マイクロソフト、iPaaSを実現する「Azure Logic Apps」をリリース:サービスの統合プラットフォーム
マイクロソフトは、ハイブリッドアプリケーションの接続と統合を実現するiPaaS「Azure Logic Apps」をリリースした。
米マイクロソフトは2016年7月27日(米国時間)、アプリケーションやプロセス、サービス、それらに関連するガバナンスをクラウド内で統合するプラットフォーム「Azure Logic Apps」の提供を開始した。クラウド/オンプレミスのアプリケーションと各種データ、ガバナンスをクラウド上で統合する「iPaaS(Integration Platform as a Service:サービスの統合プラットフォーム)」と呼ばれるサービス群に位置付けられる。
マイクロソフトのプログラムマネジメント担当のプリンシパルディレクターであるフランク・バイゲル氏は、AzureブログでLogic Appsを次のように紹介した。「われわれは2016年5月に英国で開催したイベント『Integrate 2016』で、顧客が従来のオンプレミスシステムとクラウドネイティブなアプリケーションをシームレスに接続できる、包括的なハイブリッド統合プラットフォームを構築するビジョンを表明した。Logic Appsはこの戦略に不可欠な要素。今回の一般提供開始は、マイクロソフトのエンタープライズアプリケーション統合のビジョンを実現する上で重要なマイルストーンである」
さらにバイゲル氏は、「企業は2016年7月現在、まさにデジタル変革の途上にあり、扱うアプリケーション、データ、デバイスがそれぞれ急増している」と背景を述べ、「アジャイル(俊敏)なエンタープライズ統合がこの変革の原動力となり、企業の進化に合わせたシステム間接続とプロセスの最適化を可能にする」と説明した。
「Logic Appsのリリースに伴い、顧客はSaaS(Software as a Service)型アプリケーションと従来のエンタープライズアプリケーションをシームレスに利用でき、既存のオンプレミスシステムから価値を引き出しながら、的確な情報に基づいた意思決定を行えるようになる。
従来、その統合は複雑で手間の掛かるプロセスだった。Logic Appsは、さまざまなSaaS型アプリケーション(Microsoft Office 365、Microsoft Dynamics 365、Salesforce、Facebook、GitHub、Google Driveなど)を数分で接続できるコネクターを用意し、プロジェクトの迅速な完了や効率的な反復を可能にする。また、Logic Appsのビジュアルデザイナービューを使えば、短時間のコーディングで、複雑なビジネスプロセスの自動化に役立つ綿密なワークフローを作成できる」(バイゲル氏)
Logic Appsのこの他のポイントは以下の通り。
「既存オンプレミスシステムの価値向上」を実現
Logic Appsでは、「オンプレミスデータゲートウェイ」機能により、任意の既存オンプレミスシステムをクラウドと直接接続できる。オンプレミスか、クラウドかの二者択一ではなく、自社のビジネスに最も有効な統合戦略を柔軟に選択できる。
ファイアウォールを超えて「クラウド上での企業間連携」を実現
「Logic Apps Enterprise Integration Pack」により、簡単かつ安全なエンタープライズメッセージングプロトコルを提供する。ファイアウォールを超えて、取引先などとの協業や連携が容易になる。また、取引先とのB2B(Business to Business:企業間取引)ワークロードのトランザクション問題なども軽減される。
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