MACアドレスとフレームで、スイッチの基本動作を学ぶ:ネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(17)(1/2 ページ)
本連載では、シスコシステムズ(以下シスコ)が提供するシスコ技術者認定(Cisco Career Certification)から、ネットワーク技術者を認定する資格、CCNA(Cisco Certified Network Associate)を解説します。2007年12月に改訂された新試験(640-802J)に対応しています。
今回は、スイッチの基本的な動作について解説します。
スイッチは、社内ネットワークなどで一般的に使用される集線装置です。スイッチはホストの増減に伴い、ネットワーク管理者が操作する機会の多いデバイスです。スイッチが基本動作するポイントは2つです。スイッチは、MACアドレスをどのように学習するのか、学習したMACアドレスを基に、フレームをどう効率的に転送するのかの2点です。
スイッチとは
スイッチは、ネットワークで使用される集線装置です。スイッチにはレイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチなどの種類がありますが、ここではいずれのスイッチにも共通する基本的な動作や機能について説明します。
リピータハブもスイッチと同様、集線装置です。リピータハブはOSI参照モデルの物理層で動作するデバイスで、電気信号を電気的に中継します。コリジョンドメインは分割しません。
レイヤ2スイッチはOSI参照モデルのデータリンク層で動作するデバイスで、ポートごとにコリジョンドメインを分割します。
スイッチは、フレームの単位でデータを扱い、データリンク層で付加されるヘッダの内容を解釈します。さらにフレームのエラーチェックも行います。イーサネットを使用しているネットワークでは、データリンク層のヘッダとしてイーサネットヘッダが付加されます。イーサネットヘッダには、あて先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプフィールドが含まれます。レイヤ2スイッチはあて先ホストのMACアドレスを見て、効率的なフレームの転送を行います。
スイッチの動作の基本は、MACアドレスを学習することと、フレームのフォワーディング・フィルタリングの2つです。
確認問題1
問題
以下のトポロジで、コリジョンドメイン数はいくつありますか。正しい数値を選択しなさい。
a.4
b.1
c.5
d.7
正解
a
解説
スイッチはコリジョンドメインを分割しますが、リピータハブはコリジョンドメインを分割しません。スイッチの1つのポートが1つのコリジョンドメインに属します。従って、選択肢aが正解です。スイッチの1番、2番、3番のポートでそれぞれ1つずつコリジョンドメインが存在します。スイッチの4番のポートでも1つコリジョンドメインが存在しますので、コリジョンドメインは合計で4つ存在します。
リピータハブのポートは、コリジョンドメインを分割できません。ホストDとEは、1つのコリジョンドメインに属します。
MACアドレスの学習
スイッチはMACアドレステーブルを保持します。MACアドレステーブルには、スイッチのポート番号と、そのポートの先に接続されているホストのMACアドレスが登録されます。スイッチの起動時にはMACアドレステーブルは空の状態です。それでは、スイッチがMACアドレスを学習し、MACアドレステーブルを作成する様子を説明します。
下の図では、スイッチのポート1番から5番に、ホストAからEが接続されています。各ホストのMACアドレスは、今回説明を簡単にするために、ホストAのMACアドレスはAAなど、簡略化して表記してあります。
最初に、ホストAがホストBにフレームを送信しました。そのフレームは、スイッチの1番ポートに着信します。スイッチは、フレームを受信したタイミングで、フレームヘッダの中の送信元MACアドレスを確認します。このフレームの送信元MACアドレスはAAです。スイッチはいま、送信元MACアドレスがAAのフレームを1番ポートで受信しました。そこでスイッチは、MACアドレステーブルに、ポート番号1番と、ホストAのMACアドレスであるAAを対応付けます(1)。
次に、ホストCがホストDにフレームを送信しました。そのフレームは、スイッチの3番ポートに着信します。スイッチは受信したフレームの、送信元MACアドレスを確認し、ポート番号3番と、ホストCのMACアドレスであるCCを対応付けます(2)。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
いくつかのホストからフレームの送信が行われた後に、MACアドレステーブルのエントリは増加します。
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