インテル、FPGA「Cyclone 10」ファミリーを発表:低消費電力、低コスト、高速処理を要するIoTアプリケーションの増大に対応
アルテラを買収したインテルが、新世代FPGA「インテル Cyclone 10ファミリー」を発表。広帯域幅の高性能アプリケーションに最適化された「Cyclone 10 GX」、低スタティック消費電力、低コストのアプリケーションに最適化された「Cyclone 10 LP」をラインアップする。
米インテルは2017年2月13日(米国時間)、IoT(Internet of Things)アプリケーションの増大に対応するFPGA(Field-Programmable Gate Array)の最新世代「インテル Cyclone 10ファミリー」を発表した。電力効率の高い高速処理を実現するように設計され、自動車、産業自動化、プロ向けオーディオビジュアルやビジョンシステムなど、さまざまな用途への採用が想定される。
“モノ”の接続が進み、それらの間で大量のリアルタイムデータの共有が可能になるとともに、データの処理が困難になっている。ビルや工場、家、乗り物に取り付けられたセンサーやカメラから生成される情報が急増しており、既存のマイクロプロセッサやマイクロコントローラーベースのシステムだけでは適切な処理ができなくなりつつある。そこで、CPUだけでは足りない専門の処理を並列して行うことで、高いパフォーマンスや生産性を実現する、GPU(Graphics Processing Unit)コンピューティングやFPGAのようなデバイスの需要が高まっている。FPGAは、さまざまなIoTアプリケーションで要求される特定のレベルのコンピューティングと機能を実現するようにプログラミングできる。
インテル Cyclone 10ファミリーは、「Cyclone 10 GX」と「Cyclone 10 LP」が用意され、それぞれ固有の機能によって、さまざまな設計チームのニーズに対応する。
Cyclone 10 GXは、10Gbpsトランシーバーとハード化された浮動小数点DSP(デジタル信号処理)をサポートし、低コストFPGAの中でもユニークな特徴を持つとうたう。パフォーマンスはCycloneの前世代比で約2倍に向上。ハード化されたIEEE 754準拠の単精度浮動小数点DSPブロックを実装したアーキテクチャの革新により、最大で134G FLOPS(Floating-point Operations Per Second)の処理レートを実現する。モーションシステムやモーターコントロールシステムなどのアプリケーションにFPGAを使用し、高いパフォーマンスを必要とするエンジニアにとって重要な性能だという。
Cyclone 10 GXは、高いI/O性能とコア速度が重要な要件となっている市場や業界に向けて提供される。例えば、産業用や社会インフラ向けアプリケーション(駐車場、道路、橋など、公共設備の監視)などが挙げられる。特に産業用途におけるモーター駆動システムは、工業における電力消費の3分の2以上を占めるという。Cyclone 10 GXのようなFPGAを使って最適化することで、全製品ラインに渡ってTCO(Total Cost of Ownership)の削減が期待できる。例えば、産業用ネットワーキングと機能的な安全性をシングルチップに統合し、素材コストを抑えるといった応用が想定される。また、ビデオストリーミングアプリケーションのようなプロ向けAV技術のサポートにも適している。
一方のCyclone 10 LPは、コストと消費電力が設計上の最重要項目であるアプリケーションに適する。こうしたシステムは一般的に、LE(ロジックエレメント)数が7万5000未満のFPGAと、チップ間ブリッジング機能またはマイクロプロセッサ向けのI/O拡張を使用するが、Cyclone 10 LPはこれに適合できる。この他、自動運転車における確認用カメラで使われる自動車向けビデオ処理や、インセンサーフュージョン(センサーデータの統合)などへの用途にも向くという。
Cyclone 10 FPGAファミリーは、評価キットとボード、インテルのFPGAプログラミングソフトウェア「Quartus」の最新版とともに、2017年後半にリリースされる。
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