日立がJP1の最新版を発売。SaaS版の提供やパブリッククラウド対応強化も:運用自動化機能の強化、オートスケール対応なども
日立製作所は、統合システム運用管理ソフトの最新版「JP1 Version 11」の販売を開始する。システム障害発生時の原因究明に向けた新製品をラインアップに追加するとともに、ジョブ管理など各種製品の機能を強化した。
日立製作所(日立)は、統合システム運用管理ソフトの最新版「JP1 Version 11」の販売を開始する。クラウドや仮想化によって複雑化するITシステムの運用管理に対応するため、システム障害発生時の原因究明に向けた分析を迅速化する新製品「JP1/Operations Analytics」をラインアップに追加するとともに、ジョブ管理など各種製品の機能を強化した。
さらに、「JP1 SaaS」として、SaaS(Software as a Service)型での提供も開始する。第1弾として、日本国内を対象に、IT資産管理サービスと高速データ転送サービスを提供する。
自動情報収集/抽出機能で障害対応を迅速化
新製品のJP1/Operations Analyticsは、仮想化などを利用して構成が複雑化したITシステムで、サーバやストレージ、ネットワークといったシステム全体の構成要素を自動収集し、業務システムとの相関関係を可視化するツール。障害時には、障害発生箇所や原因の特定に必要な情報を自動的に抽出し、原因分析や影響把握を迅速化する。従来、管理者のスキルやノウハウに依存していた原因究明に向けた一連の作業を自動化することで、影響範囲の拡大や復旧作業の長期化を防止する。
デバイス管理、大容量データ転送機能をSaaSで提供
一方、SaaS型での提供を開始するのは、「JP1/IT Desktop Management 2 as a Service」と「JP1/Data Highway as a Service」。前者は、PCやサーバ、スマートデバイスといったIT資産の情報やセキュリティ対策状況などを一元的に管理するサービス。スマートフォンやタブレットなどの盗難・紛失時に、遠隔地から操作不能にしたり、端末上のデータを消去したりするリモートロック/リモートワイプなどの情報漏えい対策が可能だ。そして後者は、動画コンテンツや設計CAD(Computer Aided Design)データといった大容量ファイルを、高速かつ安全にインターネット経由で遠隔地に転送するサービスである。
オートスケール機能に対応したジョブ管理
ジョブ管理ツール「JP1/Automatic Job Management System」の機能も強化した。Amazon Web Services(AWS)環境のオートスケール機能を利用した仮想マシンの増減など、システム構成が変化する環境でも、ジョブの実行を可能とした。新たにREST APIに対応したことで、Webベースのアプリケーションと組み合わせてジョブを実行できるようにするなど、既存システムとWebシステムの連携が容易になる。
JP1/Automatic Job Management Systemの機能イメージ。AWSのELB(Elastic Load Balancing)を指定するとAWSのオートスケール機能に対応する(出典:日立)
価格(いずれも税別)は、JP1/Operations Analyticsが36万円、JP1/IT Desktop Management 2 as a Serviceが初期導入費10万円、基本プラン500円/月・ノード、JP1/Data Highway as a Serviceが初期導入費10万円、基本プラン9万円/月、JP1/Automatic Job Management System 3 - Managerが27万円〜。出荷/サービス開始は、は、いずれも2016年1月29日。
関連記事
- 「Puppet」ユーザー会が発足:「Puppet」がもたらすインフラ構築自動化と“それ以外”のメリット
インフラ構築自動化ツールの一つ、「Puppet」に関するユーザーやベンダーの情報交換を促す「Puppetユーザ会」が設立された。第一回の会合に合わせて来日したPuppet LabsのCIO カーステン・ナイジャル氏とユーザー会代表の菅原亮氏に、その特徴とメリットを聞いた。 - 調査リポート:“エンジニアの効率活用”も――進む運用管理自動化、マルチクラウド対応
IDCジャパンが国内のITインフラ運用管理サービスの動向に関する調査リポートを発表。マルチクラウドへの対応や運用自動化に注力する国内ITサービス事業者の姿が浮かび上がった。自動化後のIT人材の在り方も予測する。 - Zabbix+JobSchedulerで効果的な運用監視とジョブ管理:初めての運用管理者が知っておきたい監視・ジョブ管理向けOSS構成例4つの比較まとめ
システム運用の上で重要な「監視」と「ジョブ管理」について、効率的な実現方法を解説。 - Puppet Labs共同創業者:Andrew Clay Shafer氏が語る、DevOps、CI、マイクロサービス
Reductive Labs(現Puppet Labs)を創業し、DevOps、アジャイル開発、プログラミングと組織文化などについて、数々の講演を行ってきたAndrew Clay Shafer氏に、DevOps、継続的インテグレーション(CI)、マイクロサービスについて聞いた。 - 新人インフラ技術者のためのサーバー構築/運用自動化入門(4):作業手順書はもういらない! Puppetにおける自動化の定義書「マニフェスト」の書き方と基礎文法まとめ
サーバー構築の自動化で利用される技術、自動化ツールとして「Kickstart」「Puppet」を紹介し、構築から運用まで、システムライフサイクル全体にわたる運用管理の自動化についても解説する連載。今回は、自動化ツールを使う上で大切な3つのことを基に、Puppetの変数とテンプレート、条件分岐、クラス、モジュールの使い方などを解説します。 - 特集:DevOpsで変わる情シスの未来(8):なぜ速く作る必要があるのか? 何のために開発するのか?―アジャイル、DevOpsをサービス観点で今あらためて問い直す
2013年までの盛り上がりから一転、国内ではほとんど聞かれなくなった言葉「DevOps」。だがその概念の重要性は、多くの企業に着実に浸透しつつある。「IT=サービス」という観点から、今あらためてDevOpsの意義とポイントを問い直す。 - 特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(3):徹底比較! 運用自動化OSSと商用ツール、両者の違いと使い分け、見極めのポイント
企業におけるITシステムの運用自動化を徹底的に深堀りする本特集。今回は運用自動化のオープンソースソフトウェア(以下、OSS)と商用ツールの違いを比較。ケーススタディも交えてOSSと商用ツールを賢く使い分ける観点を紹介する。 - 徹底比較! 運用監視を自動化するオープンソースソフトウェア10製品の特徴、メリット・デメリットをひとまとめ
運用自動化のポイントを深掘りする本特集。今回は「個々の作業項目の自動化」に焦点を当て、「Zabbix」「JobScheduler」「Sensu」など、運用・監視系の主要OSS、10種類の特徴、使い方などを徹底解説する。 - 運用自動化、ツールの種類やOSS/商用の違いを問わない運用設計の作り方、進め方
システム構成が動的に変化する仮想化・クラウドの浸透により、もはや人手だけによる運用管理は難しくなっている。本特集では、ビジネス展開に即応するインフラ整備の必須要件、運用自動化のポイントをツール面、設計面などあらゆる角度から掘り下げていく。 - ■■サーバー構築の自動化で利用される技術、自動化ツールとして「Kickstart」「Puppet」を紹介し、構築から運用まで、システムライフサイクル全体にわたる運用管理の自動化についても解説する連載。今回は、PXEとKickstartを使い、VirtualBox+CentOS環境を自動でインストールするためのサーバーの作り方について。
- 環境構築自動化の手順と評価検証、Puppetの基礎知識
サーバー構築の自動化で利用される技術、自動化ツールとして「Kickstart」「Puppet」を紹介し、構築から運用まで、システムライフサイクル全体にわたる運用管理の自動化についても解説する連載。 - Nagiosと連携して運用自動化! 事例と適用ポイント
最終回となる今回は、JobSchedulerの日本での活用事例を紹介し、さらにJobSchedulerを組み込んだ簡単なシステムを実際に開発してみようと思います。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.