SPARC M7に実装された「Software in Silicon」とは何か:Database Watch(2015年11月版)(1/2 ページ)
データベースというソフトウエア技術を追いかける本連載で「SPARC」について言及する日が来るとは思いませんでした。今回はオラクルのデータベース性能を強化するためのチップに実装された技術「Software in Silicon」を深追いします。
「SPARC」とはサン・マイクロシステムズが開発、製造したマイクロプロセッサーです。2015年10月、米オラクルは年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」(以下、OOW15)で次世代SPARCである「SPARC M7」の詳報と、SPARC M7を搭載したサーバー製品を発表しました。本稿では、このSPARC M7に搭載されたデータベース性能を強化する技術「Software in Silicon」を深追いしていきます。
いったん過去を振り返りましょう。米オラクルは2009年4月、サンの買収を発表し、翌年2010年1月に買収が完了しました。それはIT業界の内外を問わず、とても大きなニュースでした。サンはオープンソースのデータベース「MySQL」を持っていましたから、MySQLの方向性も心配されたほどです。
Oracle Databaseを中心とする商用ソフトウエアの巨人であるオラクルが、買収によってサンが保有するハードウエアとJava、他にも多くのオープンソースソフトウエアを手にしました。その影響は、まずデータベース処理に特化したオラクルのアプライアンスである「Oracle Exadata」に見られました。
2008年9月に発表された初代のOracle Exadataは、当時の米Hewlett-Packardのハードウエアを用いていました。しかしサン買収を発表した翌年、2009年9月に発表された第二世代のOracle Exadataはサンのハードウエアに替わりました。オラクルはこの買収で、ソフトウエアもハードウエアも自社でまかなえる、つまり、データベース性能に最適化したハードウエアとソフトウエアを一体化した製品(アプライアンス、オラクルは「エンジニアドシステム」と呼んでいます)を提供できるようになりました。昨今はビッグデータ解析に最適化した「Big Data Appliance」などのように、アプライアンスも拡充されています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Database Watch」バックナンバー
- Database Expaert
データベース・エキスパートを目指すエンジニアのためのフォーラム - オラクルユーザーなら理解しておきたいOracle Cloud Platformまとめ
サービス名称や料金体系、利用方法や管理レベルなどが複雑に見える「Oracle Cloud」。今回は、データベースに携わるITエンジニアなら理解しておきたい「Oracle Cloud Platform」の中の「データ管理」サービスを整理します。 - これからのORACLE MASTERはPaaSのスキルが必須に
「クラウドナンバーワンカンパニー」を目指すオラクルが、日本国内にデータセンターを開設することが明らかになるなど、話題が多かった「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」をウオッチ。「ORACLE MASTER」の資格取得者にもPaaSスキルが問われる時代になったようです。 - Oracle Databaseを例に見るデータベース高速化のポイントとスナップショットを例に探る運用改善のヒント
今回は、2015年9月11日に開催した@IT編集部主催セミナー「DB高速化道場」から、Oracle Databaseの性能改善を題材にした二つのセッションをリポートする。データベースパフォーマンス改善のトピックではあるが、運用改善にも効果が期待できる内容だ。 - 「競合はIBMでもSAPでもなく、セールスフォースとAWS」――ラリー・エリソン氏
日本オラクルが「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」を開催。その基調講演に、米オラクルのCTO、ラリー・エリソン氏が登壇、「Oracle Cloud」推進のために日本にデータセンターを開設する構想を明らかにした。 - 日本オラクル「Oracle Sales Cloud」最新版で何が変わるのか
日本オラクルが、SaaS型クラウドサービス「Oracle Sales Cloud」の最新版を発表。国内企業の迅速な海外ビジネス強化の支援を主目的に、国内外ビジネスの商習慣を踏まえた機能を拡充する。