オラクルが確約した「クラウド6箇条」と「Database 12c R2」の気になるトコロ:Database Watch(2015年10月版)(2/3 ページ)
米オラクルのラリー・エリソンCTOが、同社の年次イベントで今後のクラウド事業の行方を確約する「Oracle Cloud、6つの設計目標」を掲げました。同時に発表された基幹製品「Oracle Database 12c」の次期バージョンのポイントと共に、そこにどんな狙いがあるかを振り返ります。
クラウドがビジネスを改革し、これまでのビジネスモデルを崩す「デジタルディスラプション」が起こる
このように、オラクルはクラウド事業を今後の主力に成長させるべく、長期的な視野を持って臨んでいることを強調していました。クラウドがビジネスを改革し、さらに、これまで当たり前だったビジネスモデルも崩してしまう「デジタルディスラプション(創造的破壊)」が起こるとも予測されています。改めてそれはどういうことでしょう。
企業ITシステムにおいて、もはやオンプレミスからクラウドへ移行する時流は不可避です。だとしても、実際に着手するならばそれは「旅」と呼べるほど壮大な工程です。簡単ではありませんし、短期間に実現できるものではないと考える企業は多いでしょう。特に、システム構築でシステムインテグレーター(SIer)を介することが多い日本企業はその傾向が強いと言われます。
今後、クラウドが企業ITの在り方を「変革」させるのは間違いないとしても、オラクルは“企業ITの全てがクラウドになる”“もはや当たり前になる”のは「今後数十年はかかる」と見ています。
エリソンCTOは今回のOOW15で、オラクルが提供するクラウドサービス群「Oracle Cloud」が目指す項目として“Design Goals(設計目標)”を6つ、明確に掲げました。今後オラクルがOracle Cloudで、ユーザーに“確約する項目”と言い換えてもよいでしょう。
- 低価格:TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)を最小化する
- 信頼性:単一障害点(SOPF)をなくし、信頼性を高める
- 高性能:データベースやミドルウエアで最速を目指す
- 標準化:SQL、Hadoop、NoSQL、Java、Ruby、Node.js、Linux、Dockerなど、分野を問わず標準技術を採用する
- 互換性:オンプレミスとクラウドの移行を容易にする(行き来できるようにする)
- セキュリティ:常にオンにし、サイバーアタックから防御できるようにする
まず、これまでのオンプレミス環境で実現できていることは、クラウドでもそのまま継承できることがポイントです。
オンプレミスとクラウドをボタン一つで行き来できる。これは、今のところオンプレミスだが、しかるべき準備ができたら即クラウドへ移したいという需要はもちろん、その逆もそうです。それぞれの混在も自在とする、オラクルならではのアプローチを取り入れたパブリック/プライベートクラウド環境を用意し、現実問題としての移行のしやすさや、標準技術の採用で使いやすさを重視する方針です
最後に「セキュリティ」について、エリソンCTOは特に暗号化について「クラウドでは、常に実行するのが当然」という考えを示しました。これまで暗号化は、ハードウエアに負荷が掛かるので、必須とそうでないものを分けて運用する方針を示していました。それを「選択するのではなく、常に有効にすべきもの」と考え方の転換をするよう促しました。これを実現するオラクルの技術的なアプローチは「セキュリティ機能は、ハードウエア側のさらに下のレイヤーで実装する」方向で進んでいます。
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