ctrlキーが押されているかを判定するBoolean値

表7 マウス入力のイベントハンドラ引数
引数 概要
sender イベントが発生したSilverlightオブジェクト
mouseEventArgs このパラメータには以下の値が含まれている
・mouseEventArgs.GetPosition(element).X:マウスのX座標位置
・mouseEventArgs.GetPosition(element).Y:マウスのY座標位置
・mouseEventArgs.Shift:Shiftキーが押されているかを判定するBoolean値
・mouseEventArgs.Ctrl:Ctrlキーが押されているかを判定するBoolean値

エラーはどうやってハンドリングする?

 Silverlight 1.0のエラーハンドリングは、以下のように3つの方法があります。

  1. OnErrorイベントハンドラの定義
  2. JavaScriptのtry/catchブロックを使った同期エラーイベント
  3. Silverlightの特有のイベントを使った非同期エラーイベント

 2つ目に関しては、JavaScript標準の機能ですので、ここでは割愛します。

 3つ目に関しては、ImageFailedイベントやMediaFailedイベントなどSilverlightの特有のイベントで定義されているエラーイベントにエラー処理を記述することを指します。このときのイベントの使用方法は通常のイベントと変わりありません。

 例えば、今回のアプリケーションにMediaFailedイベントを追加すると、以下のようになります。

Page.xamlの一部
<MediaElement x:Name="media" Width="640" Height="480"
  Source="Silverlight.wmv" AutoPlay="false"
  Volume="1" MediaFailed="MediaFailedHander"/>
Page.xaml.jsの一部
// メディア関連エラーハンドラ
function MediaFailedHander(sender, eventArgs)
{
    // 表示するエラーメッセージ
    var errorMsg = "\n Media Error Message \n" ;
 
    // メディア情報の追加
    errorMsg += "MediaElement Name: " + sender.Name + "\n";
    errorMsg += "Media File Name: " + sender.Source + "\n";
 
    // エラーメッセージの表示
    alert(errorMsg);
}

Silverlight 1.0はOnErrorイベントでエラー処理

 Silverlight 1.0では、特有のエラーイベントを処理したい場合でなければ、通常はOnErrorイベントを使用します。

 表5でも記載したとおり、OnErrorイベントのEventArgsパラメータには、ErrorEventArgsオブジェクトが格納されています。このErrorEventArgsオブジェクトには、ParserErrorEventArgsとRuntimeErrorEventArgsの2つのタイプがあり、それぞれで格納されているデータが異なります。それぞれのデータに関しては表8〜10にまとめました。

表8 ErrorEventArgsオブジェクトのプロパティ(onErrorイベントハンドラに共通するErrorEventArgsオブジェクトのプロパティ)
プロパティ 概要
errorMessage エラーイベントのメッセージ
errorType エラーのタイプ。ErrorType列挙型の値として格納
errorCode エラーイベントのコード

表9 パーサーエラーを特定するParserErrorEventArgsオブジェクトのプロパティ
プロパティ 概要
charPosition エラーが発生した文字位置
lineNumber エラーが発生した行数
xamlFile エラーが発生したXAMLファイル
xmlAttribute エラーが発生したXML属性
xmlElement エラーが発生したXML要素

表10 ランタイムエラーを特定するRuntimeErrorEventArgsオブジェクトのプロパティ
プロパティ 概要
charPosition エラーが発生した文字位置
lineNumber エラーが発生した行数
methodName エラーと関係するメソッド

 OnErrorイベントでこれらすべてのエラー情報をポップアップメッセージとして表示する場合は、以下のようなロジックになります。

Default_html.jsの一部
onError: function(sender, args) {
    // 表示するエラーメッセージ
    var errorMsg = "Silverlight Error: \n\n";
 
    // すべてのエラーの共通情報
    errorMsg += "Error Type: " + errorArgs.errorType + "\n";
    errorMsg += "Error Message: " + errorArgs.errorMessage + "\n";
    errorMsg += "Error Code: " + errorArgs.errorCode + "\n";
 
    // 特定のエラー情報の追加
    switch(errorArgs.errorType)
    {
    case "RuntimeError":
        // RuntimeErrorEventArgsのプロパティを表示
        if (errorArgs.lineNumber != 0)
        {
            errorMsg += "Line: " + errorArgs.lineNumber + "\n";
            errorMsg += "Position: " + errorArgs.charPosition 
                + "\n";
        }
        errorMsg += "MethodName: " + errorArgs.methodName + "\n";
        break;
    case "ParserError":
        // ParserErrorEventArgsのプロパティを表示
        errorMsg += "Xaml File: " + errorArgs.xamlFile + "\n";
        errorMsg += "Xml Element: " + errorArgs.xmlElement + "\n";
        errorMsg += "Xml Attribute: " + errorArgs.xmlAttribute 
            + "\n";
        errorMsg += "Line: " + errorArgs.lineNumber + "\n";
        errorMsg += "Position: " + errorArgs.charPosition + "\n";
        break;
    default:
        break;
    }
    // エラーメッセージの表示
    alert(errorMsg);
}

 なお、このエラーハンドリング処理は特定のエラーハンドリングが必要なければ、このままで再利用できます。

次回からはグラフィックス描画に関する機能

 今回のグローアップ・アプリケーションは、まだ2D/3Dグラフィックスやアニメーション、ブラシなどの解説を行っておりませんので、メディアの再生・一時停止・停止とフルスクリーン表示が行えるだけで、後はエラーハンドリングを行うだけの簡単なアプリケーションとなりました。

 このグローアップ・アプリケーションは、毎回サンプルコードも提供していますので、「こちら」よりダウンロードして試してみてください。なお、サンプルコードに動画は含まれていませんので、別途ご用意してお試しください。このアプリケーションは最初にも説明したとおり、各回の解説した内容を追加していき、最終的に1つのアプリケーションを作成します。

Silverlightらしいユーザーエクスペリエンス/メディアエクスペリエンス

 今回はSilverlightでよく使われるメディアとイベントに関して解説しました。次回からは描画に関する機能の解説をしていきますので、グローアップ・アプリケーションも徐々にSilverlightらしいユーザーエクスペリエンス/メディアエクスペリエンスを持ったRIAになっていきます。次回以降もぜひご期待ください。

プロフィール

松原 晋啓(まつばら のぶあき)

松原 晋啓

SE、コンサルタント、エバンジェリストを経て、現在はソリューションスペシャリストとして活動。その傍ら、イベントや記事寄稿を通じてマイクロソフトのテクノロジーや製品の普及に努めている。

趣味は小学校から続けているバスケットボールで、4年前にチームを作り、現在もリーダーとして活動を行っている



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