自社で構築したプライベートクラウドと、外部のクラウドサービスを連携させるには? 出揃ってきたCloudStackベースのサービスはどう活用できるか、具体例から紹介していきます。
本連載では今までCloudStackの構築術を紹介してきましたが、、最後にCloudStackを使用した国内のサービスを紹介します。クラウドのIaaS環境を構築するのに必要な機能と安定性を備えたCloudStackは、多くの商用サービスで採用されています。
サービス名 | 提供開始 *1 | 提供 |
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IDCフロンティア クラウドサービス セルフタイプ | 2011年9月〜 | IDCフロンティア |
パブリッククラウドサービス Cloudn | 2012年6月〜 | エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ |
KDDIクラウドプラットフォームサービス | 2012年7月〜 | KDDI |
EINS/SPS SelfPortal | 2013年3月〜 | インテック |
*1 提供開始時期 日本国内でCloudStackを使用したクラウドサービス提供開始した時期
CloudStack自体が非常に使いやすく直感的なユーザーインターフェイス(UI)を提供していますが、表に挙げた各サービスでは、独自のUIを別途用意し、提供サービスを使いやすくしています。下にその一例のUIを紹介しておきます。
ほとんどのサービスが、マルチサイト(複数拠点)でのサービス提供を行っているため、ITシステムの事業継続計画の一環にしたり、災害対策を考慮したシステムを検討する場合に、このようなサービスを利用する選択もあります。
サービス名 | マルチサイト | サービス特徴 |
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IDCフロンティア クラウドサービス セルフタイプ | 東日本と西日本 *2 | 国内初、クラウド統合運用管理ツール 「RightScale」・「Scalr」や「SCSK PrimeCloud Controller」と連携可能 |
パブリッククラウドサービス Cloudn | 日本とUS | Object Storage、Relational Database(RDB)、PaaS(パース)などのサービスのバリエーションが豊富 |
KDDIクラウドプラットフォームサービス | 東日本と西日本 | イントラネットサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」接続および専用サーバ機能あり |
EINS/SPS SelfPortal | 富山 *3 | ユーザーの使いやすさと必要な情報表示を考慮した独自開発のポータルが提供 |
*2 東日本は東京と白河の2ゾーン、西日本はマネージドタイプで提供している。
*3 別サービスのEINS/SPS Managedでマルチサイト環境(富山、東京、大阪)を提供している。
以下に、各サービスの特徴や、実際にこれらのサービスを自社構築したクラウド環境と連携する際の参考となる情報を紹介していきます。
クラウド統合運用管理ツール「RightScale」「Scalr」(関連記事)や「SCSK PrimeCloud Controller」と連携可能なサービス。SLA99.999%の可用性と、クラウドとオフィス、クラウドとデータセンター間を閉域網で相互接続する形態のハイブリッドクラウドを構築できます。RightScaleとセットにしたプラン、Mobageクラウド、GREEクラウド、スマートフォンパック、ソーシャルアプリパック、スポット広告パックといった多彩なパッケージが提供されています。
URL:http://www.ntt.com/cloudn/
豊富なAPIを備えたクラウドサービスで、月額945円(本稿執筆時点)から利用可能です。月額上限付き従量課金制を採用していることから、あらかじめ使い方を見極めて最適な課金体系(従量or定額)を選択する必要がありません。Amazon S3とAPI互換性のあるObjectStorageや、Relational Databaseサービス、Cloud Foundryを利用したPaaSサービスなど数多くのサービスを展開しています。
URL:http://www.kddi.com/business/cloud_platform/
通信事業者の強みを生かし、KDDIのイントラネット(閉域網)サービスである「KDDI Wide Area Virtual Switch」および高速バックボーン直結のインターネット接続を装備しています。通信量によらず、サーバ利用料だけで利用可能です。専有サーバも作成でき、プライベートクラウドも即時で構築できます。
URL:http://www.intec.co.jp/service/outsourcing/selfportal.html
2013年3月にスタートしたばかりのサービスです。あらかじめ利用するリソース(CPU・メモリ・ディスク)の総量を決める「リソースパック型月額課金」を採用しています。システム構築に必要なものがパッケージ化されているため、日本企業が予算獲得しやすい方式といえます。インフラ担当者だけでなく、アプリケーション担当者も使えるように、ユーザーの使いやすさと必要な情報表示を考慮した独自開発の非常に使いやすいポータルが提供されています。
以上のように、最近ではCloudStackをベースとしたサービスが出揃ってきています。自社で構築したプライベートクラウドとの連携、統合管理の方法などを含め、多くの選択肢がでてきた状況です。
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