教えて! キラキラお兄さん「クソみたいな社会は変えられますか?」:プロエンジニアインタビュー(4)(4/4 ページ)
「Haskell」を業務アプリ開発にフル活用する岡本和也さんは、「UZUZ」のCTOを務めると同時にソフトウェア開発会社「ARoW」を経営し、さらにフリーランスエンジニアとしても活動する。Haskellにこだわる理由、“複業”エンジニアとして活動する理由を聞いた。
抽象化能力と多様性がより重要になる
UZUZとは、業務委託のエンジニアとして付き合いが始まった。他にエンジニアはいない。業務部門の社員たちとよく話し合い、時には「僕はそれは作りません。お金を払って外部のサービスを使った方がいいです」といった提案もした。
今も、CTOとして取り組むUZUZ、代表取締役を務めるARoW、それにフリーランスエンジニアとして取り組む仕事と、3つのプロジェクトを同時に走らせている。
「正社員として働くのが当たり前、という世の中の風潮をツブしたい」と岡本さんは言う。ARoWは週休4日、「1日5時間以上働くと怒られる」という会社だ。
岡本さんがこうした“複業”を推奨する背景には、2つの考えがある。
1点目は、「技術者としてたった1つの仕事しかしていないと、伸びないし、視野が狭くなる」ということだ。複数の会社の複数のプロジェクトを手掛けると、それぞれに新しい知識、知見が手に入る。
「ある会社で技術を手に入れ、それを別の会社に還元する。これはどちらの会社にとっても良いことだ。広い範囲で技術に触れることで技術者の視野が広がるし、メタな能力(抽象化能力)を生かすことになる」
2点目は「世の中を変えたい」ということ。
「トガった人間が生かされない日本の社会を変えたい。大企業は均質な人材を働かせているが、これはプロセッサでいうと、(同じ種類のCPUコアをチップ上に集積する)ホモジニアスマルチコアに相当する。コア数がn個あってもルートnぐらいの能力しか出せない。ゲーム機PS/3が搭載していたCellのように、(種類が異なるCPUコアをチップ上に集積する)ヘテロジニアスマルチコアにして適材適所で活用すれば、もっと上の能力を出せる場合がある」
ちなみに岡本さんは東京大学の学部と大学院でコンピュータアーキテクチャを専攻している。取り組んだテーマは低消費電力プロセッサに関する研究だ。並列処理プロセッサを研究してきた岡本さんは「多様化した課題を解決するには、異なる種類の人材を組み合わせていける組織が必要だ」と考えるのだ。
「はぐれもの、社会不適合者、そのように思われている人に、いかに実力を出してもらうかだ」
「クソみたいな社会に悩まされている」人が活躍できる世の中にしたい
既卒、第2新卒の就職活動を支援するUZUZのビジネスは、岡本さんが重視する方向と親和性が高い。現在CTO職に就任しているのも、会社の経営に関わることで世の中へのインパクトを与えたかったことがある。
「『自分はクソみたいな社会に悩まされている』と思っている人の特性を見抜いて、“千里の馬”のように活躍してもらえたら」と希望を述べた。
1日に千里を走る名馬も、その才能を見抜く“伯楽”がいなければ知られることはない。世に伯楽ありて、しかるのち千里の馬あり──この名伯楽の役目を果たしたいというのが、岡本さんの願いだ。
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