「Azure復旧サービス」が新しいポータルに統合、Azure Resource Managerにも対応:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(17)(2/2 ページ)
2016年5月より、クラシックポータルのみで提供されてきたMicrosoft Azureの「Recovery Services(復旧サービス)」が新しいAzureポータルに統合されました。新しいAzureポータルで一貫性のある、ブレード形式のUIで簡単に操作できるだけでなく、Azure Resource ManagerでデプロイされたAzure仮想マシンのバックアップにも対応しました。
Recovery ServicesのAzure Resource Managerサポートとは?
クラシックポータルのAzure Backupは、Azure Resource Managerデプロイモデル(ARMデプロイモデル)のAzure仮想マシンのバックアップに対応していません。新しいAzureポータルでは、クラシックデプロイモデルに加えて、ARMデプロイモデルのAzure仮想マシンも同じようにスケジュールバックアップできるように機能が拡張されています(画面4)。
また、クラシックポータルのAzure Site Recoveryでは、オンプレミスからAzureへのレプリケーションにおいて、フェイルオーバー(または移行)先はクラシックデプロイモデルのAzure仮想マシンのみとなっていました。新しいAzureポータルではクラシックデプロイモデルに加えて、ARMデプロイモデルのAzure仮想マシンにフェイルオーバー(または移行)できるようになっています(画面5)。
P2V/V2V変換ツール「MVMC」の提供とサポートは2017年6月まで
Azure Site Recoveryは、オンプレミスのHyper-V仮想マシンやVMware仮想マシン、物理サーバをAzure仮想マシンに移行するためのツールとしても利用できます。移行ツールとしての利用シナリオに関連して、1つニュースがあります。
マイクロソフトは以前から、Azure Site Recoveryとは別に、VMware仮想マシンや物理マシンをHyper-V仮想マシンやAzure仮想マシンに移行するP2V(Physical to Virtual:物理→仮想)、V2V(Virtual to Virtual:仮想→仮想)変換ツールとして「Microsoft Virtual Machine Converter(MVMC)」を提供しています。
- Microsoft Virtual Machine Converter 3.0[英語](Microsoft TechNet)(サイトの表記はバージョン3.0ですが、実際のバージョンは3.1)
マイクロソフトは2016年6月4日(米国時間)、MVMCのダウンロード提供とサポートを、1年後の2017年6月3日で終了することを発表しました。
- Important update regarding Microsoft Virtual Machine Converter(MVMC)[英語](System Center:Virtual Machine Manager Engineering Blog)
最新のMVMC 3.1は、ARMデプロイモデルのAzure仮想マシンに対応していませんが、これが最後のバージョンとなるでしょうから、今後もこのツールでARMデプロイモデルがサポートされることはないでしょう。
マイクロソフトはAzure仮想マシンへのP2V/V2V移行ツールとして、Azure Site Recoveryの利用を勧めています。Azure Site RecoveryでのARMのサポート追加が、MVMCの提供およびサポートの終了に大いに影響したことは容易に想像できます。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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