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震える線:太田智美のビビビ「TEDTalks」ピックアップ!
「TEDTalks」の中から、編集部の太田が「ビビビ」と感じた動画をピックアップし、不定期に紹介する企画。今回取り上げる動画は、「Embrace the shake」だ。
本連載では、TED(「Technology Entertainment Design」の略)が主催するカンファレンスの講演動画「TEDTalks」の中から、編集部の太田が「ビビビ」と感じた動画をピックアップし、紹介していきます。
「Embrace the shake」
フィル・ハンセン(Phil Hansen)氏は、芸術家になる夢を抱き、点描画を極めようと小さな点を打ち続けた。しかし、それが原因で手が震えるようになり、小さな点やまっすぐな線が書けなくなってしまった。震えを止めようと手に力を入れると、さらに手の震えは大きくなり悪循環が続いた。彼は通っていた美術学校を退学し、何もかもが終わったと感じた。
数年後、フィル氏はまだ芸術家になる夢をあきらめることができずにいた。神経科に行くと、治る見込みのない神経障がいだということが分かった。医師は、彼の書く震える線を見て言った――「震えとうまく付き合ってみたらどうだろうか」。
家に帰ると、彼は震えるがままにキャンバスの上で手を動かした。できあがった絵は、当初彼が追求していたものとは少し違ったが、まぎれもなく芸術だった。彼は言う――「震えを受け入れることは、絵を描く上での問題だけではない。生きるための技術である。制約を課すことで、創造性は高まる。『制約の中で創造性を発揮する術』を学ぶことが、自分を変え、世界を変える力となる」。
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