今あるファイルサーバーを生かしてスマホやタブレットから操作する「Acronis Access」:AD連携がキモ
資料をDropboxに保管させないルールを徹底するには、それ以上のユーザビリティを利用者にも管理者にも提供するしかない? ファイルサーバーの延長としてのモバイル活用製品が登場した。
アクロニス・ジャパンは2014年3月5日、企業向けのモバイルコンテンツ管理(MCM)製品「Acronis Access」を発売した。
同製品は専用のモバイルアプリケーションから既存の企業内ファイルサーバーに対して、Active Directory認証経由で、閲覧・編集などを行える。既存ファイルサーバーのアカウントやポリシー設定を生かして多様な端末からの安全なアクセスと編集を実現する。ライセンスはID単位、総ユーザー数によって単価が異なる。1万ユーザー以上では、8500円/ID(買い切り価格)。同製品はダイワボウ情報システム、ソフトバンクBBおよび、販売代理店経由で購入できる。
クライアントは、iPad iOS 4.2以上、iPhone 3GS以上(iOS 5.0以上)、Android 2.2以降のスマートフォンおよびタブレット端末、Windows XP以降、Mac OS X 10.6以降で、通常のPC端末からはWebブラウザ経由でのアクセスも可能だ。ファイルサーバー側は、Windows Server 2003/2008/2012に対応している。
企業内でのモバイル活用の導入は数年来、企業ITの重点課題の1つとなってきた。対応する製品も多数あるが、一方で、セキュリティやガバナンスの問題から、利用ルールを厳密にするあまり、ユーザビリティ面や運用面での課題があった。
会見で、同社代表取締役である村上督氏は現在の企業ITにおけるモバイル活用の潮流において、ユーザーの期待と企業ITの要件を整理、使い勝手とユーザーニーズの間にはギャップがある状況を指摘、両者の要求をバランスさせ、データ保護と生産性向上を両立させる製品として同製品を位置付けた。
同社 リージョナルプロダクトマネジャーである古舘與章氏は、同社におけるMCM製品の定義の定義として、企業内コンテンツの適切な管理とモバイル活用によって意図した生産性を実現すること、端末が私物/支給のいずれであっても情報漏えいを防止できること、コンシューマ向けアプリケーションと同等以上の操作性を提供し、企業利用のユーザーに使ってもらえるサービスであることを挙げた。
その上で、既存のMAM(Mobile Application Management)やMCM製品の機能充実により、モバイル端末の制御が十分に行えるようになった結果、ユーザー側からは一般のクラウドサービスやアプリケーションとの比較で利便性の低いサービス提供になっている、と指摘、同製品がコンシューマ向けクラウドストレージアプリケーションと同等の利便性を提供できる、とした。また、モバイルアクセスに対する管理運用が新たな運用負荷になっている点も課題であるとした。
同製品は、Active Directory統合していることから、既存ファイルサーバーのアカウント制御と同じシナリオでアクセス管理が可能である。同製品では閲覧だけでなく、編集や移動、削除の操作も可能だ。また、PC端末、Mac OS Xの指定のフォルダにあるファイルと自動的に同期する機能も持つ。
社内外とのファイル共有でも、ホワイトリスト、ブラックリストで詳細制御が可能で、共有期限も設定できるため、プロジェクト単位で期間限定のデータ共有といった用途にも使える。データ操作のログはユーザー端末からも確認できる。
モバイル/タブレット端末向けのアプリケーションでは、アプリケーション内にローカルデータを保存できる。オフライン環境でもPDFファイルの注釈機能や、オフィスソフトの閲覧、編集が可能で、アプリケーション内で編集からアップロードまでを完結できる。万一端末を紛失した際には、リモートワイプによって、遠隔からアプリケーション内のデータを削除可能。
直近で要望の多い要件として、スマートフォンで撮影した画像をファイルサーバーにアップロードする、というものがあるという。多店舗で展開する業態などで、現場の画像をすぐに本部に報告させたい、といったシナリオでも、同製品を経由したファイルサーバーへのアップロードが可能だ。また、建設、製造業向けには、製造現場からの報告画像や図面変更点の共有などのアップロードも考えられる。同社では、モバイルアクセス可能なアプリケーションは多数あるが、モバイル端末経由でのデータアップロード方法には決定打がない状態としており、この製品がこの課題を解決する方法の1つになるとしている。
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