障害時にサブサーバへ自動で切り替える「高可用性WordPressシステム」の作り方 後編:DRBDの仕組みを学ぶ(6)(2/3 ページ)
サービスを止めてはならない環境で活躍する冗長化支援ツール「DRBD」を使い、「WordPressサーバ」の高可用性を確保する方法を解説します。後編は、自動切り替えのキモとなる「Pacemaker」と「Corosync」の設定ノウハウと共に、「高可用性WordPressシステム」を完成させます。
colocationとorderの設定を行う
続いて「共存関係」を設定するために、colocationの設定も行います。
# pcs constraint colocation add wp-ha ms_drbd_r0 INFINITY with-rsc-role=Master # pcs constraint colocation add wp-ha ms_drbd_r1 INFINITY with-rsc-role=Master
ここで、「ms_drbd_r0」がプライマリ機(Master)となっているサーバで、「wp-ha」グループを実行するという関係性を定義します。
wp-haグループとは、先ほど登録したグループのリソース群です。2行目も同様です。「ms_drbd_r1」がプライマリ機(Master)となっているサーバで「wp-ha」グループを実行する関係性を定義しています。
「order」も以下のように設定します。orderは、上のcolocationと連動した設定項目です。
# pcs constraint order promote ms_drbd_r0 then start wp-ha # pcs constraint order promote ms_drbd_r1 then start wp-ha
この設定は、「ms_drbd_r0」が起動した後に「wp-ha」グループを起動するように指定する「起動順」になります。2行目も「ms_drbd_r1」以外は同じです。
クラスタ起動時に優先的にプライマリになるサーバを指定します。
# pcs constraint location wp-ha prefers wp-ha1=100
以上をまとめます。colocationでDRBDのプライマリとwp-haグループを同じサーバで起動する「共存関係」を定義し、orderではDRBDが起動してからwp-haグループを起動する起動順を定義します。
よって、colocationとorderはセットで設定する必要があります。どちらかの設定を入れ忘れないように注意してください。
リソースの状態をクリアします。
# pcs resource cleanup
以上で全ての設定が終了しました。おつかれさまでした。
最後に一号機でクラスタを再起動します。
# pcs cluster stop --all # pcs cluster start --all
colocation/orderの設定を間違えて登録してしまったら
colocationの設定は、「pcs constraint colocation remove <リソース名> <リソース名>」、orderの設定は「pcs constraint order remove <リソース名> <リソース名>」のコマンドで削除できます。
pcs constraint colocation remove wp-ha ms_drbd_r0
pcs constraint order remove ms_drbd_r0 wp-ha
リソース名ではなく、今回のようにグループ名を指定することもできます。設定を削除した場合は「pcs config」コマンドで忘れずに確認しましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 障害時にサブサーバへ自動で切り替える「高可用性WordPressシステム」の作り方 前編
サービスを止めてはならない環境で活躍する冗長化支援ツール「DRBD」。今回は、CMSツールとして多くのWebサイトで利用されている「WordPressサーバ」の高可用性をDRBDで確保する方法を解説します。前編は、必要なソフトウェアのインストールと初期設定までを説明します。 - DRBD(Distributed Replicated Block Device)とは何か
障害監視ツールなどと一緒に使うことで、サービスの継続提供を助けるDRBD。Linuxカーネルに統合されている機能ですが、上手に使いこなしているでしょうか? 本連載では、DRBDの動作や使いどころを順を追って紹介していきます。 - ミラーリングツール「DRBD」によるデータ保護
「Heartbeat」の適切な導入によってHAクラスタを構成し、Linux上で動作しているサービスの可用性を上げることができます。続いて、肝心のデータそのものを保護できるツール「DRBD」について紹介しましょう。 - ここが変わったCentOS 7──「新機能の概要とインストール」編
「CentOS 7」を皆さんどれだけ理解していますでしょうか。CentOS 7は、以前のバージョンから使い勝手がかなり変わりました。本連載では、今さら聞けない/おさらいしたいというインフラエンジニアに向け、CentOS 7の概要と基礎から活用Tipsまでを紹介していきます。 - DRBD+iSCSI夢の共演(前編)〜 Windowsドライブをミラーリングで保護 〜
Linux上で動作するオープンソースソフトウエア「DRBD」とiSCSIを組み合わせ、部門内のWindows端末のデータをバックアップするシステムを構築してみよう - OSSとLinuxで高可用システム構築を支援、サードウェア
- Sambaサーバー構築、5つのべからず− 若葉マーク管理者に捧げる
LinuxやUNIXをWindowsのファイルサーバー/プリントサーバーとしてしまうことができる「Samba」は、手軽にファイル共有環境を構築することができ、サーバー管理入門にもぴったりです。インターネット上の関連情報も豊富ですが、しっかり出所を確かめないと誤った設定を招く恐れがあります。