金融機関向けSaaSに必要な三つの要件。Oracle Exadataはどう応えたか:野村総合研究所が選択したDB基盤(2/4 ページ)
金融機関のミッションクリティカルな業務で利用されるクラウドサービスには、当然ながら可用性やパフォーマンス、災害対策などを高いレベルで実現することが求められる。これらの要件を満たしたサービスを提供する野村総合研究所では、国内銀行業界で高いシェアを誇る金融機関向けSaaS「BESTWAY/JJ」のデータベース基盤に「Oracle Exadata」を採用した。[プライベートクラウド/データベース統合][パフォーマンス改善][Engineered System]
金融機関が求める品質を備えたプライベートクラウド環境を構築
昨今、多くの金融機関でSaaS(Software as a Service)の積極的な活用が進んでいる。その背景にあるのはITへの依存度の向上だ。幅広い業務領域でITが使われるようになったことから、「コスト面と統制面のコントロールが永続的な課題になっている」と竹本氏。そこで、SaaSを活用してシステムを複数の金融機関でシェアすることにより、ITにおけるコストコントロールやリスクを分散しようというのである。
NRIも金融機関向けのSaaSを提供しているが、そのインフラには自社のプライベートクラウド基盤を利用している。この基盤に対しては「金融グレード」とも呼ばれる極めて高い品質が求められるが、その具体的な内容を竹本氏は次のように説明する。
「金融グレードのクラウド基盤には、金融機関と資本市場を安定的に支えるために、災害対策やDR(DR(Disaster Recovery:災害復旧)の機能が不可欠となります。また、万一の際には迅速にインシデント対応や障害対応が行える運用体制が整っていること、監督官庁の監査に対応した内部統制レベルとセキュリティレベルを満たしていること、そして市場の変動に対応できるアジリティ(俊敏性)も要求されます。加えて、高いコスト競争力も求められます。当社では、これらに適合した金融クラウドを整備し、従来は個々のサービスごとに個別最適で構築していたインフラを統合して提供しています」
アジリティとコスト競争力の強化に向けてOracle Exadataを導入
次に竹本氏は、上述した要件に、同社がどのように対応しているのかを紹介した。まず災害対策については、「ハードウエアとシステム、運用のそれぞれのレイヤーで対策を実施している」と説明。その具体例として竹本氏が挙げたのが、複数のデータセンターによるDRだ。
「NRIでは、自社運営のティア4クラスのデータセンターを東日本に2拠点、西日本に1拠点持ち、さらに2016年4月には西日本で新たなデータセンターを稼働させます。これにより、東西それぞれ2拠点構成となり、遠距離DRだけでなく、東日本地域内、あるいは西日本地域内における近距離DRも可能となります。また、各データセンター間を接続する、クラウドレイヤーと密接に連携したデータセンター間ネットワークも整えています」(竹本氏)
運用については、統制とセキュリティを強化した運用組織/運用拠点を金融クラウド専用に整備し、各データセンターおよびクラウド環境を集中的かつ統合的に監視している。Amazon Web Servicesとのハイブリッド運用に対応していることも大きなポイントだ。
内部統制とアジリティ、コスト競争力の強化に向けた取り組みとしては、まず「FIS基準」や「SOCx」といった金融統制を前提としたIaaS(Infrastructure as a Service)環境を構築している。また、プライベートクラウドを支えるインフラとして、特にハイエンド領域におけるアジリティとコスト競争力を高める目的からOracle Exadataを活用しているという。
「それまでは、ハイエンドサーバーとハイエンドストレージの組み合わせで環境を構築していました。Oracle Exadataは新しく登場した垂直統合型システムであるため、初めは不安もありました。しかし結果として、当初の想定以上に安定して動作しています。この半年間で起きた障害はハードウエアを要因とするものが1件だけで、Oracle Exadata上のOracle Databaseに関しては特に障害もなく、極めて安定して稼働しています」(竹本氏)
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