PaaS、Docker、OpenStack――すでにここまで実現できる“変化に強い”インフラの作り方:特集:国内DevOpsを再定義する(3)(3/3 ページ)
これまで開発側の視点で語られることが多かったDevOps。今回はレッドハット クラウドエバンジェリストの中井悦司氏にインタビュー。DevOpsに必要な考え方と仕組みについて、インフラ側の視点で話を聞いた。
取り組みの拡大を前提に、まずはビジネス部門を巻き込んで実践してみよう
編集部 先の「省力化」の話のように、従来のIT部門は視点がツールに閉じてしまいがちでしたが、DevOpsという新しいプロセスに取り組む以上、サービスやインフラをどのように変えるのか、判断するためにビジネス視点を持つことが一層重要になりますね。
中井氏 Webサービス系企業はITがビジネスに直結しているため、ビジネスとシステムの在り方を並行して考えていると思うんです。しかし従来型企業の場合、ビジネスを理解している人とシステムを理解している人が組織的に分断されてしまっている例が大半です。システムをどんどん変えられるようになっても、ビジネスへの影響度を測りながら改善できなければ意味はありません。ビジネスを理解している人がもっとITに踏み込んで、ビジネスの一部として「ITをどう使っていくか」を考えるべきだと思います。
編集部 DevOpsの第一歩として、中井さんは何から始めるべきだと思いますか?
中井氏 まずはDockerやOpenShiftなどを利用して、DevOpsのプロセスを実際に回してみるのが最も取り組みやすいのではないでしょうか。オンプレミスのリソースがなければ、パブリッククラウドを使って利用することも可能です。特にIT部門のスタッフは「ツールの変革」を試みるのは好きな方が多いですが、プロセスや組織の変革に対する興味やノウハウを持っている方は少ないと思います。
そこで、まずはビジネス部門のスタッフを巻き込んだ小さなチームを作り、ゴール達成に向けてDevOpsを実践してみる。「ビジネスメリットのない変化」を起こしても意味はありませんから、頻繁にリリースできるツール、インフラをそろえた上で、ビジネスをどう変えていけばいいのか、そのために“ツール以外では”何が必要なのかを実践の中でつかんでみる。
もちろん冒頭で述べたように、スモールスタートのまま終わってしまってはいけません。取り組みを拡大することを前提として、「そのために何が必要か」を実験で洗い出してみるのです。ビジネス部門のスタッフとともに考えることで、従来のITに閉じた視点ではビジネスゴール達成に不十分なことが、身をもって理解できるのではないでしょうか。
特集:今、国内DevOpsを再定義する
2013年から盛り上がりを見せた国内DevOpsトレンド。だがこれを見る立場、観点によって「文化」「自動化」など解釈が拡大し、取り組む企業も限定的だった。だが欧米ではそうしたフェーズはすでに終わり、収益・ブランド・業務効率向上に不可欠な要件となっている。そして今、国内でも再び「DevOps」が注目されている。その理由は何か? 結局DevOpsとは何を指し、何をすることなのか? 今あらためて、国内DevOpsを再定義する。
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