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オラクルが注力する「コンバージドインフラ戦略」の意図「未来のITインフラが、今ここに」をアピール(1/2 ページ)

「いま出荷しているのは、未来のITインフラである」。オラクルが日本顧客向けイベントで、クラウドの基礎となるハードウエアの重要性をアピール。同社が注力するコンバージドインフラストラクチャの戦略を語った。

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 日本オラクルは2015年12月8〜9日、2015年10月に米国サンフランシスコで開催した同社の年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」の発表内容を踏まえたプライベートイベント「Oracle CloudDays Tokyo 2015」を開催。日本オラクル 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏らが、あらためてクラウドサービス全方位対応を強みに据えたオラクルのクラウド戦略を、日本市場向けの訴求メッセージ「POCO(ポコ:The Power of Cloud by Oracle)」と共に説明した。

photo 「コンバージドインフラストラクチャ戦略と新SPARCサーバーの提供によって“日本のコンピューター業界はこれから相当面白くなってくる”と思います。実はオラクルは“モノづくりの会社”であり、そしてサービスも提供する会社です」日本オラクル 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏

 “クラウドサービス全方位対応”とは、インフラストラクチャ(IaaS:Infrastructure as a Service)、プラットフォーム(PaaS:Platform as a Service)、アプリケーション(SaaS:Software as a Service)の3レイヤーの全てに対応することを指す。これらに加えて、データベース(Oracle Database)やミドルウエアをはじめとするソフトウエア、サーバー、プロセッサー(SPARC)、ソフトウエアを一体化した製品(アプライアンス、オラクルは「エンジニアドシステム」と呼んでいる)などのハードウエア、Javaを中心とする開発言語も含めてクラウドサービスとして展開する。最近は、ERP(Enterprise Resource Planning:統合型基幹業務ソフトウエア)、HCM(Human Capital Management:人材管理システム)、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)など、クラウドで提供する企業向けアプリケーション群であるSaaS分野にも注力し、事業を成長させている。

photo 米オラクル コンバージド・インフラストラクチャ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのデイビッド・ドナテリ氏

 一方で、SaaSアプリケーションの提供には、それを下支えするプラットフォーム(PaaS)とインフラストラクチャ(IaaS)の盤石な体制が不可欠である。「クラウドは全てを変えました。これまで成功していたビジネスモデルでさえもです。だから、オラクルはハードウエアとその技術の研究開発も絶え間なく行っているのです」──。9日の基調講演では、米オラクル コンバージド・インフラストラクチャ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのデイビッド・ドナテリ氏が登壇し、同社がハードウエアにも注力する理由とコンバージドインフラストラクチャ戦略の重要性を説いた。

 一般的なコンバージドインフラストラクチャ(垂直統合型システム)がハードウエア(サーバー、ネットワーク、ストレージなど)とOS、ハイパーバイザーの統合にとどまっているのに対し、ドナテリ氏は「オラクルが示すコンバージドインフラストラクチャは、プロセッサーから、ハードウエア、アプリケーション、OSスタック、そしてクラウド基盤まで統合することで、企業ニーズを幅広くカバーできることに違いがあります」と強みを述べる。

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photo チップからアプリケーション、クラウドまで統合して提供する、オラクルのコンバージドインフラストラクチャ

 オラクルは前述の通り、クラウド戦略の一部としてさまざまな企業向けアプリケーションをSaaSで提供するビジネスを加速させている。ポイントは、こうしたソフトウエアサービスはもちろん、同社のクラウドサービスのプラットフォームとして採用するハードウエア群についても、クラウドでも、オンプレミスでも活用可能な形で企業ユーザーへ提供することにある。この結果、ユーザーはオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドを隔てなく、同じプラットフォーム/ソフトウエアで使える環境を提供できる。

 つまり、現在運用するオンプレミス型システムとこれまで培った知識や手法をそのまま生かしながら、クラウドへの移行を進められる、ということだ。オンプレミスとクラウドをシームレスに行き来でき、クラウドで大丈夫かを気軽に試せる。オンプレミス→クラウドの一方通行でないのが、「すぐ全てをクラウドへ移行できるわけではない」と考える企業には特に必要なことと説明する。

 オンプレミスとクラウドの連携を進めるオラクル独自の取り組みとして、Oracle Cloudで提供するコンピューティング環境と同じ構成を提供するプライベートクラウドパッケージ「Oracle Private Cloud Appliance」を用意する。パブリッククラウドでもプライベートクラウドでも、同じ製品、同じアーキテクチャ、同一の標準規格で、同じスキルで運用を実現するのが武器だという。「パブリッククラウドの使い勝手やコストメリットは魅力だが、重要なデータは自社管理外の環境へ置けない制約がある顧客」へ向けて提供する。「これらのサービスは、コンバージドインフラストラクチャ事業戦略のポイントです」とドナテリ氏は述べる。

 プライベートクラウド向け製品にはこの他に、自社データセンターのファイアウォールの内側へ置く運用を想定するクラウドにあらかじめ最適化したアプライアンス「Oracle Public Cloud Machine」も用意する。

 「今オラクルが出荷しているのは、未来のITインフラストラクチャです」(ドナテリ氏)

photo ハイブリッドクラウド(Oracle Hybrid Cloud Services)、プライベートクラウド(Oracle Private Cloud)、自社データセンター内のOracle Cloud、三つのクラウド導入オプションを用意し、柔軟性を高める

 なおオラクルは、データベース専用マシンの「Oracle Exadata」をはじめ、「Oracle Ecalogic」「Oracle Big Data Appliance」「Oracle Zero Data Loss Recovery Appliance(ZDLRA)」など、ハードウエアとソフトウエアをあらかじめ事前構成し、用途に応じて最適化して提供する製品群を「エンジニアドシステム」と呼称している。同じく「コンバージドインフラストラクチャ」も、ハードウエアとソフトウエアを最適化して構成し、セキュリティの担保、一元的な管理、単一の窓口でサポートを受けられるなどを訴求する製品群を示す言葉だ。前者は製品群やブランドの名称として、後者は製品提供の戦略のために用いているとのことである。

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