IoTとコグニティブ/AIの組み合わせで生み出される「価値/効果」とは IDCが調査結果を発表:「収集可能なデータの最大化」と「有効活用可能なデータの最大化」の違い
IDCジャパンが、IoTとコグニティブ技術の組み合わせで生み出される価値に関する市場調査結果を発表。IoTとコグニティブの組み合わせによって、「製造品質改善」「製造機械の故障予兆検知」などの分野で特に効果をもたらすとしている。
IDCジャパンは2016年11月14日、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とコグニティブ/AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術の組み合わせで生み出される価値についての市場調査結果を発表した。
IDCジャパンでは、2020年までに全世界で生成されるデータについて、「IoTデータ(IoTシステムによって生成されるあらゆるデータ)」が、それ以外の「非IoTデータ」の2倍の速さで増加すると予測。企業がデジタルビジネス変革を推進する上では、「収集可能なデータの最大化=IoT」と、その中での「有効活用可能なデータの最大化=コグニティブ」という2つの取り組みが不可欠であると定義している。そして、IoTデータと非IoTデータのいずれについても、「有効活用できるデータの価値を最大化」するけん引役となるのが、コグニティブ/AI技術の分野だとしている。
IDCジャパンは、2020年までにIoT関連システムに関して支出額が多くなると見込まれる分野として、「製造オペレーション」「製造アセット管理」「スマートグリッド」「輸送貨物管理」「公共交通/情報システム」などを挙げている。一方のコグニティブについては、「不正プロセス分析/調査」「製品品質管理/検査」「自動顧客サービスエージェント」「助言/リコメンドシステム」「購買助言/リコメンドシステム」などを挙げた。
これを踏まえて、IoTとコグニティブを組み合わせることにより、「製造品質の改善」「製造機械の故障予兆検知」「小売店舗内での販売促進」「フリート管理や輸送貨物管理」などのユースケースで特に効果をもたらすと予測されている。
IDCジャパン コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、今後SI(システムインテグレーター)としては、「有効活用可能なデータの最大化を進める上でコグニティブを中心とした分析技術を活用し、データの価値を最大化していくための取り組みが重要で、それらを視野に入れたソリューションの提案が重要」となり、一方のユーザー企業は、「IoT/コグニティブを本番運用で活用する過程でROI(Return On Investment:投資対効果)を見極め、試行錯誤を通じて、要件を段階的に詰めていくような、アジャイルなマインドセットを持つことが肝要になる」と提言した。
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