【事例】阪急交通社、オラクルテクノロジを活用して大規模基幹DBの短期アップグレードと分析処理性能の大幅向上を実現:5000のSQLをわずか二人×1.5カ月で検証!(2/3 ページ)
阪急交通社は先ごろ、大規模基幹システムのインフラ更改を7カ月という短期間で完了させた。約5000のSQLを1.5カ月で全量検証、業務ダウンタイムを最短化したデータベース移行、データ分析処理性能の大幅向上を可能にしたのは、オラクルの最新データベーステクノロジであった。[パフォーマンス改善][高可用性/災害対策][Oracle Data Integration]
HBOSインフラの全面更改を決断。期間7カ月、DB移行時の業務ダウンタイムは48時間以内
HBOSのインフラ更改は当初、2011年内に着手される予定だったが、東日本大震災の発生で計画が後ろ倒しとなり、2012年1月中旬の始動となった。計画の始動が遅れたとはいえ、阪急交通社のビジネスの成長を支えていくためには、可能な限り早期の刷新が求められる。そこで、プロジェクトの完了時期を2012年8月中旬に定め、HBOSという大規模システムのインフラ移行を実質7カ月で完了するという基本方針を打ち出した。
阪急交通社では、HBOSの停止に伴う1日の業務停止により、「約4億円の売り上げが失われる」(石塚氏)と試算していた。従って、新旧システム切り替え時(システム移行時)の業務ダウンタイムも極限まで短縮することが求められ、「48時間以内(休日の2日間以内)」という具体的な目的も掲げた。
さらに当然のことながら、全てのデータを完全なかたちで移行させることや、インフラ更改に伴うアプリケーション側の不具合を極小化することも強く求められた。
「HBOSは、経理処理に直結する仕組みであり、外部組織のシステムとも連携しています。そのため、データ移行の失敗によって数値処理に間違いが起きることは許されません。同様に、業務に支障が出るようなアプリケーションの不具合も、あってはならなかったのです」(石塚氏)
こうした要件に基づき、石塚氏は新たなインフラのサーバーハードウェアとデータベース基盤には現行インフラと同じベンダーの製品を使い、移行リスクを最小化する道を選択。データベースに関しては、現行のOracle 9i DatabaseからOracle Database 11gへのアップグレードを計画した。また、新インフラの構築と移行の実作業については、当初からHBOSの開発/拡張を担い、信頼を寄せてきたTISに一任することにした。
Oracle Real Application Testingにより、約5000ものSQL検証をわずか1.5カ月で完了
HBOSのインフラ更改プロジェクトにおける技術的な課題をあらためてまとめると、次の3点に集約できる。
- データベース基盤のレスポンス性能向上
- 短期間/安全なデータベースアップグレード
- 48時間以内のシステム移行
このうち、「短期間/安全なデータベースアップグレード」を実現する手段として採用したのが、オラクルのデータベーステストツール「Oracle Real Application Testing」である。TISは、同ツールのSQL性能検証機能「SQL Performance Analyzer」を使い、本番環境でアプリケーションを通じて実行したSQLの履歴を全て取得し、それを検証環境で再現することにより、性能分析や問題点の洗い出しを行ったのである。
プロジェクトを担当したTISの井上淑臣氏(産業事業本部 東日本産業事業部 ネットコミュニケーション第2部 主査)は、「SQL Performance Analyzerを使うことで、Oracle 9i Database から同11gへの移行によってどのSQLの性能が変化するのかを正確に把握可能となり、検証作業の期間を大幅に短縮することができました」と振り返る。
石塚氏によれば、阪急交通社はアプリケーションの安全/確実な移行のため、約5000にも上るSQLの全量検証をTISに求めたという。従来の手法で行った場合、これだけの数のSQL検証をプロジェクト期間内に終えることは不可能だ。しかし、Oracle Real Application Testingを用いたことで、TISは実質2名の担当者が約1.5カ月で全てのSQL検証を完了させることができた。そして、Oracle Database 11gでは実行計画の仕様変更などで性能が変化する一部のSQLをチューニングするという作業を短期間で成し遂げたのである。
提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年1月31日
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