徹底比較! 運用監視を自動化するオープンソースソフトウェア10製品の特徴、メリット・デメリットをひとまとめ:特集:運用自動化ツールで実現する、クラウド時代の運用スタイル(2)(1/12 ページ)
運用自動化のポイントを深掘りする本特集。今回は「個々の作業項目の自動化」に焦点を当て、「Zabbix」「JobScheduler」「Sensu」など、運用・監視系の主要OSS、10種類の特徴、使い方などを徹底解説する。
前回は、運用自動化が多くの一般企業に浸透しつつある現状と、運用自動化ツールの導入・活用のステップを紹介した。ポイントとなるのは、サーバー監視、ネットワーク監視といった「個々の運用管理作業の自動化」と、それらをつなぎ合わせた「個々の運用管理作業を連携させた自動化」の実現だ。今回はこの第一ステップとなる「個々の運用管理作業の自動化」に焦点を当て、多くの企業の注目を集めている、10種類の運用監視系オープンソースソフトウェア(以下、OSS)を徹底解説する。では早速、本論に入ろう。
安心感が大幅に向上したOSS。導入企業も増加傾向
1991年にLinuxがリリースされて以来、OSSは目覚ましい発展を遂げている。OSやWebサーバー、リレーショナルデータベース(以下、RDB)のみならず、商標製品が占めていた分野にもさまざまな製品が公開されている。OSS製品はコスト削減効果ばかりが注目されてきたが、現在では障害などに迅速な対応が行われる点や、コミュニティによるサポートに加えサポートベンダーも登場し、OSS導入の不安は大きく改善されている。
ここでは最近注目を集めているOSSのジョブ運用・システム監視ソフトウェアから10製品をピックアップし、評価を行った結果を紹介しよう。製品の評価は、検証環境を構築し、2014年7月時点でstableな最新バージョンを実際にインストール、稼働させる形で行った。今回は記事化が目的であったため検証は限定的な内容にとどめたが、選択・導入に当たっての評価をまとめたので参考にしてほしい。
紹介するOSSは以下の10製品。選択に当たって比較しやすいよう、それぞれ「プロフィール」「特徴」「優位点と劣位点」「利用シチュエーション」という共通項目を立てて解説している。順に読み進めてもよいが、リスト中の製品名をクリックすると当該ページに飛ぶので、知りたい製品から読むこともできる。
なお解説文中のリンクは、コミュニティのトップページやダウンロードページなどにリンクさせているので、興味のある向きは実際にダウンロードして触ってみてはいかがだろうか。
製品名 | ベンダー・コミュニティ | 特徴 | |
---|---|---|---|
1 | Nagios | nagios.org | 監視ソフトウェアの古豪(1)。SNMPとエージェントを併用しての詳細な監視が行える |
2 | Cacti | cacti.net | 監視ソフトウェアの古豪(2)。SNMPを利用してのリソース使用状況の収集とグラフ化が簡単に行える |
3 | Sensu | Sensuapp.org | エージェント型のサーバー監視ツール。Nagiosのプラグインの再利用および、監視方法の詳細なカスタマイズが可能 |
4 | Serf | HashiCorp | 自律型のジョブ運用ソフトウェア。従来の製品とは異なり中央監視サーバーが存在せず、個々のサーバーで自立管理を行う |
5 | Consul | HashiCorp | エージェント型のサーバー監視ソフトウェア。監視対象リソース・サービス・障害の自動検出とデータセンター間連携が行える |
6 | Munin | munin-monitoring.org | エージェント型のサーバー監視ツール。サーバー個々の監視、中央監視サーバーへの集約の双方が可能 |
7 | Hinemos | NTT Data | 純国産の統合運用監視ソフトウェア。製品・マニュアルが日本語で提供されており、国内ベンダーのサポートも厚い |
8 | JobScheduler | Software und Organi-sationsService GmbH | OSSのジョブ運用管理製品。海外での事例は多いが国内での普及はこれから |
9 | Zabbix | Zabbix SIA | 多機能かつ柔軟性の高いシステム監視ソフトウェア。監視方法やグラフ変更などの自由度が高い |
10 | Job Arranger for Zabbix | 大和総研ビジネス・イノベーション | Zabbixに現在は実装されていないジョブ管理機能を補完する製品。Zabbixとの連携することで統合運用監視が可能 |
商用ツールと比較した各OSS製品のカバー範囲
選択した10製品の機能を、商用の統合運用監視製品の機能と比較した場合のカバー範囲イメージは以下のように考えている。
機能範囲 | 詳細 | |
---|---|---|
① | リソース分析系 | CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどのリソース使用量を計測 |
② | サーバー監視系 | OS、サービス、スイッチ、ストレージなどの死活と正常稼働を監視 |
③ | サーバー管理系 | インフラ構築作業(サーバー構築、プロダクトインストール、設定など)の自動化(※クラウドオーケストレーションは含まず) |
④ | ジョブ実行制御系 | システム運用ジョブの実行制御、サービスの起動停止などの運用作業自動化 |
では早速、次のページから各OSS製品のプロフィールと優位性、劣位性、利用シチュエーションなどを詳しく見ていこう。
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