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相手に意図が伝わり、返信をもらいやすいメールとは?文章コミュニケーション・リファクタリング!(3)(4/4 ページ)

「文章下手」が原因で、コミュニケーション不全に陥ったことはないだろうか? 言葉足らずで相手の誤解を招いたり、指示がまったく伝わっていなかったり……開発現場を改善するための「文章コミュニケーション」方法を紹介。

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余計なことは書かない

 メールの本文には、必要なことだけを記述することを心がけましょう。伝えたいこととは無関係な文章を付け加えてしまうと、何を伝えたいのか分かりにくいメールになってしまいます。

 親近感を表すための文章や相手を和ませるための文章などを入れたいのであれば、メールの先頭の「あいさつ」の部分や、終わりの「結びの言葉(終わりのあいさつ)」に入れればよいでしょう。

 それでは、ここでも悪い例と良い例を比較してみましょう。まずは悪い例です。

いよいよ開発スケジュールも大詰めを迎え、運用テストの段階になりました。当初の計画通りに、貴社の業務環境を利用させていただいてテストを実施しますので、よろしくお願いいたします。
いよいよ胸突き八丁なので開発グループ一丸となって気合を入れて取り組むつもりです。
なお、テスト要員のリストをお送りしました。前回のプロジェクトのときと同じ顔ぶれなので良い雰囲気でテストを進めさせていただけるのではないかと考えています。
また、スケジュール表もお送りしました。計画通りになっていますので安心していただけるのではないでしょうか。
運用テストが完了すればラストスパートであり、マラソンで最後にスタジアムに戻ってきたようなものです。ゴールまで大きな問題なく走りきれるように、ご支援、ご協力をお願いいたします。


 この例は、がんばって文章を書いているのは分かるのですが、何を言いたいのかがさっぱり分かりません。このように本筋とは無関係の文章を書き連ねていると、最後まで同じ調子の文章に終始してしまい、メールで伝えたいことがはっきりしなくなります。伝えるべき事務的な事柄を書き忘れてしまうことすらあります。

貴社の業務環境を利用させていただいて実施する運用テストの要員リストとスケジュール表を添付ファイルにてお送りいたします。
ご確認をお願いいたします。

もし不都合な点があるようでしたら、
明日の17時までにご連絡をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。


 このように、ビジネスの用件を伝えるメールは、伝えるべき事務的な事柄だけを記述すべきです。本文の文章がビジネスライクな調子になってもよいので簡潔を心がけるようにしてください。先頭の「あいさつ」の部分がきちんとしていれば、ビジネスメールとして問題はないはずです。

おわりに

 メールは、手軽で使いやすいコミュニケーションツールである分、文章をぞんざいに記述してしまいがちです。その結果、頭に浮かんだものをそのまま記述しただけの意味の分かりにくい文章になってしまったり、誤字、脱字、変換誤りをそのままにした文章など気をつけないとひどい文章を相手に読ませることになってしまいます。

 メールを使いこなすには、短く、簡潔な記述で的確に内容を伝えることが重要です。そのため、ほかのどんな文章コミュニケーションよりも簡潔で分かりやすい文章を記述するように心がけなければなりません。

著者プロフィール

谷口 功 (たにぐち いさお)

フリーランスのライター、翻訳家。企業にて、ファクシミリ通信網を使ったデータ通信システム、人工知能、日本語処理関連のソフトウェア開発、マニュアルの執筆などに関わる。退職後、コンピュータ、情報処理、通信関連の書籍の執筆、翻訳、各種マニュアルや各種教材の執筆に携わる。また、通信、コンピュータ関連のメールマガジンの記事、各種雑誌においてインターネット、パソコン関連の記事やコラムなども執筆。コンピュータや通信に関連する漫画の原作を執筆することもある。

主な著作は、『SEのための 図解の技術、文章の技術』(技術評論社)、『ソフト契約と見積りの基本がよ〜くわかる本』『よくわかる最新 通信の基本と仕組み』(秀和システム)、『図解 通信プロトコルのことがわかる本』『入門ビジュアルテクノロジー 通信プロトコルのしくみ』(日本実業出版社)、『図解 ネットワークセキュリティ』『マスタリングTCP/IP IPsec編』[共著](オーム社)など。



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