まるでCTFみたい? 鮮やかに暴かれた「自称小学4年生」のサイト:セキュリティクラスター まとめのまとめ 2014年11月版(2/2 ページ)
小学4年生が作ったと自称するサイトをどのように見破るか、実はそこにはセキュリティ的なテクニックが多く使われていました。定期変更、プロキシと話題に事欠かなかった2014年11月をまとめましょう。
OCN、パスワードを定期変更しないと接続制限ですってよ。
このところセキュリティクラスターではいつも話題となっている気がする「パスワードの定期変更ってどうなの」というお話は、2014年11月もまたまた盛り上がりを見せていました。今回は大手プロバイダーの「OCN」が、パスワードの定期変更を義務化して、もし一定期間パスワードを変更していない場合には、一時的にOCN ID対応サービスへのログインを制限を行うと発表したからです。これには、パスワードの定期変更にはちょっとうるさいセキュリティクラスターの人たちが黙っているわけありません。
セキュリティクラスターの多くは「何をいまさら」という意見で、中には定期変更を強要するなら解約するというツイートもありました。
「初期パスワードが6文字なのに何が定期変更だ」とのツイートや「接続制限されても生年月日などの要素ですり抜けられるのではないか」と、他の部分の甘さをからかうツイートもありました。「1年」なのか「3カ月」なのか「1秒」なのか、定期変更の間隔が公表されていないことを気にする人もいました。確かに1秒に10回変更すれば、かなり安全になるような気がします。
これまでにもOCNから不正ログインに関する報道があったので、このような制限を行うのではないかといぶかしむユーザーもいました。一方で「本気で定期変更することに意義があると思っているなら接続制限したっていいんじゃないか」という意見も見られました。
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OCNでの不正ログイン、パスワード流出の原因はロジテック製ルータの脆弱性(@IT)
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1308/20/news073.html
匿名プロキシ業者が一斉に逮捕される
2014年11月19日には、匿名プロキシサーバーを主に中国に向けて提供していたということで、全国で一斉逮捕が行われました。匿名プロキシの運営だけでは逮捕されないはずですが、不正にOSを配布していたことや匿名プロキシを踏み台に使った不正アクセス、ネットバンキングの不正送金事件にも関係していたということで、これらの違法な行為に使っていたことを知りながら提供していたことが逮捕の主要因だったようです。
また、この匿名プロキシの提供方法にも問題がありました。実はこのプロキシ、ネットに接続するために、脆弱性のある家庭用無線LANルーターから奪ったIDとパスワードを使っていたというのです。
今回利用された脆弱性はすでに2013年に公表されており、ルーターのファームウェアをアップデートすればいい話なのですが、普段何も考えず使っている無線LANルーターのことを、気にも留めずそのまま使っている人が多くいることも確かなようです。その状況を心配するツイートも見られました。ホームルーターに脆弱性がある場合、思った以上に広く、簡単に接続用のIDとパスワードが奪われているのかもしれません。
プロキシというのは中継する仕組みのことなのですが、この事件の報道によって「プロキシという仕組み自体が悪いものだと思われるのではないか」という意見も複数のアカウントから出てきていました。
この他にも、2014年11月のセキュリティクラスターはこのような話題で盛り上がっていました。2015年1月はどのようなことが起きるのでしょうね。
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著者プロフィール
山本洋介山
猫と一緒に自宅の警備をする傍ら、「twitterセキュリティネタまとめ」というブログを日々更新しているtwitterウォッチャー。セキュリティやネットワークに関する原稿も書いてます。
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