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残業がなくなれば、人生はバラ色になるの?――ワークライフバランスの正しい取りかた仕事が「つまんない」ままでいいの?(26)(3/4 ページ)

ワークライフバランスが叫ばれている昨今、残業も大きな問題になっています。しかし、「残業=悪」なのでしょうか。仕事の不満や悩みを解消するヒントをお届けする本連載。今回のテーマは、エンジニアの「仕事と残業の在り方」です。

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どちらを悪者にせざるを得ない

 また、ワークとライフは本来、切り離すことができないものです。「ワーク」と「ライフ」を切り離してしまうと、つい「どちらかが充実すると、どちらかは充実しない」と考えてしまいがちです。


「ワーク」と「ライフ」のどっちかを増やすと、どっちかが少なくなるの?

 私が「ワークライフバランス」という言葉にやや違和感を抱くのは、ワークとライフはバランスを取る対象ではないのに、バランスを取らせようとするところです。

 天秤(てんびん)に掛ける2つの対象のバランスを取るためには、対象が横並びである必要があります。けれども、「ワーク」は「ライフ」の一部であり、横並びではありません。ですから、本来はバランスを取ろうにも取りようがありません。

 人は物事を理解するときに、「白と黒」「善と悪」「ポジティブとネガティブ」のように二元的に捉えようとします。本来、切り離せない「ワークとライフ」を切り離し、2つを並べることによって、どちらかを善でどちらかを悪にしないと、何となく気持ちが悪い。「ライフ」は人生そのものですから、そちらを善にしようとすると、必然的に「ワーク」は悪になります。

 「ワーク」と「ライフ」を切り離すと、二元的な思考が働いて「やっぱり仕事って、人生にとって何かとマイナス面が多いよね」となりやすい。つまり、仕事に対するイメージがネガティブになってしまうのです。ここは、非常に問題だと思います。

 残業時間の長さと、人生の充実は関係ありません。一生懸命仕事をすることによって充実感を得る人もいます。

 ここを間違わないようにしないと、社会の「良しあし」に流されてしまいがちです。今、エンジニアとして働いている皆さん、そして、これから社会に出ようとしている若い人たちに、「仕事にはやりがいや楽しさもあるよ」と私は伝えたいし、「ライフ」と「ワーク」という言葉を使うなら、「エンジニアの仕事が私のライフワークです」といえる人が増えればいいのになと思います。

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