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現場デビューのお供はビジュアル多用の報告書システム開発プロジェクトの現場から(17)(2/3 ページ)

開発現場は日々の仕事の場であるとともに、学びの場でもある。先輩エンジニアが過去に直面した困難の数々、そこから学んだスキルや考え方を紹介する。

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何とかこなしたテスト、こなせなかった報告書

 結局、開発ではなくテストチームに配属され、サブシステムの結合テストを先輩と2人で担当することに。

 テスト実施は根気のいる作業でしたが、何とかこなしていました。本当に、「何とか」「こなす」というレベル。最初のうちは、研修で覚えたテスト実施の方法が頭に残っていたようです。気付けばテスト実施は終わっている、けれど後になって内容を聞かれると、

先輩 「ここって、どうやった?」

 「あれ? どうやったんだっけ?」

そんな状態でした(現場デビュー当時、よく見られたこの「どうやったんだっけ」現象を、先輩方は「なんだそりゃ。マジックか?」と明るく笑い飛ばしてくれたものです。感謝)。

 そして、こなせていなかったのが、テスト結果報告書。

 品質が人に依存しないよう、プロジェクトでは報告書の「ひな型」が用意されているのですが、「どうやったんだっけ」現象に占拠されていた私の脳内は、テストのことだけでいっぱいだったと思われます。

 気付けば私の報告書は、「ひな型泣かせ!」と枕詞が付きそうなほど、見事にひな型を使いこなせていなかったのです。

ビジュアル多用の報告書で言語の壁を越える

 さて、この問題で最も大きな被害を受けたのは、一時的に日本で作業をしていたChina Delivery Centreのメンバー(以下、中国メンバー)。テスト結果を受けてプログラムの再修正を行う立場でした。

 もの珍しいテスト結果(異常値をエクセルに張り付けて矢印で「Error!」とひと言。武骨すぎます)に、中国メンバーからは困惑と怒りの質問ラッシュ。

 中国メンバーのうちの多くが日本語を話せる中、私の領域の中国側メイン担当は、日本語での業務にまだあまり慣れていませんでした。

 「うん、英語だ」

 状況から、私は潔く英語を受け入れました。

 受け入れはしたものの、資料作成も英語もままならない身。紙面でも口頭でもコミュニケーションがうまく取れません。

 外資系企業故か、業界の大きな流れ故か。早くも近隣諸国にまで迷惑を掛け、混乱する自分。

 混乱したところで英語力が何とかなるわけでもないので、紙面でこちらのメッセージを理解してもらえるように工夫を始めました。

 言語の壁を越えるのは、ビジュアル(ここでは画像、図のこと)しかない。そう信じた私は、

  • エラー発見の流れを画面ショットで再現
  • エラー発生条件や注意点は補足的に吹き出しでコメント付け(in English)
  • 大切なところには太線。全部大切なときは全部太線(「何にでも太線引くなよ……」と上司に呆れられる)

としました。

 毎回、これでもか! というほどに説明を付けたのですが、それでも至らない点はあって(太線の引き過ぎも一因か)。

 決して使い勝手は良くない私の報告書でしたが、中国メンバーはそれを基にどんどん質問や指摘をしてくれ、おかげで毎日改善すべき発見がありました。

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