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vCloud Air上の仮想マシン環境構築の手順――「vCloud Airカタログ」による新規調達vCloud Air入門(3)(1/3 ページ)

ヴイエムウェアが提供するパブリッククラウドサービスである「VMware vCloud Air」では、仮想マシンイメージのテンプレート集「vCloud Airカタログ」を使うことで簡単に新しい仮想マシンが作れます。今回は仮想マシンの作成やネットワーク設定が、vCloud Airでは簡単にできることを見てみましょう。

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はじめに

 本連載ではヴイエムウェアが提供するパブリッククラウドサービスである「VMware vCloud Air」(以降、vCloud Air)について、既存VMwareユーザーの視点から、どう使っていけるかを各回ごとに検証しています。第一回では全容を、第二回では、「vCloud Air Disaster Recovery」の使用方法や注意点を紹介しました。今回からは二回にわたり、vCloud Air環境に仮想マシンインスタンスを立てる手順をヴイエムウェアが提供するテンプレート集である「vCloud Airカタログ」を使う場合と、手元のライセンスなどを使ってスクラッチから設定する方法のそれぞれを紹介していきます。また、ネットワーク環境のセットアップも簡単に見ていくことにします(ネットワーク環境の詳細な構築方法については、第5回で詳細を紹介する予定です)。

なお、vCloud Airの利用に際しては、あらかじめヴイエムウェアのパートナー企業などを介してサブスクリプションライセンスを得ておく必要があります。本稿では、アカウントを用意している前提で解説を進めます。料金については関連記事や、各パートナー企業の情報を確認してください。



仮想マシンを作る前に知っておくべき三つのこと

 「vCloud Airカタログ」を使って仮想マシンを作成する前に、注意しておくべきポイントがあります。以下で順に紹介していきますので、まずは前提環境を確認しておきましょう。

知っておくべきこと(1)vCloud Air上で利用できるOS

 vCloud Airは90種類以上(2015年3月現在)のオペレーティングシステム(OS)に対応しています。競合と比べれば、vCloud Airはより多くのOSに対応しているといえます。

 例えば、Windows OSの対応バージョン数では「Microsoft Azure」より多く、Linuxの対応バージョン数では「アマゾンウェブサービス(AWS)のEC2」を超えています。こうした対応OSの多さに加え、5000種類以上のアプリケーションをサポートしているのも大きな特徴です(正確な対応状況は、各社の公式発表のものを参照ください)。

知っておくべきこと(2)vCloud Airの料金体系

 vCloud Airではヴイエムウェアが提供する「vCloud Airカタログ」を使うことで、簡単に新しい仮想マシンを展開することができます。vCloud Airカタログには必要なソフトウエアライセンスが付いていますので、別途ライセンスを購入する必要がありません。毎月のライセンスの料金は使用状況に応じて請求されます。料金体系の一例として表1で主要な環境の料金を示します(料金は2015年3月、1ドル120円で計算したものです。料金や通貨レートについては実際に利用する際にご確認ください)。

表1 ヴイエムウェアが用意するvCloud Airカタログ(抜粋)
vCloud Airカタログ 単位 料金
Ubuntu 12.04 - 無料
CentOS 6 - 無料
Windows Server 2012 std. 1 vCPU 2400円/月
Windows Server 2008 R2 std. 1 vCPU 2400円/月
Microsoft SQL Server 2014 std. 4 vCPU 6万円/月
Microsoft SQL Server 2012 std. 4 vCPU 6万円/月

 vCloud Airカタログでは、さまざまなテンプレートが提供されています。詳しくはヴイエムウェアのWebページに掲載されているカタログの一覧を参考にしてください。

 もちろん、vCloud Airでは、このvCloud airカタログを利用せずに、既存のライセンスを適用する方法も用意されています。今回は、vCloud Airカタログを使って新たにOSライセンス込みで仮想マシンインスタンスを用意する方法の手順を紹介しています。既に所有するライセンスをvCloud Air上に構築した仮想マシンに適用する方法は、次回に紹介します。

知っておくべきこと(3)vCloud AirのSLA(サービス品質保証)

 SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)とは、サービスを提供する側とユーザーとの間に結ばれるサービスレベル(例:定義、範囲、内容、達成目標など)に関する取り決めのことです。vCloud Airの稼働率に関するSLAは表2を参照してください(2015年2月現在の情報です)。

表2 vCloud Airの稼働率に関するSLA(2015年2月現在)
サービス 稼働率 年間ダウンタイム(参考) AWS(参考) Microsoft Azure
専用クラウド 99.95% 4時間23分 99.95%(ハードウエア専有EC2(参考)) -
仮想プライベートクラウド 99.9% 8時間45分 99.95% 99.9%
データ保護 99.9% 8時間45分 99.9%(S3) 99.9%
障害回復 99.9% 8時間45分 99.9%(S3) 4〜6時間以内保証

 なお、他の主要なパブリッククラウドサービスにおけるSLAの情報が確認できるサイトも紹介しておきます。

 ただし、各クラウドサービスが示すSLAにおける「稼働率」の単位は各クラウドによって定義が異なります。vCloud Airでは図1のように定義されています。見ると分かるように、ここでの稼働率は仮想マシン単位となっているのが特徴です。


図1 vCloud AirにおけるSLAの定義

 vCloud Airでは、実際の稼働率がSLAで定められた稼働率を満たさない場合、ユーザーは「サービスクレジット」を請求することができます。サービスクレジットはサービス障害の重度に応じて3種類あり、月額料金の10%から100%までに相当する金額となります。サービスクレジットに関する詳細はヴイエムウェアのWebページを参照してください。

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