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障害時にサブサーバへ自動で切り替える「高可用性WordPressシステム」の作り方 前編DRBDの仕組みを学ぶ(5)(2/4 ページ)

サービスを止めてはならない環境で活躍する冗長化支援ツール「DRBD」。今回は、CMSツールとして多くのWebサイトで利用されている「WordPressサーバ」の高可用性をDRBDで確保する方法を解説します。前編は、必要なソフトウェアのインストールと初期設定までを説明します。

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「DRBDを使った高可用性WordPressシステムを構築する」手順

 では、実際に高可用性WordPressシステム環境を構築していきましょう。

DRBD用の空きパーティションの作成とOSのインストール

パーティション 領域 デバイス名
boot 500MB /dev/sda1
/ 20GB /dev/sda2
swap 4GB /dev/sda3
空き領域 273.5GB  

 OSのインストールは任意の方法で実施して構いませんが、このシステムでは、パーティションを構成する際にDRBD専用の領域を二つ作成しておく必要があります。例えば、ストレージ容量が300GBのマシンでしたら、右の表のようにパーティションを作成して、空き領域を確保しておいてください。

 空き領域はひとまずそのままにして、OSのインストールを済ませます。OSのインストールが不安でしたら、以下の参考記事も一緒にご覧下さい。前回の「“Sambaサーバーの冗長化”をDRBDでサクッと実現してしまう方法」で紹介したOSインストール準備の手順と同じです。こちらも参照していただきながらOSのインストールと、「一時的にfirewalldやiptablesのサービスと自動起動を止める」「パッケージのアップデート」までを済ませて下さい。



ワンポイント

今回は空き領域をそのままにしてOSインストールを済ませましたが、「LVM(Logical Volume Manager:複数のストレージやパーティションにまたがった記憶領域を一つの倫理ボリュームとして扱うこと、およびその管理機能)」として領域を確保し、その後にパーティションを二つ作成する手順でも問題ありません。


DRBD用パーティション領域の作成

 OSインストール時に空けておいた領域へ、partedコマンドを使用してDRBD用のパーティション領域を作成します。

 まずはディスクの状態を確認します。parted /dev/sdaコマンド実行後に、print freeで詳細が表示されます。以下は使用ディスクが/dev/sdaの場合の例です。こちらは、自身が運用する環境に応じて適宜読み替えてください。

# parted /dev/sda
GNU Parted 3.1
/dev/sda を使用
GNU Parted へようこそ! コマンド一覧を見るには 'help' と入力してください。
(parted) print free
モデル: ATA VBOX HARDDISK (scsi)
ディスク /dev/sda: 300.0 GB
セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B
パーティションテーブル: msdos
ディスクフラグ:
番号  開始    終了    サイズ        タイプ     ファイルシステム              フラグ
      32.3kB  1049kB  1016kB            空き容量
 1    1049kB  525MB   524MB   primary  xfs               boot
 2    525MB   22.0GB  21.5GB   primary  xfs
 3    22.0GB  26.3GB   4295MB  primary  linux-swap(v1)
      26.3GB  300.0GB  273.7GB           空き容量
(parted)

 ここから、「26.3GBから300.0GBまで」が空き領域であることが確認できました。

 今回はこの空き領域に二つのプライマリパーティションが必要です。mkpart extendedコマンドで拡張領域を作成し、その中に新しいパーティションを二つ作成します。

(parted) mkpart extended 26.3GB 300.0GB

 これで、26.3GB目から300.0GB目までが拡張領域として確保されました。print freeで拡張領域が作成されたことを確認します。

(parted) print free
モデル: ATA VBOX HARDDISK (scsi)
ディスク /dev/sda: 300.0 GB
セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B
パーティションテーブル: msdos
ディスクフラグ:
番号  開始    終了    サイズ        タイプ     ファイルシステム       フラグ
      32.3kB  1049kB  1016kB            空き容量
 1    1049kB  525MB   524MB   primary  xfs               boot
 2    525MB   22.0GB  21.5GB   primary  xfs
 3    22.0GB  26.3GB   4295MB  primary  linux-swap(v1)
 4    26.3GB  300.0GB  273.7GB extended                   lba
      26.3GB  300.0GB  273.7GB           空き領域
(parted)

 「4」が拡張領域(extended)となりました。

 この拡張領域に新しいパーティションを二つ作成します。今回はWordPressのコンテンツ用に100GB、残りをデータベース用のパーティションとして確保します。コマンドは以下の通りです。

(parted) mkpart logical xfs 26.3GB 126.3GB
(parted) mkpart logical xfs 126.3GB 300.0GB

 print freeで新しいパーティションが二つ作成されたことを確認します。

(parted) print free
モデル: ATA VBOX HARDDISK (scsi)
ディスク /dev/sda: 300.0 GB
セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B
パーティションテーブル: msdos
ディスクフラグ:
番号  開始    終了    サイズ        タイプ     ファイルシステム       フラグ
      32.3kB  1049kB  1016kB            空き容量
 1    1049kB  525MB   524MB   primary  xfs               boot
 2    525MB   22.0GB  21.5GB   primary  xfs
 3    22.0GB  26.3GB   4295MB  primary  linux-swap(v1)
 4    26.3GB  300.0GB  273.7GB extended                   lba
 5    26.3GB  126.3GB  100.0GB logical 
 6    126.3GB 300.0GB  173.7GB logical
(parted)

 「5」「6」に新しいパーティションが作成されました。ファイルシステム欄は空白で問題ありません。これを確認できたらquitでpartedコマンドを終了します。

「hosts」設定を行う

 「/etc/hosts」ファイルに、一号機(プライマリ機)と二号機(セカンダリ機)のホスト名を追記します。後述するDRBDの設定ファイルは、/etc/hostsに記載されているホスト名でホストを判断するためです。忘れずに設定してください。

 ホスト名は任意で構いません。今回は「wp-ha1」「wp-ha2」としました。IPアドレスはDRBDレプリケーション用のIPアドレスを記述します。

10.0.1.1	wp-ha1
10.0.1.2	wp-ha2

「DRBD」のインストールと設定を行う

 DBRDのインストールと設定については、前回の「“Sambaサーバーの冗長化”をDRBDでサクッと実現してしまう方法」でも解説しました。「EPELのリポジトリを追加する」、「リポジトリ追加後にDRBDをインストールする」までほぼ同じ手順ですので、こちらを参照しながらDRBDのインストールを済ませてください。

 今回は、「リソースを二つ作成する」手順に違いがあります。前回はr0というリソースを一つだけ作りましたが、今回はWordPress用の「r0」と、MariaDB用の「r1」、計二つ作成します。詳しくは次ページで解説します。

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