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Google OpenSocialによってSNSで何ができるのか?SNSやWebを変える!? OpenSocial徹底解説(前編)(1/3 ページ)

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Googleが開発? mixiも賛同!?

 最近、「OpenSocial」「SocialGraph API」「OpenID」など、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に関する言葉を多く耳にするようになりました。

編集部注SNSそのものについて詳しく知りたい読者は、記事「2006年のネット界を席巻したSNS」をご参照ください。

 筆者は、オープンソースのSNSエンジンを開発する「OpenPNE」プロジェクトを運営するうえで、これらの話題に当事者としてかかわっています。

 本稿では、Googleが大々的に発表し、mixiも賛同を表明と鳴り物入りで登場した「OpenSocial」について取り上げます。「OpenSocial」の成り立ちや現状、アプリケーションの作り方などを前編・後編に分けてご紹介していきます。

図1 OpenSocialのページ
図1 OpenSocialのページ

OpenSocialとはいったい何なのか?

 最初に、「OpenSocial」とは何かを解説しましょう。

 「OpenSocial」とは、Googleが2007年11月に発表したSNSに関する共通のAPI、つまり、SNS上で動作するアプリケーションを開発する際に利用できる共通の機能セットのことです(参考「GoogleがSNS向けAPI「OpenSocial」公開」)。

 Googleが発表した「OpenSocial」の定義は、「複数のWebサイト上にソーシャルアプリケーションを提供するための共通なAPI関数群(A common open set of APIs for building social applications across multiple sites)」となっています。

 ちなみに、OpenSocialのAPIはおなじみのHTMLJavaScriptといった既存のWeb標準で構成されており、多くのWebサイトや開発者にとって、導入が容易なように配慮されています。

 OpenSocialのイメージは図2のような感じです。

図2 OpenSocialのイメージ
図2 OpenSocialのイメージ

 従来は、それぞれのSNSが日記フォトアルバムなどの機能を独自に開発し、サービスを利用者に提供していました。一方、OpenSocialは図2のように、SNSは利用者とアプリケーションが動作できる場所を提供する入れ物(コンテナ)として振る舞います。

 アプリケーション側に対しては、外部の開発者がフレンドリストプロフィールなどSNS内の情報を手軽に扱えるように整備されています。外部の開発者はこれらの機能を利用し、SNSに特化したアプリケーション(ソーシャルアプリケーション)を開発し、SNS上に埋め込んで、利用者に提供できるようになります。

OpenSocialが登場した背景 〜Facebook対Google〜

 「OpenSocial」について掘り下げていく前に、まず「OpenSocial」が生まれた背景について解説します。

 日本において規格競争といえば、古くはVHSベータの戦い、最近だとHD DVDBlu-Ray Discがよく知られていますが、似たような争いがいままさに、SNSの世界にも展開されているのです。

Facebookの成功、その理由とは?

 実は、「SNSが場所を提供し、開発者がそのうえにアプリケーションを作って提供する」という分業の思想は、なにもGoogleが初めてではありません。

 最初にこの「分業」を始めたのは、海外で提供されているSNSの1つである「Facebook」です。Facebookは、「サーバとSNSのメンバー情報を提供するから、アプリケーションは外部の利用者が作ってちょうだいね」とユーザーが交流する場として、アプリケーションを作るためのAPIを提供しました。

 そして、その試みは大ブレイクしました。このブレイクの秘訣はなんだったのでしょうか??

図3 Facebookのマイページの使用例
図3 Facebookのマイページの使用例

 それは、「SNS利用者」「SNSオーナー」「アプリケーション開発者」の三者のメリットが合致したから成功したのです。

 現実の人間社会と同じように、SNSも利用者数が増えてくるといろんな趣味嗜好(しこう)を持った人に分かれてきます。それぞれのSNS利用者はサービス開始当初はSNSオーナーが提供した機能で満足していても、趣味嗜好の多様化とともに万人が納得するサービスしか提供されないと、次第につまらなく感じてしまうようになります。ファミレスだけだと飽きてしまうのと同じですね。

  • SNSサービスのファミレス化に飽きてしまう「SNS利用者」
  • 利用者のニーズが多様化し過ぎて、対応に困る「SNSオーナー」

 ここで、二者がデメリットを感じてしまいますが、第3の当事者である「アプリケーション開発者」にとってはどうでしょうか?

 アプリケーション開発者はSNSという数千万人の利用者がいるサイトは非常に魅力的です。このサイトにアプリケーションを作れば容易にもうけられそうです。しかし、SNS上のサービスは基本的には「SNSオーナー」が作るものだったので、中に入ることはできませんでした。

  • 多くの利用者がいるのに、サービスを提供できない「アプリケーション開発者」

 こうして、三者のデメリットがそろってしまいました。この三者のデメリットを鮮やかに解決したのがFacebook APIによる、「SNSという場の運営」と「アプリケーション開発」の「分業」だったのです。この分業が実現したことで以下のようになりました。

  • 「SNS利用者」は、多くのアプリケーションを選択し、自分に合ったサービスを利用できるようになった
  • 「SNSオーナー」は、外部アプリケーションを受け入れることで、リスクを取らずに多様なサービスをSNS利用者に提供できるようになった
  • 「アプリケーション開発者」は、自分たちが得意なアプリケーションを作り(もしくは、あらかじめ作ってあるサービスと連携させ)、多くの「SNS利用者」に対してサービスを提供して収益を上げることができるようになった
図4 「Facebook」のソーシャルアプリケーションのランキングページ
図4 「Facebook」のソーシャルアプリケーションのランキングページ

 この成功により、Facebookは猛烈な勢いで、会員数とサイトのアクセスを伸ばしていき、この成長ペースは北米で首位の「MySpace」を脅かすようになりました。

 次ページでは、引き続きOpenSocialが登場した背景やOpenSocialの今後の動きを解説します。

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