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米EMC、UnityとNeutrino Nodesの発表でオールフラッシュとクラウドネイティブへの取り組み強化EMC WORLD 2016

米EMCが2016年5月第1週に開催したEMC WORLD 2016における製品発表の要点は、同社のオールフラッシュ対応製品群がほぼ出そろったこと、同社の「クラウドネイティブIT」対応製品が具体化したことにある。

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 米EMCは2016年5月第1週に米ラスベガスで開催したEMC WORLD 2016で多数の発表を行った。象徴的なのは、オールフラッシュ構成で1万8000ドルからという「EMC VNX/VNXe」後継のハードウェアストレージ「EMC Unity」、および大規模ハイパーコンバージドインフラシステムの「EMC VxRack」における、プラグ・アンド・プレイのOpenStack/Cloud Foundry環境製品だ。

 EMCは以前から、従来型のIT(「第2のプラットフォーム」「モード1」)、デジタル戦略を進めるための新しいIT(「第3のプラットフォーム」「モード2」)の双方で、一般企業におけるコスト効率とスピードの向上を支援するITインフラ製品・サービスを提供すると公言してきた。

 この取り組みにおける製品面でのキーワードは、「フラッシュストレージ」と「コンバージドインフラシステム(統合インフラシステム)」だ。フラッシュストレージでは自社ハードウェアストレージ既存製品のオールフラッシュ対応を進めるとともに、「EMC DSSD」のような新製品を投入してきた。統合インフラシステムで最近目立つのは、ソフトウェアストレージを採用した、いわゆる「ハイパーコンバージドインフラシステム」における新製品の投入だ。

オールフラッシュ構成が1万8000ドルからの「EMC Unity」

 ハードウェアストレージとして、EMCは今回、ミッドレンジ/エントリストレージ「EMC VNX/VNXe」の後継商品、「EMC Unity」を提供開始したと発表した。ブロック、ファイル、VVOLの3種のストレージとして使え、オールフラッシュ版、ハイブリッド版、仮想アプライアンス版が提供される。Unityは、オールフラッシュ版で1万8000ドル以下、ハイブリッドストレージ版で1万ドル以下という価格設定が最大の魅力。同社はこれらの価格で提供される容量などの仕様を明らかにしていない。


VNXおよびVNXeの後継商品、「EMC Unity」

 性能は、オールフラッシュで最大30万IOPS。最大容量はハイブリッド版で3PBだという。ちなみにUnityでは、2Uの筐体だけで80TBのフラッシュを搭載できる。双方とも単一LUNの最大容量は256TB、単一ファイルボリュームの最大容量は64TB。重複除外やデータ圧縮機能は、現時点では搭載していない。

 VNXにもオールフラッシュ版はあった。従って、Unityが同社のミッドレンジ/エントリ製品における初のオールフラッシュ対応ではない。だが、NASのためのファイルシステムを完全に書き換え、これまでのようにLUNを経由するのではなく、記憶媒体に直接アクセスするようになった。

 同製品は、QoS、暗号化、遠隔データ複製、データ自動階層管理(ハイブリッド版のみ)といった機能を標準搭載。永久メンテナンス、3年間のマネーバック保証、永久フラッシュ耐久性保証など、保証面でも新たな取り組みをしている。

 一方、スケールアウトファイルストレージのIsilonでは、オールフラッシュ構成の製品開発プロジェクト、Project Nitroが進行中という。ノード当たり15GB/秒、25万IOPS、システム全体では100PB以上の容量をオールフラッシュで提供できるものになるという。この新製品は2017年中に一般提供開始の予定。

クラウドネイティブな世界をどう支えるか

 オールフラッシュストレージに並び、EMCが力を入れてきたのは統合インフラシステム。「(一般企業における)ITインフラは、構築するのでなく買って使う時代」とする。最近では、ハイパーコンバージドインフラシステムの拡充が目立つ。中小企業やビジネス部門、支店・支社、そして特にクラウドネイティブなソフトウェア開発活動には、導入や運用に手間の掛かるインフラは不要で、専用ストレージ装置を使う統合インフラよりも、サーバだけのハイパーコンバージドインフラが適するとしてきた。

 EMCはEMC World 2016で、クラウドネイティブなソフトウェア開発活動を直接支援するためのハイパーコンバージドインフラ製品を発表した。

 大規模向けハイパーコンバージドシステム製品「VCE VxRack」では、「VCE VxRack System 1000 Neutrino Nodes with support for OpenStack」という長い名前の製品を、2016年第3四半期に提供開始する。これは、プラグ・アンド・プレイのOpenStack環境を提供する製品。今後、Docker SwarmやKubernetesの環境構築も自動化される予定だ。これについては別記事で紹介している。

 Neutrino Nodesでは、OpenStack版に加え、ヴイエムウェアのPhoton(「コンテナ専用vSphere」ともいえるオープンソースソフトウェア)を搭載した製品も今後提供される。

 Neutrino Nodesでは、Pivotal Cloud Foundryをはじめ、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリ)ツールなどを導入済みの製品も提供される。これは「Native Hybrid Cloud」と呼ばれ、購入すればすぐに使えるプラグ・アンド・プレイの開発環境を実現する。

コピーデータ管理市場に参入、製品は初期段階

 EMCはまた、「Copy Data Management(コピーデータ管理)」市場に参入した。コピーデータ管理市場で知られているのはActifioという企業。同社の製品は、重複する同一データのコピーの数を削減してデータ量を削減するとともに、各データのゴールデンコピー(正本)を管理。これをもとにコピーを作成し、開発テストや、データ分析などに使えるようにしている。

 EMCが今回、2016年第3四半期に販売開始すると発表した「EMC Enterprise Copy Data Management(eCDM)」は、上記のような世界を目指しているものの、当初は情報ガバナンスのためのスナップショット管理機能にとどまる。

 eCDMは、XtremIO、VMAX、Data Domainのスナップショットを複数機器、複数拠点にまたがって一括管理する機能を備える。各ボリュームのスナップショットコピー数を可視化し、データベース管理者などが作り出すバックアップデータコピーの数やSLAをポリシー制御できる。

[取材協力:EMC]

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