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CentOS 7のシステム管理「systemd」をイチから理解する:CentOS 7で始める最新Linux管理入門(2)(4/4 ページ)
「systemd」は、Linuxの起動処理やシステム管理を行う仕組みです。systemdはinitの限界を克服するために作られた新しいシステム管理アーキテクチャで、CentOS 7でも用います。では、何が違うのでしょう。これまで使われてきた「init」と比較しながら、基礎と課題を解説します。
systemdが抱える課題
initからsystemdへの変更は小規模ではなく、大規模な変更です。systemdのアーキテクチャ自体も不必要なほど複雑ではないとしても、複雑なものであることから「systemdのアーキテクチャはUNIX哲学を破壊する」などとしてさまざまな議論が繰り返されています。実際にsystemdを批判する反対派の存在もあります。
筆者はシステム管理者の視点から、initからsystemdへの移行に際して以下の課題があると考えています。
- initからsystemdへの変更で、コマンドが大幅に変わることによる学習コストが掛かる
- systemdの実装が完成形であるとはいえないこと(「半端な改善は、完全な欠陥よりもたちが悪い」という批判がある)
前者は、systemdの機能が多岐にわたっているため、「よく利用する部分、特にサービス起動系にフォーカスして理解していく」ことで、ある程度は回避できると考えます。
後者については、ポッターリング氏はsystemdの開発を「決して終了せず、決して完成しないが、技術の進歩を追い求める」としています。これまでのOSS(オープンソースソフトウエア)もそのように進化してきたことから、現状が完成形と思わず、絶えず進化していくシステムだと考えれば、正しいアプローチだと思います。
次回はCentOS7の「ネットワーク管理」について解説します。
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