「クイズ$ミリオネア」に学ぶ、仕事の進め方〜仕事術の「りある」:えんじにあ解体新書(5)(3/3 ページ)
「ファイナルアンサー?」で仕様確定(できたら、どんなにいいか……)――SEの現実を分かりやすく解説する本連載。今回は仕事の進め方のコツを、テレビ番組「クイズ$ミリオネア」になぞらえて解説します。
困ったときは「テレフォン」と「オーディエンス」
仕事では、相談相手になってくれる仲間が大事です。困ったときは、遠慮なく相談し、助けてもらいましょう。
「クイズ$ミリオネア」では、ライフライン「オーディエンス」を使うと、観客が自分たちの考えを教えてくれます。彼らはときに間違えます。でも、いいのです。困ったときに一緒に悩んでくれる仲間がいるだけで、心が救われるものなのです。
私が仕事上で重宝しているのが「テレフォン」です。困ったときに、その道に卓越した仲間に電話で問い合わせをするのです。
「クイズ$ミリオネア」の「テレフォン」は、30秒だけ誰かに電話をかけて相談できるライフラインです。仕事でも、誰かに相談の電話をすると、悩んでいたことが30秒で解決することがあります。
でも、「クイズ$ミリオネア」では、質問すらうまく伝えられずに30秒が終わってしまったことが何度もありました。「テレフォン」を成功させるには、相談できる専門家を見つけることに加え、的確に質問する能力も必要なのです。
若手のときは、システムに関するあらゆることを知っているはずがありません。私のような中堅でも、知らないことばかりです。大きなプロジェクトになると求められる技術は広範囲かつ高度になります。全ての技術に精通することは不可能です。仲間に頼ることも、時には大切です。
仕様の確定は「ファイナルアンサー」で
前回の記事で、3Kになる原因の一つとして「突然の仕様変更」を挙げました。システム構築では、「仕様確定」を確実に行うことが、より良い仕事、やりやすい仕事につながります。
では、どうやったら仕様を確実に確定し、変更がないようにできるのでしょうか。
「クイズ$ミリオネア」では、みのもんた氏が回答者に答えの最終確認をします。「ファイナルアンサー?」と聞いて、「ファイナルアンサー!」と応じたら、回答者はそれ以降は答えを変更できません。
SEの仕事も、お客さまに「ファイナルアンサー(仕様確定です)!」と宣言してもらえると、やりやすくなるのではないでしょうか。
「記録を残す」のも、仕様確定に有効な手段です。議事録を取ってメールや文書として残したり、会議を録音したり、双方で文書にサインをしたりするのです。
言った言わないのトラブルを防ぐには、こうやって確実な事実を作るべきですね。
クイズも仕事も最後は自分 責任を持ってやり抜く
「クイズ$ミリオネア」のライフラインは、全15問中1回ずつしか使えません。これは、実際の仕事でも同じです。常に仲間が助けてくれるわけではありませんし、誰かが正解を知っているとも限りません。お客さまと調整が付かないこともあるでしょう。
仕事では、最後は自分で考え、自分一人で解を出さなければなりません。ライフラインだけで仕事を仕上げるのは不可能です。自分の技術力を高め、自分の力で成し遂げるのが、SEの本来の在り方です。「仲間に頼るときもあるが、答えは自分で出す」、それがバランスの取れた良い仕事の進め方だと私は考えます。
「クイズ$ミリオネア」に参加条件はありません。学歴も性別も年齢も問われません。SEも同じで、「頑張ろう」というチャレンジ精神が最も求められます。
そして、難しい問題にぶち当たっても、悩み抜いて答えを出し、最後までやり抜きます。ドロップアウト(途中棄権して途中までの金額を得る)せずに1000万円を目指す姿は、格好いいものです。そういう人がクイズ番組では1000万円を勝ち取るでしょうし、仕事では皆から信頼されるSEになることでしょう。
左門 至峰(さもん しほう)
現役のSE(システムエンジニア)兼ITライター。
技術士(情報工学)やネットワークスペシャリストなどのIT資格を多数保有。著書に「どこかで見た・聞いた・体験した!SEあるある四方山話〜SE100人に聞いた今どきのSEの生態」(技術評論社)、ネットワークスペシャリスト試験対策の「ネスペ」シリーズ(技術評論社)、情報セキュリティスペシャリスト試験対策の「セスぺ」シリーズ(日経BP社)など多数。
Twitter:@3mon44
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