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「Network is the computer」の男が思い描く、コンピュータの未来Go AbekawaのGo Global!〜Scott McNealy編(1/3 ページ)

グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うシリーズ。今回はサン・マイクロシステムズ社共同創立者のScott McNealy氏に、同社創立時の思い出、そして現在取り組んでいること、エンジニアへの思いなどを伺った。※マクネリー氏のメッセージ動画付き

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Go AbekawaのGo Global!

「Go AbekawaのGo Global!」連載目次

 アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。第7回はScott McNealy(スコット・マクネリー)氏にお話を伺った。

 サン・マイクロシステムズ(以下、サン)の経営者としてIT業界を牽引(けんいん)し、「Network is the computer」などの名言でエンジニアたちを鼓舞してきたマクネリー氏が現在取り組んでいること、そして氏が考える今後エンジニアに必要な能力とは何か。


Scott McNealy(スコット・マクネリー)
米サン・マイクロシステムズ社共同創立者。現、Wayin(ウェイイン)社代表、兼、日本サード・パーティ最高経営顧問
ハーバード大学(医学部入学後、経済学部へ変更)経営学士、スタンフォード大学経営大学院修士号取得。ロックウェル・インターナショナル、FMC、Onyx Systemsを経て、1982年にサン・マイクロシステムズ創立。1984年より22年間を最高経営責任者として、2006年から4年間を会長として、同社の経営に携わる。2010年のオラクルによるサン買収後、2011年にウェイイン社を設立。ソーシャルキュレーションサービス「Wayin」の開発と普及に取り込んでいる

人々を揺り動かすものは何か、科学的に解明したい

Scott McNealy(スコット・マクネリー:以降、マクネリー氏) 私はアジアが大好きで、年に1回はアジアパシフィク地域を訪れています。アジア市場は大きく成長していますし、新しい技術やトレンドも生まれています。日本にはたくさんの友人がいますし、「Wayin」が順調に成長していますので、日本に来るのはいつも楽しみです。

阿部川“Go”久広(以降、阿部川) Wayinとはどのようなサービスですか?

マクネリー氏 例えば、私が「自分は素晴らしいCEOだ」と言っても誰も信じないですよね?

阿部川 信じるも信じないも、実際そうですよね(笑)。

マクネリー氏 信じてもらえるとは思いますが(笑)。もしかしたら、私は自分でそう言っているだけの人かもしれない。しかし50万人がTwitterで、同様のことをツイートしたらどうでしょうか。

 Wayinは、ソーシャルメディア上の全ての会話や情報を集め、タグでインデックス付けします。そこからクラウドノイズ(※)を取り除き、それらに対して、リターゲティングや情報の伝達を行います。

※クラウドノイズ(crowd noise):観客が声援でプレイを邪魔することを意味するアメリカンフットボール用語

阿部川 膨大なデータがやりとりされますね。

マクネリー氏 今現在、米国だけで1日に2億個以上のイメージデータがやりとりされているという試算を見たことがあります。5億や10億だという人もいます。現在は、ビッグデータやクラウドの時代ですから、それらの組み合わせを解明することは、社会学的な側面と、科学的な側面があります。

阿部川 スコットさんの大学での専攻は経済学でしたね。

マクネリー氏 ハーバードでゴルフを専攻し、副専攻で経済学を履修しました(笑)。

 私は社会科学的な側面には非常に興味があります。人々を揺り動かすものは何なのか、人々の思考や行動を確実に促すものは何なのか、それらを科学的に解明できれば素晴らしいと思います。

 ビッグデータの時代に移行し、大半の企業が、自分たちでは手に負えないくらいのデータを収集しています。全てのデジタルデータがネットワークでつながっていて、その規模たるや本当に膨大な量です。

 最近は多くの企業から、時計やリストバンドが発売されています。これを装着すれば、体温、心拍、呼吸、血圧、血糖値などが24時間365日データ化されてネットワーク上を行き来します。

 自動車の自動運転も、金融の取り引きも全てデータ化されています。どこにいってもカメラやマイクやスピーカーからデータが取集され、全てのデータが分析されています。

 いまはデータが全てなのです。

 単なるデータを知識や知恵にまで高められれば、積極的に戦略を構築し、実行できるでしょう。

阿部川 データの背景や、そこにあるストーリーを読み取らないといけないということですね。スコットさんは近年、「データサイエンティスト」についても、頻繁に発言されていますが。

マクネリー氏 現在、どこの大学にも「ビッグデータサイエンス」という学問はありません。そこで、スタンフォードにいる息子と共同して、カリキュラムを作っています。データを分析して、そこから何かを導き出す方法論を、コンピュータサイエンス、統計学、経済学、政治科学、数学などと融合して、学位にまで高めようと考えています。

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